シンポジウム
Posted date 2009.03.09 | Update date 2010.10.20
2010年度大会では、本部企画シンポジウム(3課題)と一般公募シンポジウム(13課題)を10月27日(水)~29日(金)に開催いたします。
【本部企画シンポジウム】
1. 酒類の香気成分研究の新展開―お酒の香りの基礎から最新研究まで―
- オーガナイザー: 下飯 仁(酒総研)・秦 洋二(月桂冠)・坂口 正明(サントリー)
- 会場・時間: A会場(4F サミットホール 天樹) 10月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
香りはそれぞれの酒類を特徴づけている最も重要な特性であり、消費者の嗜好を決定する要因ともなっている。酒類の香りは様々な香気成分から構成されており、それらの生成は、原料に由来するもの、発酵に由来するもの、貯蔵に由来するものなどがあり、きわめて複雑である。香気成分に関する研究は古くから行われてきたが、近年の分析手法の発達によって特徴的な香気成分が次々と発見されている。本シンポジウムでは、清酒、焼酎、ワイン、ビールなどの様々な酒類の香気成分研究の最新成果紹介していただき、今後の香気成分研究の方向性を議論したい。また、各シンポジストにはそれぞれの酒類の香気成分についての入門的な概論もお話しいただくことで酒類に関心を持つ多くの方に参加していただける内容としたい。
2. 大学発技術シーズ発表会
<物質生産、装置、分析、周辺機器に関するシーズ提案>
- オーガナイザー: 日野 資弘(アステラス製薬)・松井 和彦(味の素)・奥村 康(鳥居薬品)
- 会場・時間: D会場(3F 中会議室 海峰) 10月27日 午後 15:30- ⇒プログラムはこちら
第62回大会では、各大学研究機関で保有するシーズを広く企業に紹介し活用を図ることを目的として、シーズ提案会を開催する。本年度は、本学会の基本である物質生産(宿主ベクター系、培養法など)及び関連する装置、分析、周辺機器を対象とした。内容は、プロセス、装置及び製造に関する演題3件、遺伝子及び育種に関する演題4件、分析に関する演題2件、安定性に関する演題1件である。
それぞれ大変興味深い内容でありますので、本学会関係者はぜひ聴講してください。
3. 醗酵工業とものづくりの最前線
- オーガナイザー: 佐久間 英雄(丸菱バイオエンジ)・富田 悟志(タイテック)・飯島 信司(名大院・工)
- 会場・時間: A会場(4F サミットホール 天樹) 10月28日 午後 15:45- ⇒プログラムはこちら
培養工学は、日本における発酵生産を支える技術として本会においても重要な課題のひとつであるが、技術的には円熟し研究のターゲットとなりにくくなった側面もある。しかしながら「ものづくり立国」をめざす我国にとってその重要性はゆるぎないものである。このような認識に基づき、本シンポジウムでは培養技術の現状における問題点を探るとともに、新しいモニターリング技術や発想に基づく培養法など培養技術の最新展開について生産現場を見据えつつ討論する。
【一般公募シンポジウム】
4. 生理活性ペプチド研究最前線
- オーガナイザー: 水光 正仁(宮崎大・農)・中山 建男(宮崎大)
- 会場・時間: C会場(4F サミットホール 天玉) 10月27日 午後 15:30- ⇒プログラムはこちら
生理活性ペプチドは、ホルモンや情報伝達分子など生体システムの制御因子として多様な生理機能に関与し、先端科学技術分野においても高く注目される。我が国において宮崎大学は生理活性ペプチドに関する世界トップレベルの研究拠点を持ち、ノーベル賞候補となる研究者を輩出している。そこで、宮崎大学に縁のあるトップレベルの研究者を講演者としたシンポジウムを企画し、生理活性ペプチドに関する研究の歴史、最先端の研究紹介およびトランスレーショナルリサーチ等の応用研究に関する話題を提供する。
5. 食の機能・安全を科学する-おいしさから生理活性,安全性の評価まで
- オーガナイザー: 馬場 健史(阪大院・工)・榊原 陽一(宮崎大・農)・福崎 英一郎(阪大院・工)・安藤 孝(宮崎県総合農試)
- 会場・時間: D会場(3F 中会議室 海峰) 10月28日 午後 15:45- ⇒プログラムはこちら
日常生活に密接する食品に対する関心は高く、その機能性、安全性の解析・評価については、医学、薬学、農学、工学など幅広い分野の研究機関、企業で取り組まれている。食品の機能性、安全性の解析・評価の方法は、近年の分析装置等の新しい技術の発展に伴ってめざましく進展しており、これまでに難しいとされてきた複雑な成分の解析も可能なになってきている。当該シンポジウムでは、プロテオーム解析やメタボローム解析、超臨界流体利用技術などの最新の技術を用いた食品の機能性および安全性の評価最新技術について紹介し、実用的な観点からその有用性について議論するとともに、今後の可能性、技術開発の目指すところについても議論する。
6. アカデミズム研究と産業の間~気安く実用化と言わないで~
- オーガナイザー: 吉田 ナオト(宮崎大・農)・茂野 俊也(つくば環境微研)
- 会場・時間: F会場(2F 中会議室 ファウンテン) 10月27日 午後 15:30- ⇒プログラムはこちら
本学会は研究成果を実用化して、社会へ貢献することを望んでいる研究者が多い。しかし依然として研究の実用化は難しく、大学発ベンチャーもその数を減らす傾向にある。“実用化の壁”の前で我々は、どうすべきなのかを再度真剣に議論する必要がある。本シンポジウムでは、実用化段階に近い研究を行っている大学や企業の研究者、あるいは現場での業務に携わる企業研究者から、改めて「研究と産業の間」にある“実用化の壁”について考察していただく。そこには単に実用化をお題目とする研究者では、知りえない貴重な経験があるはずである。さらに参加者も含めて、“実用化の壁”を現実の課題として議論する場を提供したい。
7. 物質生産ツールとしての微細藻-電子指向型バイオテクノロジー(e-バイオ)を起点とする藻類工学の夜明け-
(e-バイオ研究会共催)
- オーガナイザー: 石井 正治(東大院・農生科)・林 雅弘(宮崎大・農)
- 会場・時間: B会場(4F サミットホール 天葉) 10月29日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
微細藻がもつオイル生産能力は、石油枯渇後の燃料生産の観点から急速に注目を集めている。その一方で、微細藻がオイル以外の種々の有用物質を生産することはあまり知られていない。この分野はまだ黎明期にあり、それゆえ微細藻の持つ物質生産能力は開発の余地が充分に残されている。本シンポジウムでは特に微細藻の物質生産のスタート地点である光合成に着目して、電子指向型バイオテクノロジー(e-バイオ)の観点から物質生産プロセスを眺めることで、エコでクリーンな物質生産ツールとしての微細藻について様々な分野の研究者に考えていただくためのひとつのきっかけとなることを期待して開催する。
8. 伝統的発酵微生物の新しい利用展開
(新資源生物変換研究会共催)
- オーガナイザー: 松井 徹(琉球大・熱生研)・松下 一信(山口大・農)
- 会場・時間: E会場(3F 中会議室 瑞洋) 10月27日 午後 15:30- ⇒プログラムはこちら
日本人は味噌、醤油、食酢醸造の様な発酵食品を通じて微生物の産業利用に長く関わってきた。この経験は、現在の新規微生物の積極的な探索利用につながっているが、食経験の長い微生物類は安全性が担保されていることが多いため、パブリックアクセプタンスが得られやすく、産業利用へのハードルが低いと言える。現在では、醗酵・醸造に使われてきた微生物類も網羅的解析等から得られた知見を基に、新たな視点での産業利用が検討されている。本シンポジウムでは、伝統的発酵微生物を利用する新技術開発についての最新の解析結果を解説いただくと共に期待できる将来的な利用方法について議論したい。
9. D-アミノ酸研究の最前線-その新しい生物機能と代謝
- オーガナイザー: 大島 敏久(九大院・農)・吉村 徹(名大院・生命農)
- 会場・時間: A会場(4F サミットホール 天樹) 10月29日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
D-アミノ酸はかつて、非天然型と考えられあまり注目されていなかったが、分析技術の向上に伴い、細菌から植物、動物に至る様々な細胞や組織、それらを原料とする食品などに存在することが明らかになりつつある。また最近では特異的で重要な生物機能や病気との関連が注目されている。このセクションでは、D-アミノ酸に関する分析法、生物機能、代謝とその酵素、応用などに関する最新の研究成果を紹介、議論し、今後の展開を図る。
10. 生物工学教育―高等教育の実質化は大丈夫か―
(教育委員会、JABEE委員会共催)
- オーガナイザー: 清水 和幸(九工大院・情工)・関口 順一(信州大院・総合工)・川瀬 雅也(長浜バイオ大・バイオサイエンス)・中山 亨(東北大院・工)・原島 俊(阪大院・工)
- 会場・時間: C会場(4F サミットホール 天玉) 10月28日 午後 15:45- ⇒プログラムはこちら
いま、高等教育の実質化が社会的に問われており、文部科学省の諮問を受けて日本学術会議が分野別審査の方向で審議を重ねています。工学分野ではJABEEが大きな役割を果たすといわれています。一方で、生物工学の教育内容もここ数年で大きく変わってきています。そこで、本シンポジウムでは、JABEE委員会と教育委員会が共催で、初等中等教育、大学や高専での教育内容や教育方法、企業や技術士の側から見た課題などに関して広く意見交換し、パネル討論によって講師以外の方々との議論を通じて、今後の生物工学教育や人材育成はどうあるべきかを議論する予定です。
11. ナノバイオテクノロジーによる環境への新アプローチ
- オーガナイザー: 堀 克敏(名工大院・工)・神谷 典穂(九大院・工)
- 会場・時間: D会場(3F 中会議室 海峰) 10月29日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
地球温暖化や環境汚染への対策が急務となっている中、ナノバイオテクノロジーの立場からの取り組み、研究例を紹介し、将来を展望する。低炭素・新エネルギー・環境浄化等のグリーンテクノロジーを志向した、あるいは繋がり得る、ナノスケールのバイオプロセス・生体分子工学等に関連する最新の研究事例を取り上げ、現状と課題、実用化のフィジビリティーなどについて討論し、この分野の研究の方向性を探る一つの場としたい。
12. 産業酵母の育種技術の現状と展望:有用機能の向上をめざした多面的アプローチ
((独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター共催)
- オーガナイザー: 高木 博史(奈良先端大・バイオ)・島 純(京大・微生物科学寄附研究部門)
- 会場・時間: B会場(4F サミットホール 天葉) 10月28日 午後 15:45- ⇒プログラムはこちら
様々な発酵食品や酒類、バイオエタノール等の製造に重要な酵母の育種は、主に自然分離、交雑や融合等の古典的手法によって行なわれ、セルフクローニングを含む遺伝子組換え技術、染色体工学等の分子生物学的手法に対しては、依然として社会的受入れが困難な状況にある。本シンポジウムでは、酵母育種のブレークスルー技術に焦点を当て、ゲノム情報やポストゲノム解析を活用して産業酵母の有用機能(発酵能、耐久性、エタノール生産性、味・風味等)を飛躍的に向上させるための最新の研究例を紹介する。また、産業酵母の育種技術を取り巻く国内外の現状を整理した上で、今後、産学官の研究者がどのようなスタンスで連携し、基礎研究・技術開発に取り組むべきかについて議論する。
13. ゲノム基盤にもとづく合成ゲノム生物学への新展開
- オーガナイザー: 板谷 光泰(慶大・先端生命研)・片岡 正和(信州大・工)
- 会場・時間: C会場(4F サミットホール 天玉) 10月29日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
次世代シーケンサーとDNA化学合成法の画期的な進展により、ゲノム解析、ゲノム改変技術が大きく変貌しようとしている。世界の流れはゲノムを一から設計(デザイン)するという合成生物学の究極のテーマに向かっており、この生物工学の重要な課題に積極的に取り組む必要がある。我々はこの進捗を先取りすべく、本シンポジウムでは大規模なゲノム改変が可能な微生物ゲノムのエキスパートを募り、新たな視点から真に有用な微生物ゲノム構築の課題と将来を明示したい。
14. 1分子1細胞アッセイ技術に基づく生物工学の最近の潮流
- オーガナイザー: 黒田 俊一(名大院・生命農)・藤井 郁雄(阪府大・理)・近藤 昭彦(神戸大院・自然)
- 会場・時間: B会場(4F サミットホール 天葉) 10月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
これまでは大量の哺乳類細胞、酵母等をハイスループット解析し、有益な細胞を生きたまま1細胞単位で自動的に単離することは困難であったが、最近、FACSの進化やOne Cell Pick-up装置の出現により急速に可能になってきた。本シンポジウムでは、この1分子1細胞アッセイ技術が、既に生物工学領域で大きな流れとなっている細胞表層工学、抗体工学、分子進化工学、幹細胞工学に対して、どのようなインパクトを与えるかを各分野の専門家に実例とともに概説していただき、今後の1分子1細胞アッセイ技術に基づく生物工学の可能性について論じたい。
15. 動物細胞培養で求められる安心・安全:見直される水産品
(セルプロセッシング計測評価研究部会・日本動物細胞工学会共催)
- オーガナイザー: 寺田 聡(福井大院・工)・藤原 政司(北大院・工)
- 会場・時間: C会場(4F サミットホール 天玉) 10月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
抗体医薬など医薬生産手段として、さらにハイブリッド型人工臓器、再生医療など移植用細胞調製手段として、動物細胞培養の重要性が一層増している。動物細胞の産業利用をはかるべく、細胞培養の品質管理・品質保証システムが急務となっている。このような課題に取り組むべく、若手の育成とバトンタッチを視野に入れて「セルプロセッシング計測評価研究部会(高木睦会長・北大)」が、2009年5月に設立された。そこで、本研究部会の主催でシンポジウムを開催し、若手と産業界からの演者を交えた講演を通じて産学官の多様な生物工学会員が最新成果の発表と活発な討論を行い、他の産業(水産業)をも巻き込んだ動物細胞の産業利用を進める。
16. 植物遺伝子の魅力 ~生物工学分野への応用
- オーガナイザー: 村中 俊哉(阪大院・工)・中山 亨(東北大院・工)・田口 悟朗(信州大・繊維)
- 会場・時間: D会場(3F 中会議室 海峰) 10月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
植物組織培養による有用物質生産」研究は、1980年代ブームとなったが、当時、植物低分子化合物の生合成経路がブラックボックスのまま、サイエンスが通じない「根性」による研究開発であったため本研究分野は衰退した。長いブランクの後、精密かつ包括的な代謝物分析、高速シークエンス技術の発達も相まって、植物が持つ代謝多様性、その元となる植物遺伝子が今、注目されている。本シンポジウムでは、植物代謝生化学分野の最前線で活躍する研究者を講師に招き、植物遺伝子の魅力〜生物工学分野への応用を議論する。