創立100周年記念第74回 日本生物工学会大会(2022)後記
大会実行委員長 大政 健史
第74回日本生物工学会大会(創立100周年記念大会)は、創立100周年記念祝賀会を除いて、2022年10月17日(月)~20日(木)の4日間で、テーマ:「輝ける次の100年へ向けてーバイオテクノロジーが拓く未来社会」と題して、福﨑英一郎大会会長(日本生物工学会会長)の下にて開催されました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し、当初は大阪国際会議場において対面で開催すべく会場を予約しておりましたが、現地での大会の実施は難しいと判断し、創立100周年記念祝賀会は対面形式で翌年度の2023年度の開催、それ以外については、初日は限られた参加者で千里ライフサイエンスセンターにてオンラインと対面のハイブリッド開催、2日目以降は、すべてオンラインで開催いたしました。オンライン大会については、昨年の第73回大会における実施形態を参考にし、動画配信サイトとコメントや質疑応答を記載できる要旨集サイトの組合せ、そして当日はZoomを用いたオンライン会議システムでの運営としました。昨年の開催でオンライン開催でも参加者が十分に見込めると予想され、最終的に参加者数として1254名(招待者113名を含む)の大変盛況な大会となりました。本大会にご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
日本生物工学会2022大会ホームページ
大会日程は、これまでの記念大会と同様に、4日間の開催と致しました。創立100周年記念式典、授賞式・受賞講演、シンポジウム(100周年記念シンポジウムを含む)、一般講演の他、ランチタイムセミナー、若手交流会、展示会などを行いました。記念祝賀会は来年度の開催となりますので、参加者の交流の場として参加登録不要の無料の懇親交流会を設けました。初日に千里ライフサイエンスセンターからハイブリッド形式で、創立100周年記念式典、授賞式・受賞講演、創立100周年記念シンポジウムを行い、2日目から大阪大学工学部を配信会場として、3日間にわたって、午前は一般講演、午後はシンポジウムの開催を配信しました。
シンポジウムでは、創立100周年記念シンポジウムとして、「生物工学の未来(2050年)第1回」をはじめとした本部企画シンポジウム9件に代表されるように、テーマ:「輝ける次の100年へ向けてーバイオテクノロジーが拓く未来社会」に沿って、発酵や醸造に関するものから、先端バイオ分析、バイオプラスチック、生体分子相互作用、生体模倣技術、腸内細菌、ゲノム編集食品、次世代抗体、アジアにおけるバイオプロダクション、植物由来の物質生産、バイオエコノミー、カーボンリサイクル、未培養微生物、グローカルバイオといった、バイオテクノロジー分野の最新の話題について合計116演題を、Zoomによってリアルタイムで行いました。
一般講演は昨年とほぼ同様の489演題をエントリーいただきました。一般講演では、講演者にあらかじめ12分間の口頭発表をビデオ収録したものを提出いただき、大会参加者には大会ホームページから大会開催前週から大会終了後の11月末日までオンデマンドで視聴できるようにし、設定した発表時間枠では、所定のZoomブレイクアウトルームで、参加者に内容説明・討議を行う形で実施しました。また、要旨集のホームページにおいては、質疑応答ができるようにコメント欄を準備し、大会開始前、開始後でも議論が可能なように準備いたしました。今大会においても、話題性のある一般演題30題をプログラム編成委員が選定して事前に講演者に解説原稿を提出いただき「トピックス集」としてまとめました。会期前の10月3日にはオンラインでプレス発表を行い、大会概要案内とトピックス講演を紹介しました。また、プログラム編成委員の投票によりトピックス講演の中から3題を「トピックス賞」として選考し懇親交流会の場で発表しました。ランチタイムセミナー、動画広告、展示会にも、多くの企業に出展いただきました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
まず初日の創立100周年記念式典では、千里ライフサイエンスセンターに発酵研究所 理事長の中濱一雄氏および日本農芸化学会 会長の松山旭氏を来賓としてお招きし、韓国KSBB会長Duk Jae Oh教授のお祝いメッセージを頂戴し、祝電を披露、感謝状の贈呈を行いました。引き続き、功労会員推戴式、各賞の授賞式、生物工学功労賞ならびに生物工学賞2件の受賞講演、昼食休憩をはさんで、生物工学功績賞2件、生物工学技術賞、生物工学奨励賞(斎藤賞)、生物工学奨励賞(照井賞)2件、の受賞講演が行われました。
功労会員推戴式
浅野、福﨑、水光(敬称略)
生物工学功労賞、生物工学賞、生物工学功績賞受賞者
左より近藤、髙木、福﨑、上平、神谷、日野(敬称略)
生物工学奨励賞(斎藤賞・照井賞)、生物工学技術賞受賞者
左より中島、Putri、福﨑、戸谷、塚原(敬称略)
生物工学若手賞受賞者
左より相馬、高橋、福﨑、徳山、羽城、松沢(敬称略)
生物工学論文賞受賞者
左より田代、二神、斉藤、福﨑、松田、山本(敬称略)
生物工学学生優秀賞(飛翔賞)受賞者
左より江澤、南茂、平田、福﨑、小塚、益井、谷口(敬称略)
引き続いて開催された創立100周年記念シンポジウム「生物工学の未来(2050年)第1回」では、冒頭の大会会長の講演のあと、歴史を振り返って歴代の会長として小林 猛先生、五十嵐 泰夫先生、飯島 信司先生ならびに原島 俊先生からそれぞれの学会の節目における重要な事柄についてご講演をいただきました。後半部からは、醗酵(技術)の未来を考えるシンポジウムとして3件の講演が行われました。
2日目からは、今回から新しく設けられた生物工学若手賞の受賞講演を毎日2件、3日間で合計6件の講演を朝一番に実施し、そのあと、午前中は一般講演として、7つのアクセス会場を設け、分野ごとに分類した演題をブレイクアウトルームに割り振り、講演者は割り当てられた時間帯に所定のルームに待機して入室してきた参加者に発表・討論する、昨年度と同様の形式で実施しました。議論の時間を十分にとることと、コメント欄も設置したので、講演時間以外にも議論ができる体制も整えました。ランチタイムセミナーを挟んで、午後にはシンポジウムを配置し、毎日午後には7-8件のシンポジウムも開催しました。また、国際シンポジウムとして「KSBB-BEST-SBJジョイントシンポジウム(第一部・第二部)」や「アジアにおけるバイオプロダクションの現状と未来~SDGsの達成を目指して~」、さらには、「生物工学会英文誌JBBのあゆみとこれから」など、日本生物工学会の国際的な活動を代表するシンポジウムが開催されました。
さらに、2日目の夜には、交流の場として設けた懇親交流会を設置しました。各地域に分かれたシニアと若手のブレイクアウトルームを設け、活発に交流を行いました。さらに3日目の夜には、若手会総会・交流会がオンラインで開催され、こちらにおいても活発な交流が行われました。
参加者の皆様には、大会実行委員会から参加記念として、黄金色の背景となる100年前の第壱巻第壱号の表紙を題材とした2種類のZoomの背景とWeb名刺形式のパワーポイントの背景をお配りいたしました。
Web版講演要旨集
配布したZoomの背景画像1
配布したZoomの背景画像2
配布したZoomの背景画像3
また、大会の翌日においては、100周年を記念したJoint SBJ Meeting with Indonesia, Philippines, and Thailandがオンラインにて開催されました。
最後になりましたが、大会開催にあたって、準備から実施までご尽力いただきました学会執行部の先生方、実行委員の先生方、学会本部事務局の皆様、スムーズな大会運営にご協力、ご支援いただいた企業および関係団体の皆様に心より感謝申し上げます。なお、創立100周年記念祝賀会は第75回日本生物工学会大会において開催予定です。
皆様ふるってご参加ください。