シンポジウム 趣旨一覧
1.バイオ戦略2020で目指すバイオエコノミー社会に向けての取り組み【本部企画】
- オーガナイザー: 髙木 忍(合同酒精)・今井 泰彦(野田産研)・岡 賀根雄(サントリー)・安原 貴臣(アサヒクオリティアンドイノベーションズ)
産学連携委員会は、過去2年に渡り社会課題テーマとして内閣府の「バイオ戦略」の内容と進捗状況を知るためのシンポジウムを開催してきた。来年度は引き続き「バイオ戦略」の進捗を学ぶとともに、「バイオ戦略」で挙げられている「2030年の実現に向けて目指すべき市場領域」に取り組んでいる企業から、取り組み内容や現状をご紹介いただく。
共催: 一般財団法人 バイオインダストリー協会(JBA)
2.「ゲノム合成」という方法論の秘めた可能性を考える
- オーガナイザー: 高木 博史(奈良先端大)・相澤 康則(東工大)
「ゲノム工学」の進歩はめざましく、現在日本では「ゲノム編集」ブームの真っ只中であるが、世界ではその先の「ゲノム合成」が始まっている。2010年に発表されたマイコプラズマ属細菌ゲノム全合成の後、しばらく沈黙は続いたが、2019年になって韓国と英国から大腸菌ゲノムの全合成が報告され、方法論としてのゲノム合成の汎用性が急激に高まっている。本シンポジウムでは、最新の研究成果と社会動向を紹介し、産業への応用を含む今後の展望を議論したい。
3.創薬モダリティを支えるために次世代型遺伝子導入・ゲノム操作技術ができること
- オーガナイザー: 金岡 英徳(名大)・河邉 佳典(九大)
近年の遺伝子治療や細胞治療の技術革新はめざましく、新たな創薬モダリティの時代に突入しようとしている。目的の遺伝子・ゲノム改変のためには、安全で効率的な遺伝子/タンパク質導入技術が必要不可欠である。新しいウイルスベクタータイプやトランスポゾンを始めとする非ウイルスベクター等、創薬モダリティを支える高度な次世代型遺伝子導入・ゲノム操作技術の開発は目覚ましい進歩を遂げている。本シンポジウムでは当該分野における最新技術と応用研究を紹介し、今後期待される技術発展について議論したい。
4.醸造技術の新展開 -原料~醸造のこれから-【本部企画】
- オーガナイザー: 明石 貴裕(白鶴酒造)・秦 洋二(月桂冠)・赤尾 健(酒総研)
これまでの醸造技術開発は品質、生産面の向上が主であり、香味成分の生成機序解明、有用微生物育種など、醸造工程の研究が活発であった。最近では科学技術の進歩により、醸造研究分野はさらに広がり、原料自体にも目が向けられている。また、商品性の向上として原料、産地へのこだわりが注目されており、地域性を訴求した取り組みも進められている。本シンポジウムでは、これからの醸造の新たな方向性となる取り組みを紹介したい。
5.泡盛の基盤研究と産業応用-地域特産品の研究成果を活用するには-
- オーガナイザー: 塚原 正俊(バイオジェット)・平良 東紀(琉球大)
泡盛は、約700年の歴史を有する国内最古の蒸留酒である。黒麹菌の使用、全麹仕込み、単式蒸留、および「熟成による古酒化」という特徴を有する。近年、特に黒麹菌および酵母の研究成果を応用した泡盛の開発が進められている。本シンポジウムでは、近年の基盤研究の成果と共に商品化に至った実例を紹介することで、基盤研究の成果を産業で活用するための課題について議論したい。
共催: 沖縄県酒造組合
6.持続型・循環利用型社会を実現する複合微生物工学研究の最前線と展望
- オーガナイザー: 田代 幸寛(九大)・前田 憲成(九工大)・井上 謙吾(宮崎大)
複合微生物系による廃水・廃棄物のリサイクル利用を目指した発酵生産・消化処理プロセスの研究開発は、環境負荷低減や再生可能資源の活用などSDGsに資する技術として期待されている。さらに、従来ブラックボックスであった微生物叢、機能、相互作用等の詳細が近年の遺伝子分析技術の進展により明らかになりつつありある。本シンポジウムでは、複合微生物系によるバイオプロセスの最新成果を紹介し、本会の次世代の研究領域「複合微生物工学」の創成に向けたアプローチ・課題・展望を議論する。
共催: サスティナブル工学研究部会
7.カーボンリサイクルに貢献する微生物
- オーガナイザー: 木邑 敏章(環境バイオテクノロジー学会・NEDO)・加藤 純一(広島大)・森川 正章(北大)
「CO2を炭素資源と捉え、これを回収し、多様な炭素化合物として再利用する」カーボンリサイクル(CR)のロードマップが、昨年経済産業省から発表され、大崎上島(広島県)でのCR研究拠点整備が進められている。一方、国連の下部組織のICAO(国際民間航空機関)は、2027年からの航空機用バイオジェット燃料導入の義務化を予定している。本シンポジウムでは、微生物によるCRの最新事例を紹介し、本学会会員にCRの取り組みについて、広くご理解いただき、オールジャパンでの取り組みとなる事を狙いとする。
共催: NPO法人 環境バイオテクノロジー学会
8.バイオとデジタルの融合による世界最先端のバイオエコノミー社会の実現に向けて~データ駆動型バイオテクノロジーを支えるデータプラットフォーム~
- オーガナイザー: 川﨑 浩子(製品評価技術基盤機構)・福崎 英一郎(阪大)
デジタル革命の急激な進展により、「知」の流通が飛躍的に加速している。生物工学分野においては、生物遺伝資源に関する情報(研究データから研究者情報まで)のデジタル化を推進し、「知」への迅速なアクセスを可能にすることが、バイオエコノミー社会の実現に向けて必須不可欠な要素となってきている。本シンポジウムでは、これまで個々に公表されてきた研究成果、エビデンスとなる実験データ、さらにそれらの研究者を繋ぐ、我が国初の微生物資源情報のプラットフォームを中心に、微生物研究者とデータサイエンティストによるプラットフォームの発展と進化について議論する。
9.バイオエコノミーとグローカルバイオテクノロジー
- オーガナイザー: 古賀 雄一(阪大)・河原崎 泰昌(静岡県大)・仲嶋 翼(三菱UFJ リサーチ&コンサルティング)
日本・世界各地で生物資源を活用し、食品、医療、環境問題を解決することが期待されている。生物資源が持つ固有の特性を、世界が持続的に認めることができる新しい価値を創造するために、生物工学がどのように関わることができるのかを考える。
10.再構成的アプローチによる生物システムの理解と工学的活用
- オーガナイザー: 田端 和仁(東大)・後藤 佑樹(東大)
生物が持つ階層的なシステム(分子、細胞内、細胞間、組織、固体)を理解するには、単に調べるのみならずシステムを作って再現するという再構成的なアプローチが重要になってくる。本シンポジウムでは分子システムから多細胞システムを再構成して理解する方法の開発や研究、利用を行っている研究者を中心に講演を行う。
11.大学ブランドのお酒造りから学ぶ発酵醸造学
- オーガナイザー: 榊原 陽一(宮崎大)・小林 元太(佐賀大)
大学が法人化の後、地域連携、産学連携、さらに大学の広報や宣伝活動の目的で大学ブランドを関した産物が多数開発されている。その中でも、大学ブランドを冠したお酒(日本酒、本格焼酎、ワインなど)が多くの大学で作られている。大学においては、学生の実習などを活用した教育プログラムとしての取り組みや、地域の酒造メーカーとの連携により手探りで対応している所も多い。そのため、大学ブランド酒造りから発酵醸造学をいかに学び、次世代の人材養成につなぐことができるのか、本シンポジウムで取り上げたいと思う。
共催: 生物工学若手研究者の集い(生物工学若手会)
12.KSBB-BEST-SBJ合同シンポジウム Biotechnology for SDGs
- オーガナイザー: 藤山 和仁(阪大・生物工学国際交流センター)
日本生物工学会(SBJ)は、これまで特に韓国生物工学会(KSBB)と年2回の派遣と受入を実施してきた。今後、台湾生物工学会(BEST)との交流を組入れ、この3カ国間の交流を発展させるために今回ジョイントシンポジウムを実施したい。
共催: 韓国生物工学会(KSBB)、台湾生物工学会(BEST)
13.食のおいしさの計測科学の現状と課題【本部企画】
- オーガナイザー: 林 圭(三和酒類)・児島 宏之(味の素)・今井 泰彦(野田産研)・安原 貴臣(アサヒクオリティアンドイノベーションズ)
おいしさの技術は、消費者が食品を視認し実際に手に取り、摂取し、満足感を得るまでの一連のプロセスの成立まで幅広い議論がされている。そこでは、5感全てが考慮されており、生物工学や神経生理学等の自然科学的アプローチだけでなく認知科学や行動経済学等の社会科学的アプローチからも議論されるなど、食品産業にも大きな流れが生じている。
こうした背景を受け、おいしさの科学領域における産官学の第一人者をお招きし、現状と課題について議論をし、その認識を深め、日本の食文化と食品産業の発展への一助としたい。
14.バイオ分析の医療展開を目指して-ネオホストバイオテクノロジーの創成-
- オーガナイザー: 花井 泰三(九大)・上田 宏(東工大)・神谷 典穂(九大)・座古 保(愛媛大)
生物工学分野では微生物や細胞の現象理解し、応用するために、様々なバイオ分析技術が開発されてきた。そのうちのいくつかの技術は、医療分野における診断などに応用されているが、生体内の現象はより複雑であり、すべてのバイオ分析技術を医療分野に利用するためにはさらなるバイオ分析法の発展が望まれる。本シンポジウムでは、生体内相互作用をモデル化した「ネオホスト」材料を用いた、新しい切り口でのバイオ分析法の医療展開を目指した講演者の方にお話いただく。
15.国内バイオリソースと極限環境生物研究の融合による産業シーズの開拓
- オーガナイザー: 若井 暁(海洋研究開発機構)
耐熱性ポリメラーゼやアルカリ性酵素が極限環境生物由来で産業利用されていることは有名である。一方、これら以外にも極限環境生物由来の様々な有用機能が産業応用に展開可能であるが、日本におけるバイオリソースを十分に利活用できていない。本シンポジウムは、産業展開に資する極限環境生物を含むバイオリソースや研究シーズ、実際の応用展開を紹介することで、SDGsに向けた研究に対するターゲットやアイデアの拡張に貢献したい。
協賛: 極限環境生物学会
16.未培養微生物(微生物ダークマター)の分離・培養・開拓の新展開
- オーガナイザー: 青柳 秀紀(筑波大)・中尾 洋一(早稲田大)・青井 議輝(広島大)・木村 信忠(産総研)
従来の微生物培養法では自然界の微生物の1%程度しか培養ができていない。残された99%の未培養微生物(Microbial dark matter)は、国内外で学術、産業面の活用が期待されている。塩基配列だけでは分からない微生物機能の解明や実利用を考えた場合、生物工学的視点から、Dark matter 微生物の探索、分離・単離、培養、解析、保存、利用に関する技術開発が必須である。本シンポジウムでは、未培養微生物の分離、培養、開拓に関する最新の研究展開について様々な分野の研究者の成果を紹介し、将来の展望について討論する。
共催: 未培養微生物(微生物ダークマター)資源工学研究部会
協賛: 日本損傷菌研究会
17.酢酸菌ナノセルロース研究の最前線:合成の分子メカニズムと応用
- オーガナイザー: 外山 博英(琉球大)・田島 健次(北大)
酢酸菌セルロースの合成酵素複合体の各サブユニットの構造が近年解明され、グルコース分子の連結・菌体外排出・結晶化(不溶化)を同時に行うメカニズムの理解が進んできた。海外での論文数増加もある。また、酢酸菌のナノセルロース自体も、天然のナノセルロース素材としても改めて注目されてきている。活躍する日本の研究者を一同にお招きして、様々な角度からナノセルロース研究の最前線を紹介したい。
共催: 酢酸菌研究会
18.日本における海洋生分解性プラスチック開発の最先端
- オーガナイザー: 乾 将行(地球環境産業技術研究機構)・中村 純(味の素)
近年、海洋プラスチックごみが深刻な海洋汚染問題を起こしている。毎年800万トン以上のプラスチックごみが海洋に流出し、その総量は既に1億5000万トンを超えていると言われている。生分解をコントロールできる海洋生分解性プラスチックの開発が喫緊の課題となっている。本シンポジウムでは、海洋生分解性プラスチック研究の世界的権威である土肥義治先生を始め、本分野での研究を推進しておられる研究者を招き、国内外の現状、特にムーンショットプロジェクトにより展開されている研究開発動向を中心に今後の研究開発構想について紹介して頂く。
共催: 一般財団法人バイオインダストリー協会 (JBA)新資源生物変換研究会
協賛: 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)