シンポジウム
Posted date 2009.03.09 | Update date 2009.08.24
1. 臨床現場での乳酸菌利用のアプローチ (乳酸菌・腸内細菌工学研究部会共催)
- オーガナイザー: 浅田 雅宣(森下仁丹・バイオファーマ研)・荒 勝俊(花王・生物科学研)
伊澤直樹(ヤクルト・中研) - 会場・時間 : S12 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
人類は乳酸菌の機能を巧みに利用して、保存性が高く風味豊かな発酵食品に活用してきた。
近年では、食品のみならず、医療、化成品、環境分野などにも乳酸菌の利用が広がり、遺伝子の組換え技術も応用されてきている。今回は、日本生物工学会シンポジウムではあまり取り上げてこなかった医療、とくに臨床現場で利用開発が進む乳酸菌にスポットを当て、ヒトの健康に対する乳酸菌の活用に関する最新の知見を紹介・討議する。
2. バイオフィルム研究の最前線:制御を目指して (化学工学会バイオ部会環境生物分科会,環境バイオテクノロジー学会共催)
- オーガナイザー: 堀 克敏(名工大院・工)・池田 宰(宇都宮大院・工)・常田 聡(早大・先進理工)
- 会場・時間 : S6 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
微生物が固体表面上に形成するバイオフィルムは、感染症、微生物汚染、虫歯等を引き起こし医療と健康を脅かす。また、産業配管におけるスライム形成、腐食促進、船底等への海洋生物の付着をもたらし、種々の産業に損害を与える。一方で、廃水処理、環境浄化、産業微生物の固定化などの環境バイオ分野に利用可能である。本シンポジウムでは、産業界や医療分野で特に関心が高いバイオフィルムの制御技術に焦点を当て、微生物と表面および微生物間の相互作用、モデリング等に関する最新の知見とそれにもとづく制御技術の最前線と可能性についての話題を提供する。
3. 海外微生物資源へのアクセスとその利用
- オーガナイザー: 安藤 勝彦(NITE・バイオ本部)
- 会場・時間 : S3 (IB電子情報館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
生物多様性条約 (Convention on Biological Diversity: CBD) 第10回目締約国会議 (COP10)が2010年名古屋で開催されるなど、CBDへの関心は日本でも高まっている。環境保全を謳うCDBは同時に経済条約でもあるため、海外生物資源にアクセスする際には、原産国への利益配分や技術提供などに充分な注意を払う必要がある。本ポジウムでは海外生物資源へのアクセスおよび利用の現状と問題点、海外生物資源を用いた応用研究に関する話題を提供する。
4. 独立栄養的代謝の産業応用的基軸 (JBA新資源生物変換研究会共催)
- オーガナイザー: 石井 正治(東大院・農生科)・倉根 隆一郎(中部大・応用生物)
浦尾 秀雄(バイオインダストリー協会) - 会場・時間 : S8 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
地球上の全ての従属栄養生物の生命活動は、究極的には独立栄養生物が触媒する同化的あるいは異化的な代謝に依存している。このことは、独立栄養生物の代謝を巧みに発掘すれば、産業的に応用可能な反応系を数多く引き出し得ることを暗示している。そこで、本シンポジウムでは、独立栄養的代謝をエネルギー代謝、炭素・窒素・硫黄代謝と広く捉え、それぞれの分野での最先端の研究を紹介いただく。さらに、潜在的応用可能性についても言及いただくことで、独立栄養的代謝の産業応用的基軸について探ってみたい。
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5. 地球環境と地域環境保全のための光合成微生物(光合成微生物研究部会共催)
- オーガナイザー: 淺田 泰男(日大・理工)・佐々木 健(広島国院大院・総合工)
- 会場・時間 : S13 (全学教育棟本館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の生成は、化石燃料の大量消費を主とする人類の活動に起因する。高等植物型、すなわち酸素発生型光合成は言うまでもなく、化石燃料の燃焼反応の逆反応を行う。また、酸素非発生型光合成を行う光合成細菌は、多様な環境汚染物質を様々な条件で分解・利用するばかりでなく、有用物質の生産能をも有している。このような地球レベルおよび地域の環境問題の解決と同時に有用物質の生産に資する光合成微生物の現状と潜在的な能力を、先端的な研究者がレビューし、その可能性を見いだすことを目的とする。
6. 醸造原料植物および醸造微生物の特性とその進化 (清酒酵母・麹研究会共催)
- オーガナイザー: 下飯 仁(酒総研)・後藤 奈美(酒総研)
- 会場・時間 : S5 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
醸造物の生産には様々な原料植物と微生物が使用されているが、これらの生物の特性は非醸造用のものとは微妙に異なっており、人類による選抜や育種などのために独自の進化をとげた生物群である。近年の急速なゲノム解析技術の進歩によって、様々な醸造原料植物および醸造微生物のゲノムが解析され、それらの生物の特性をゲノムレベルで議論できるようになってきた。ゲノム解析やDNA多型解析の結果は、また、これらの生物がどのような進化の道筋を歩み、多様性を獲得してきたのかも示している。本シンポジウムでは、代表的な醸造原料植物および醸造微生物の特性と進化についてゲノムレベルでの議論をおこない、今後の新たな醸造方法や育種方法の開発の方向性を探りたい。
7. バイオマス糖化技術の新展開
- オーガナイザー: 高橋 治雄(豊田中研)
- 会場・時間 : S1 (IB電子情報館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
セルロース系バイオマスからバイオ燃料やポリマー原料を得るためには、いかに低エネルギ・低コストでバイオマスを糖化できるかに成否がかかっている。これを実現するためには従来の延長上では難しくブレークスルーが可能な先端技術の開発が必須である。ブレークスルーが期待される先端研究としてのイオン液体を用いた前処理技術や酵素の新たなソースとしてのシロアリ、また最新のセルロース分解酵素の進化技術等を含めて産学両面からの総合的に討論する場としたい。
8. 地方から目指せ! バイオリファイナリーによる資源循環型社会の構築 (廃棄物資源循環学会 バイオマス系廃棄物研究部会共催)
- オーガナイザー: 木田 建次(熊大院・自科)・酒井 謙二(九大院・農)
- 会場・時間 : S9 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
大量生産、大量消費、大量廃棄の結果、生物系廃棄物が大量に排出され、その処理に伴う二酸化炭素の排出や最終処分地不足が大きな問題となっている。そこで、わが国を数ブロックに分割し、廃棄物系バイオマスや資源作物などの利活用により資源循環型まちづくりや地域の活性化に取り組んでいる事例紹介や開発段階の技術を紹介し、地域に根ざした資源循環型社会の有り様に関して討論したい。
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9. 油糧植物ジャトロファの改良に向けて-日本における遺伝子改変のための基盤整備と方向性- (国際環境資源生物学会共催)
- オーガナイザー: 柴垣 奈佳子(阪大院・工)
- 会場・時間 : S2 (IB電子情報館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
化石燃料の枯渇とともに、Biofuel源としての作物栽培が盛んになってきており、これまで主に食用として用いられてきた植物に、燃料としての付加価値を与えるべく、研究が日々なされている。非食用油を多く種子に貯めるJatropha curcas L.は、バイオディーゼルの良質の原料を与え、しかも他の作物の耕作に適さない低降水量、貧栄養の地の緑化に資する可能性が期待されており、近年、各々興味を持った研究者により、研究が立ち上がりつつある。植物分子生物学分野でこれまでに積み上げてきた技術と知見を最大限に生かし、油糧作物の分子育種に取り組むことを、植物生物学者に課せられた使命と考え、日本におけるJatropha 研究コンソーシアムと呼ぶべき母体を形成し、情報や材料交換を通して速やかな研究の遂行を支えることを目指している。
10. 脂質工学の将来像 (脂質工学研究部会共催)
- オーガナイザー: 岩崎 雄吾(名大院・生命農)・小川 順(京大・微生物科学)
- 会場・時間 : S7(全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
我が国の脂質工学研究は、機能性油脂の発酵生産、酵素・微生物による脂質の高機能化など、世界をリードする優れた成果を発信してきた。さらに高度不飽和脂肪酸、共役脂肪酸、部分グリセリド、不飽和リン脂質、キサントフィル、ユビキノンといった具体的なターゲットの生産技術が確立され、それらの一部は市場に登場するに至っている。本シンポジウムでは脂質工学分野の研究者による最新の研究成果を紹介して頂く。そして学術・産業の両面から、脂質工学の将来像を議論したい。
11. 酵素工学は世界をめざす (酵素工学研究会共催)
- オーガナイザー: 園元 謙二(九大院・農)・中野 秀雄(名大院・生命農)・吉村 徹(名大院・生命農)・廣瀬 芳彦(天野エンザイム・岐阜研)・浅野 泰久(富山県大・工)
- 会場・時間 : S8 (全学教育棟本館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
「酵素工学研究会」は、昨秋、創立30周年を祝ったところである。本研究会は、有用酵素の工業生産と分離精製、生体触媒の使用目的に適合した固定化酵素と反応器の設計などを基礎応用の両面から研究する目的で設立された。現在、酵素の概念そのものが、たんぱく質酵素から、RNA, DNA酵素、抗体触媒などに拡張されている。酵素工学の分野は大発展し、世界的にもいくつもの国際学会が開催されるまでになった。このように酵素工学が扱う分野は非常に広く、生体触媒を持いる工業的有用物質生産を目指して、例えば進化分子工学を用いる新しい酵素の開発、それらの新しい用途開発、酵素の構造と機能研究、生体を一つの反応器と見たメタボリックエンジニアリング分野の研究などに拡大を続けている。
今回のシンポジウムでは、特に、酵素工学の源流からいくつかの最先端研究が始まった経緯を中心とした内容にしたい。すなわち、生物化学工学、新しい生体触媒の開発、それらを用いる有用物質生産等の研究の現状と将来について、企業および大学等から第一線の研究者をお招きして熱く語ってもらう。生物工学会の原点の一つともいえる酵素工学について、一回のシンポジウムでは到底カバーしきれないが、酵素工学の研究者が一層研究と交流を深め、さらに発展する礎としたい。
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12. 蚕バイオテクノロジー -タンパク質生産工場として- ((独)農業・食品産業技術総合研究機構生物系 特定産業技術研究支援センター共催)
- オーガナイザー: 朴 龍洙(静岡大創科技院)・前仲 勝実(九大・生医研)
- 会場・時間 : S13 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
蚕は人類と歴史を共にし、シルクロードを築き上げたアジアが誇る昆虫である。しかし、生物工学分野では、蚕のタンパク質生産能力が高いことは知られてはいるものの、それを生かした応用が十分になされていない。本シンポジウムでは、ライフサイエンスのプラットホームテクノロジーとして、蚕の優れた機能を今後どのように発展させることができるかについて、現状を含め専門家の研究を紹介し、討論できる場を設けたい。
13. 生物と機械の融合-バイオロボティクス- (セルプロセッシング計測評価研究部会共催)
- オーガナイザー: 井藤 彰(九大院・工)・加藤 竜司(名大院・工)
- 会場・時間 : S11(全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
近年、ティッシュエンジアリング分野で発展してきた組織細胞培養技術、マイクロパターニング技術、および三次元組織構築技術を、機械・電子デバイスと融合させることで、生体と機械のハイブリッドシステムの開発が急速に加速している。本シンポジウムでは、「拍動する」心筋細胞、「収縮する」筋芽細胞といった「動く細胞」を利用したバイオアクチュエーターの開発、および脳神経回路を取り入れたロボットの開発に関する最新の発表を通して、セル&ティッシュエンジニアリング研究の新しい方向性を模索する。
14. 非侵襲シングルセル解析-ライフサーベイヤーのめざす生物科学-
(コンビナトリアル・バイオ工学研究部会、ナノバイオテクノロジー研究部会共催)
- オーガナイザー: 民谷 栄一(阪大院・工)・植田 充美(京大院・農)
- 会場・時間 : S12 (全学教育棟本館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
コンビナトリアル・バイオ工学部会(植田充美代表)とナノバイオ部会(民谷栄一代表)を中心に行ってきた科研費特定領域研究「ライフサーベイヤー」は、さらに発展し、「シングルセルの非侵襲解析」をめざした日本発信の世界的組織が進んでいる。この先駆的かつ国際的研究の最新動向を解説し、生物工学の若手研究者への喚起と研究への参加を呼びかけ、新しい生物工学の振興をめざす。
15. 生物工学の新時代を拓く次世代シークエンス
-原理、応用、情報解析まで-
- オーガナイザー: 原島 俊(阪大院・工)・黒川 顕(東工大院・生命理工)・金子 嘉信(阪大院・工)
- 会場・時間 : S9 (全学教育棟本館) 午前 9:00~ ⇒プログラムはこちら
最近の塩基配列決定技術の進歩は著しい。一回のランで決定できる塩基数が1億から100億塩基と、少し前までは考えられなかった莫大な量の塩基配列情報が得られる時代が到来した。生物(ゲノム)の多様性と産業応用に基盤をおく生物工学にとって、まさに好機の時代である。本シンポジウムでは、生物工学に新しい時代を拓く次世代シークエンスについて、その原理、応用、バイオインフォーマティクスまで、最先端の話題を議論したい。
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16. ポストゲノムネットワーク時代の生物工学研究の最前線
- オーガナイザー: 田丸 浩(三重大院・生物資源)・植田 充美(京大院・農)
- 会場・時間 : S14 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
多くの生物のゲノム解析が進み、データベースの蓄積とリソースとしての整備が展開する中、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームを統括するオミックス解析や各種分子の相互作用インターラクトーム解析という次のハードルを目指し、それを越えていく時代が到来している。本シンポジウムでは、生命科学研究の一変曲点を迎えつつある現在において、ゲノム情報をさらに利活用してポストゲノム時代のバイオテクノロジー研究をいかに推進していくかを議論したい。
17. ポストトランスクリプトミクス研究の最前線 (メタボロミクス研究部会共催)
- オーガナイザー: 福崎 英一郎(阪大院・工)・馬場 健史(阪大院・工)・榊原 陽一(宮崎大・農)
- 会場・時間 : S4 (全学教育棟本館) 終日 (午前 9:05~ / 午後 13:30~ ) ⇒プログラムはこちら
トランスクリプトミクスは、DNAアレイ解析技術の発展とともに、ゲノム情報の実行過程のメディアの流れを表現するオーム科学として戦術的には成熟しつつある。一方、プロテオミクスおよびメタボロミクスは、質量分析を主要分析手段とすることから技術的な問題点が多く、世界標準技術が確立されたとは言えないものの、徐々に実用的運用例が報告されつつある。今回のシンポジウムでは、ポストトランスクリプトミクスの重要オーム科学である、プロテオミクス、メタボロミクス、ペプチドミクスの各分野の第一線研究者を招き、その実践例を紹介していただくともに、ポストトランスクリプトミクス研究の将来について議論を深めたいと考えている。
18. 構造活性相関研究の最新の動向 (日本薬学会構造活性相関部会後援)
- オーガナイザー: 川瀬 雅也(長浜バイオ大・バイオサイエンス)
- 会場・時間 : S10 (全学教育棟本館) 午後 13:30~ ⇒プログラムはこちら
構造活性相関は、物質構造と生物活性の関係を数理的あるいは情報化学的に解明しようとする分野であり、医薬品や農薬分野で盛んに研究が行われている。最近の動向を見ると、構造活性相関の研究は、食品機能の解析や環境汚染物質の分解に関して広い範囲に及びつつある。これらの研究は生物工学とも密接に関係があり、生物工学的な視点から構造活性相関を見直すことの必要な時期に来たと考えてよい。このような理由から、今回、構造活性相関研究の最新動向と生物工学の接点を探るためのシンポジウムを企画した。
19. システムバイオテクノロジーが拓く生命工学
- オーガナイザー: 岡本 正宏(九大院・農)・近藤 昭彦(神戸大院・自科)
- 会場・時間 : S15 (全学教育棟本館) 終日 (午前 10:00~ / 午後 13:30~) ⇒プログラムはこちら
近年、細胞/分子の動的挙動の解析、オミクス解析などの解析システムを用い、複雑な高次生命現象をシステム的かつオミクス的に捉える研究がなされている。これらは、基礎的な研究に止まらず、創薬、iPS細胞等の創成、再生医療、複合微生物応用、バイオ燃料を始めとする環境調和型物質の生産など、産業的にも発展性の高い技術シーズである。従来の創薬や育種技術の限界を打破するためには、これらのアプローチから知見を得るだけでなく、システム論的技術そのものを工学的体系として整え、合理的なプロセスデザイン法を確立する必要がある。シンポジウムでは、様々なシステム的なアプローチ等の研究を敷衍し、工学的体系化に向けた問題提起を試みる。