大会実行委員長  大河内 美奈

2024年9月8日(日)~10日(火)の3日間、東京工業大学大岡山キャンパスにて、第76回日本生物工学会大会が開催されました。授賞式・受賞講演は、例年通り大会1日目の午前中に70周年記念講堂にて行われました。名誉会員・功労会員推戴式、各賞の授賞式、続いて、生物工学賞、生物工学功績賞、生物工学技術賞の受賞講演が行われ、500名を超える参加者の皆さんと先生方のご功労に敬意を表するとともに、ご講演を興味深く拝聴しました。

1日目の午後からは、生物工学奨励賞(江田賞、斎藤賞、照井賞)の受賞講演が3会場に分かれて開催されました。その後引き続き、15会場に分かれて一般講演が行われました。夕方には、企業と学生を繋ぐ「学生のための企業研究セミナー」が、ポスター形式で開催されました。第69回大会に早稲田大学にて開催された「イブニングセッション」に倣い、「学生や若手研究者のキャリア形成支援」「企業人から若い世代への産の心と技術の継承」を目的として、企業で研究開発に携わる方から仕事のやりがいや製品開発の厳しさや面白さなどについて、本学会に参加した学生など若手世代に伝えていただきました。また、学生のための企業研究セミナーの終了後に、恒例となっている生物工学若手研究者の集い「若手会総会・交流会」に参加していただく流れとし、どちらの会場も盛況のうちに終えることができました。

生物工学賞,生物工学功績賞,生物工学技術賞,生物工学奨励賞(江田賞,斎藤賞,照井賞),生物工学若手賞受賞者.
下段左より,福﨑,中島田,中山,田中,石井,
上段左より,青柳副会長,秦会長,山野-足立,竹下,白木川,吉本,清水副会長(一部敬称略).

生物工学アジア若手賞,生物工学論文賞受賞者.
下段左より,Wang,小西,小島,大矢,三吉,
上段左より,青柳副会長,秦会長,加藤,尹,金子,清水副会長(一部敬称略).

生物工学学生優秀賞(飛翔賞)受賞者.
下段左より,髙橋,多胡,百瀬,岩倉,
上段左より,浜口,青柳副会長,秦会長,清水副会長,山下(一部敬称略).

生物工学賞の受賞講演の様子

大会2日目、3日目には、シンポジウムと一般講演が行われました。シンポジウムは、本部企画4件、国際シンポジウム2件、公募企画18件の計24件が行われ、それぞれの分野の最先端研究が紹介されました。今大会では昨年の第75回名古屋大会を踏襲し、シンポジウムと一般講演の時間帯を分けて設けました。恒例となりました韓国のThe Korean Society for Biotechnology and Bioengineering(KSBB)、台湾のBiotechnology and Biochemical EngineeringSociety of Taiwan(BEST)との国際シンポジウムは、「未来を拓く:エンジニアリング・バイオロジーの進歩」「次世代の波をつくる:エンジニアリング・バイオロジーの若きイノベータたち」の2部制で開催れました。その後、生物工学アジア若手賞の受賞講演が行われました。また、2日目の同じ時間枠で生物工学若手賞の受賞講演2件が行われました。一般講演は15会場に分かれ、545件の発表がすべて口頭発表にて行われ、225名の方に座長の労をお取りいただきました。東京工業大学は、各建物の講義室数が少ないため、大会受付と企業展示会場を設置した西9号館のある西地区を中心に講演会場を設けました。講義室への道案内や発表分野の配置に注意を払いましたが、会場の構造上、ご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

トピックス集は従来通り、興味深い演題をプログラム編成時に発表申込者による説明文から選定し、要旨提出後に更なる選考が進められ、32演題が選出されました。これらの演題について、大会トピックスとしてPR Timesよりプレスリリースがなされるとともに、「トピックス集」に詳細な要旨が掲載されました.昨年より開始した学生優秀発表賞は、演題申込時に指導教員あたり2演題まで審査対象として申請していただき、厳正な審査[評価項目は、①理解力(背景理解)、②説明力(講演のわかりやさ)、③コミュニケーション力(質疑応答)]により、学生最優秀発表賞7件、学生優秀発表賞34件が選出されました。受賞された学生の皆さん、誠におめでとうございます。また、学生発表236件の審査に、217名もの審査員の方々にご協力いただきましたこと、改めてお礼申し上げます。

第76回大会の参加登録者数は、事前登録および当日までの参加登録者合わせて1872名(正会員693名、学生会員422名、非会員532名、招待145名、他80名)でした。懇親会は、大会2日目の講演終了後に大岡山から10分程の目黒駅近くにあるホテル雅叙園東京に場所を移して開催され、合計466名の方にご参加いただきました。秦洋二会長のご挨拶、来賓の益一哉 東京工業大学学長からのご祝辞に続いて、小澤酒造様からご提供いただいた樽酒で鏡開きを行い、松永是先生(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)に乾杯の音頭を取っていただきました。例年と異なり2日目の懇親会となりましたが、大変多くの皆様にご参加いただき、交流を深めることができました。学会事務局より本学会は会員数あたりの大会参加者数が多い特徴があるとのお話をいただきましたが、大会運営においてもさまざまな場面で大変多くの方々にご協力とご支援をいただき、大会を盛り上げていただきました。ランチョンセミナー、展示、広告、CM動画、飲料提供、学生のための企業研究セミナーなどにおいて、延べ90社の企業様にご協賛いただきました。多大なご支援をいただき改めて心より感謝申し上げます。天気に恵まれた残暑の厳しい大会期間でしたが、大変活気があり、参加者の情熱と熱意が感じられる3日間となりました。この一年の大会準備期間を支えていただきました理事会および学会事務局の皆様、プログラム編成から当日に至るまでの大会運営を進めていただきました東日本支部委員会および大会実行委員会の皆様方にはすべての面で大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。また、大会スタッフとしてご協力いただきました東京工業大学および東京農工大学の研究室の皆様、ありがとうございました。最後になりますが、本大会を東工大で開催することを引き受けられた上田宏 前東日本支部長(東京工業大学)は、2022年の年末にご逝去されました。改めてご冥福をお祈りいたします。

2024年10月1日より東工大は東京科学大学となりましたが、このような時期に多くの皆様に東工大にお越しいただき、大変活気のある大会を開催できましたこと、実行委員会一同、大変うれしく思っております。今後も、本学会が参加者の皆様にとって有意義で活発な議論の場、そして交流の場としてさらに発展することを祈念しております。

来年度の2025(令和7)年度第77回大会は、黒田章夫 実行委員長(広島大学)のもと、広島工業大学で開催される予定です。また来秋、皆様とお会いできますことを楽しみにしております。

懇親会での鏡開き

懇親会場(ホテル雅叙園東京「舞扇」)での写真