第75回日本生物工学会大会は、2023年9月3日(日)から5日(火)の3日間、名古屋市千種区の名古屋大学東山キャンパスで開催いたします。実に4年ぶりの現地開催となります。ハイブリッドを導入するかなどについて実行委員会の方で議論しましたが、本大会は完全なオンサイト開催とすることに決定いたしました。学術発表を対面形式で実施するだけでなく、ランチョンセミナー、企業展示も通常形式で実施します。また、懇親会は、学会創立100周年記念祝賀会として対面開催いたします。オンライン配信は行いませんので、会員の皆様も、会員外の方々も、名古屋にお越しいただき、久しぶりの現地開催をお楽しみください。オンサイトにて、熱い学問の議論と交流を深められることを期待しております。

本大会は、学会発足101年目にあたり、まさに新たな世紀を刻む最初の大会となります。そこで、生物工学会大会としては、新たな試みを実施の予定です。まず、優秀な発表を行った学生に対して「学生優秀発表賞」を授与することとしました。審査をお願いします先生方にはご負担をおかけすることになりますが、学生のモチベーションを上げるためには、今や不可欠であると考えますので、ご協力をお願いいたします。次に、「学生のための企業研究セミナー」を企画しております。これは学生会員のキャリア形成支援を目的としておりますが、同時に賛助会員様を含む企業側にとっては人材発掘の場として活用していただくことも期待されます。学生と企業のマッチングセミナーに相当するもので、双方にとって満足度の高い企画に成れば幸いです。学生が分散して各企業のセミナーが閑散とした状態になるのを防ぐため、初日と2日目に5社ずつ、通常の発表が終了した夕方に、1時間の枠で実施していただく計画です。学生は、就活に入る学年に限らず参加可能ですので、早期から企業研究されるのもよいでしょう。また、博士後期課程学生の将来のキャリア形成につながることも期待しています。また、学術発表については、従来通りシンポジウムと一般講演の二本立てとなりますが、シンポジウムについては、会員の皆様の大型国家プロジェクト等の研究発表の場としてもご活用いただけるよう、共催を呼びかけさせていただきました。共催の定義を学会の方で再確認し、費用負担をいただくことを明確にしたうえで、共催シンポジウムを募集させていただきました。本大会では、該当シンポジウムは2件となりますが、発表側と聴衆との双方にとって有用な情報交換ができると考えておりますので、来年度以降、同様なシンポジウム申込みが増えることを期待しております。

シンポジウム(22件)と一般講演は、なるべく時間帯が重ならないようにプログラム編成する予定ですが、発表件数によっては一部の重複は避けられないかもしれません。また、英語で発表を行う国際シンポジウムは本大会でも重要であると認識しており、こちらも国際シンポジウム同士がなるべく重ならないように配慮して、プログラムを編成いたします。初日の9月3日は午前より授賞式と受賞講演を行い、午後の初めに一部の受賞講演、そして一般講演(一部シンポジウム)と続き、夕方より名古屋市内の東急ホテルにて懇親会(創立100周年記念祝賀会)を行います。シンポジウムには、3件の本部企画、若手会が中心となって企画されたもの、国際シンポジウム、大型プロジェクトの研究発表会に加え、生体分子工学、微生物工学、創薬、バイオDXなど生物工学会らしい幅広い分野からの企画が集まりました。

一般講演は、全て口頭発表形式で実施します。ポスター発表はございませんので、ご留意ください。短い発表時間ではありますが、活発な議論を期待しております。上述の通り、本大会より学生の優れた発表に対し、表彰をいたします。学生の皆様には、受賞を目指して頑張っていただければと思います。また、産学連携および企業研究において実⽤化に向けた活発な研究が進⾏中で、かつ⽣物⼯学的観点からも社会的・学問的に重要であるなど、ニュース性の高い演題を選定し、『Topics of 2023』として公開するとともに、報道各社、協賛その他の企業に広く周知します。

会場の東山キャンパスは、地下鉄駅からのアクセスがよく、本大会は地下鉄上の道路を挟んで立地する工学研究科の4つの建物が会場となります。名古屋を含む東海地区は、戦国武将の出生の場として有名であり、お時間のある時に名古屋城や徳川園などを散策されますのも、気分転換になるかと存じます。ひつまぶし、味噌煮込みうどん、手羽先から、喫茶店におけるモーニングなど、独特な食文化もお楽しみいただけます。

コロナ禍においては、学生の対面発表の機会のほとんどが失われ、教育研究の場にも深刻な影響がもたらされました。オンライン発表にも良い点はあるかとは思いますが、特に学生にとっては、対面で直接議論をたたかわす機会は、非常に重要な経験となるはずです。また、日頃は接することのない他組織の教員や研究員、さらには学生と交流を深められることも、オンサイトでの学会の魅力です。学生以外の研究者の皆様におかれましても、対面での交流が重要であることは、コロナ禍で再認識されたことと思います。4年ぶりの現地開催で過去の開催の様子やノウハウの記憶が薄れ行く中、上述の通り新しい試みもございますので、不備の面が露呈されるかもしれません。しかしながら、皆様には名古屋に足を運んでいただき、オンサイト学会を楽しんでいただけるように、実行委員一同、努力させていただく所存です。どうぞよろしくお願いいたします。

2023年3月
第75回日本生物工学会大会
実行委員長 堀 克敏
(名古屋大学大学院工学研究科)