大会実行委員長 片倉 啓雄

第70回日本生物工学会大会は大阪府吹田市の関西大学千里山キャンパスにて、2018年9月5日から7日までの3日間開催されました。私立大学は後期の授業開始が早いこともあり、期間を9月上旬に設定せざるを得ませんでした。これに伴って、要旨の締め切りもゴールデンウィーク明けとなり、講演者の方にご負担をおかけするだけでなく、プログラム委員をはじめ関係者の方にもタイトなスケジュールになりました。これに加えて、会期が台風シーズンなるが大丈夫か、というご心配も頂いておりましたが、果たしてこれが現実のものとなってしまいました。

8月28日に発生した台風21号は、日米欧いずれの予報でも9月6日前後に紀伊半島から関東に上陸と報じられたため、その対応の協議に入り、参加者の方とアルバイト学生を含めたスタッフの安全を最優先とし、催しは可能な限り開催することを基本方針としました。また、吹田市に暴風警報が発表されている間、および、阪急千里線が運休している間の発表と催しは中止し、さらに、交通機関の不通・欠航で講演できなくなった場合も含めて、学会発表がなされたものとすることとし、大会HPでお知らせしました。

9月3日になると、近畿地方への最接近は次第に早まって4日午後になると予想されたため、4日に予定していた会場設営とアルバイト学生のオリエンテーションは5日の午前中に延期し、展示会場の設営のみを行いました。4日は昼前に切り上げて帰宅しましたが、夕方にかけて暴風が吹き荒れ、関西空港の連絡橋の破損が報じられる中、各賞受賞者が5日午前に会場入りできない場合の対応をメールで協議しました。

5日の早朝、阪急電車が平常通り運行されることがわかったので、大会HPで予定通り開催することをお知らせし、交通機関の乱れでアルバイトを含めたスタッフが揃わない中、手分けをして会場設営を行いました。授賞式では、論文賞と飛翔賞の受賞者の中に間に合わない方もいらっしゃいましたが、記念講演を行っていただく受賞者は全員無事会場に到着することができました。ほっとしたのもつかの間、懇親会の会場が停電で使えない、との報告が入りました。しかし、関西大学生活協同組合および関西大学のご協力で、急遽、関西大学凛風館食堂ディノアをご用意いただきました。懇親会参加者の皆様のご理解とご協力のもと、実行委員とアルバイト学生のチームワークでさまざまな対応を短時間に行うことができ、何とか懇親会の開催にこぎつけました。
 

2018年度学会各賞受賞者)

2018年度学会各賞受賞者
前列向かって左から、浅野泰、清水、滝沢、浅野静、本田、井藤
中列向かって左から、松本、Verawat、Pau-Loke、和田、張、青井、中野、秀瀬
後列向かって左から、藤谷、長森、上原、竹村、上野、堀

 

大会参加者数は、有料参加者1460名に招待者約180名を加えた約1640名で、14の会場で596題の一般講演を行いました。本年度も話題性のある演題を集めたトピックス集を発行し、応募のあった約200題の一般講演から、プログラム委員の投票で30題を選定して(1題は辞退)解説記事を書いていただき、掲載しました。さらに、その中から優秀な4件に対して実行委員長名のトピックス賞を授与しました。⇒詳しくはこちら

5日の夕方の懇親会には当日参加の83名を含む有料参加者358名に招待者約90名を加えた約450名にご出席いただき、木野会長の挨拶、関西大学の芝井敬司学長からの祝辞に続いて、灘の大関株式会社と伏見の月桂冠株式会社にご提供いただいた樽酒で鏡開きを行い、新名惇彦先生に乾杯の音頭を取っていただきました。
 

会長挨拶

木野会長      芝井学長     新名先生

 

鏡開き

懇親会での鏡開き

 

6日は16:30までの一般講演に続いて、ワークショップ「生物工学系の研究・開発の安全のために」と並行して、関西支部若手企画委員と生物工学若手研究者の集いの共催で、「ものづくり交流サロン~学生・若手研究者×企業・公設試~」を開催しました。

交流サロンでは、(株)chromocenter、アサヒグループホールディングス(株)、味の素(株)、バイオ・ファイン研究所、江崎グリコ(株)、大関(株)、カネカ(株)、菊正宗酒造(株)、キユーピー(株)、キユーピー醸造(株)、霧島酒造(株)、月桂冠(株)、サントリーグローバルイノベーションセンター(株)、白鶴酒造(株)、ヤヱガキ醗酵技研(株)の計13社に加えて、大阪産業技術研究所、京都市産業技術研究所、京都バイオ計測センター、奈良県産業振興総合センター、和歌山県工業技術センターの4つの公設試にポスターを展示していただき、研究員・技術者の方に、開発した技術や製品について、開発者のやりがい、こだわり、苦労話を熱く語っていただきました。予定を大幅に超える180名近い方に参加していただき、出展企業からご提供いただいたお酒・ドリンクを飲みながら、時間を忘れて話がはずみました。来聴者にも出展していただいた企業・公設試の方からも大変好評で、今後も継続したい企画にすることができました。
 

ものづくり交流サロン

ものづくり交流サロン

 

7日の午前中の一般講演では、台風の影響で授賞式に間に合わなかった飛翔賞受賞者の一般講演が2件ありましたので、講演終了後に木野会長から賞状を手渡しました。受賞者の笑顔と会場からの拍手が印象的でした。

2018年度飛翔賞受賞者

飛翔賞受賞者(敬称略) 左:眞榮田、右:小川

午後には2部制で21のシンポジウム(うち一つは午前)を開催し、海外からの招待講演が台風や関西空港の閉鎖で4件キャンセルになりましたが、無事、3日間の大会を終えることができました。関係者の方々に改めて厚くお礼を申し上げます。