【大会シンポジウム】招待講演・基調講演
Posted date 2011.07.20 | Updated date 2011.08.24
特別招待講演
- タイトル: スタチンの発見と開発
- 日時: 9月27日(火) 13:15~14:15
- 会場: S2会場(新1号館 L0111教室)
- 講演者: 遠藤 章(東京農工大学 特別栄誉教授)
高コレステロール血症は動脈硬化と冠動脈疾患の主要な危険因子として古くから知られていた。私たちは1970年代初めに、有効なコレステロール低下剤の開発を目指して、6,000株の菌類を調べ、青カビ(Penicillium citrinum)からコレステロール合成の律速酵素HMG-CoA還元酵素の強力な阻害剤(コンパクチン)を発見した。コンパクチンはラットのコレステロールを下げない、肝毒性があるなどで開発が再三中止されたが、これらの問題を解決して、1978年、重症の高コレステロール血症に安全で極めて有効なことを示した。これらの成果を基に、1980年代、1990年代に計7種のコンパクチン同属体(スタチンと総称)が商業化され、現在3,000万人以上の患者に毎日投与されている。91,000名の患者を対象にした14の大規模臨床試験の結果、スタチンはLDLコレステロールを25-35%、心臓発作の発症率を25-30%それぞれ下げ、総死亡率も有意に下げることが示された。
(大会企画シンポジウム)
「美しい地球持続のための脱炭素社会の構築」
- タイトル: 日本「再創造」-「プラチナ社会」の実現に向けて-
- 日時: 9月26日(月) 13:30~14:30
- 会場: S2会場(新1号館 L0111教室)
- 講演者: 小宮山 宏(三菱総合研究所理事長、前東京大学総長)
「有限の地球、高齢化する社会、爆発する知識」が21世紀の重要なパラダイムである。これらの問題に対して日本は何ができるか。日本のエネルギー消費は、家庭、オフィス、輸送の「日々のくらし」が57%、素材、自動車、家電などの「ものづくり」が43%を占める。これからは、日々のくらしでCO2を削減することが重要である。また、日本が抱える温暖化、高齢化などの課題を同時に解決するためのまちづくり運動「プラチナ構想ネットワーク」を始めている。プラチナには、エコ(グリーン)、健康(シルバー)、IT(ゴールド)などの輝きをもった一ランク上の暮らしという意味をこめた。全国各地の知を集めて日本の課題を解決し、新産業を起こし、世界を先導しよう。
- タイトル: 青色LEDの開発と省エネへの貢献
- 日時: 9月26日(月) 15:25~16:25
- 会場: S2会場(新1号館 L0111教室)
- 講演者: 中村 修二(カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)
窒化ガリウム系高輝度青色LEDが1993年に開発、商品化され、LEDの市場は急激に大きくなってきた。これは従来、高輝度のLEDとしては赤色だけしかなかったからである。1995年には窒化ガリウム系高輝度緑色LEDも開発、商品化され、色の三原色である、青、緑、赤の高輝度LEDが、市場で、利用できるようになった。これ以降、LEDを使用してのフルカラー表現ができるようになり、LEDの市場はさらに大きくなった。
特に白色LEDは照明用途として注目されるようになってきて、その高輝度化と共に注目されるようになってきた。最近では、白色LEDの発光効率は、電球光源よりも10倍以上も高い。従来の電球光源を白色LEDに置き換えることにより、電力消費量を十分の一以下にすることができ、大きな省エネ効果がある。アメリカ、ヨーロッパ等では、全電力消費量の、約四分の一が照明光源で消費される。理由は、照明光源として、主に、電球光源を使用しているからである。これらを全て白色LEDに置き換えると、非常に大きな、省エネが期待でき、原子力発電所の数をかなり減少させることが可能になることは言うまでもない。
これら、青色、緑色LEDの開発ストーリーと、白色LEDを使用した応用、省エネ効果等について述べたい。