第2日(9月27日)S2会場(13:15~14:15)
Posted date 2011.08.03 | Updated date 2011.08.03
特別招待講演
座長: 養王田 正文
- 13:15(2S2p01)
スタチンの発見と開発………………………………………………………○遠藤 章 (東京農工大)
【講演者紹介】
遠藤特別栄誉教授は、血中コレステロール値を下げる物質の探索を、確かな科学的見通しの下にスタートさせ、画期的な物質「スタチン」を発見されました。2006年4月に日本国際賞、同年11月にマスリー賞(米国)、2008年9月にラスカー臨床医学研究賞(米国)及び2009年6月に国際動脈硬化学会賞を受賞しています。本年5月に米国科学アカデミー(National Academy of Sciences/NAS)の外国人会員に選出されました。日本からは、遠藤特別栄誉教授とともに、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長が選出されています。
【講演内容】
高コレステロール血症は動脈硬化と冠動脈疾患の主要な危険因子として古くから知られていた。私たちは1970年代初めに、有効なコレステロール低下剤の開発を目指して、6,000株の菌類を調べ、青カビ(Penicillium citrinum)からコレステロール合成の律速酵素HMG-CoA還元酵素の強力な阻害剤(コンパクチン)を発見した。コンパクチンはラットのコレステロールを下げない、肝毒性があるなどで開発が再三中止されたが、これらの問題を解決して、1978年、重症の高コレステロール血症に安全で極めて有効なことを示した。これらの成果を基に、1980年代、1990年代に計7種のコンパクチン同属体(スタチンと総称)が商業化され、現在3,000万人以上の患者に毎日投与されている。91,000名の患者を対象にした14の大規模臨床試験の結果、スタチンはLDLコレステロールを25-35%、心臓発作の発症率を25-30%それぞれ下げ、総死亡率も有意に下げることが示された。