【関西支部】第108回醗酵学懇話会
日本生物工学会関西支部では、例会ならびに見学会/懇親会を下記の通り開催いたします。多数ご参加下さい。
- 日時 2016年2月10日(水)13:30~18:30
- 場所 白鶴酒造株式会社(神戸市東灘区住吉南町4-5-5)
- プログラム ⇒講演要旨はこちら
12:45~ 受付開始
13:30~13:40 開会の辞……高木 博史(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
13:40~14:20 「細菌の自殺制御系 toxin-antitoxin system の多様性とその応用」
……山口 良弘(大阪市立大学複合先端研究機構)
14:20~15:00 「アフリカの食料危機の一因となっている根寄生雑草の防除標的の探索」
……岡澤 敦司(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科)
15:00~15:10 休憩
15:10~15:50 「清酒のおいしさの解析に関する研究」
……玉田 佳大(白鶴酒造株式会社)
15:50~16:00 閉会の辞……加藤 晃(奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科)
16:10~16:50 見学会 白鶴酒造株式会社 本店三号工場もしくは酒造資料館
(本店三号工場見学の申込み受付は終了しました)
17:00~18:30 懇親会 白鶴酒造株式会社
- 定員 70名(本店三号工場の見学には定員がございますので、WEBの申込みフォームよりお申込み下さい。)
- 参加費 1,000円(税込)/学生 無料(当日会場にてお支払い下さい)
- 懇親会会費 2,000円(税込)/学生 1,000 円(税込)(当日会場にてお支払い下さい)
- 申込み方法 氏名、一般・学生の別、所属、連絡先(Tel、E-mail)、本店三号工場見学会参加の有無、懇親会参加の有無を明記して、WEBのお申込フォームよりお申し込み下さい。
- 申込み締切 2016年2月5日(金)17:00(ただし定員になりしだい締め切らせていただきます)
- 交通
阪神住吉駅 徒歩約5分,JR住吉駅徒歩約15分 (それぞれ南へ徒歩)
http://www.hakutsuru.co.jp/community/common/map_shiryo.shtml
- 問合せ先
〒630-0192 生駒市高山町8916-5
公益社団法人 日本生物工学会 関西支部庶務担当 加藤 晃
TEL: 0743-72-5461 FAX: 0743-72-5469
E-mail: kou@bs.naist.jp
講演要旨
- 細菌の自殺制御系 toxin-antitoxin system の多様性とその応用(山口 良弘)
アポトーシス(機能的細胞死)およびプログラム細胞死は真核生物にのみ存在し、分化などに必須の機能であることが知られているが、原核生物にアポトーシスは存在しないのだろうか?近年、原核生物にも多数の toxin-antitoxin (TA) system と呼ばれる自殺遺伝子制御系が存在することが明らかとなり、様々な生理機能を有することが示唆されてきた。また、自殺遺伝子であるtoxinを利用して様々な応用技術が開発されている。私たちは、MazF toxin (ACA 配列特異的RNA分解酵素) を用いて RNA ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV) や C型肝炎ウイルス(HCV) を細胞内から根絶できることが可能であることを示した。また、細胞内で目的タンパク質のみを発現できる “single protein production (SPP) system” をさらに応用し、目的タンパク質のアルギニン残基をすべて毒性があるカナバニン (アルギニン誘導体) に置換したタンパク質の創生に成功した。今回は、TA system の生理的役割およびこれまで開発した応用技術について紹介する。
- アフリカの食料危機の一因となっている根寄生雑草の防除標的の探索(岡澤敦司)
アフリカおよび地中海沿岸諸国を中心に、根寄生雑草による農作物への被害は年間一兆円に上ると推定されている。また、アフリカの開発途上国での農作物の減収は飢餓問題に直結するため、この問題の早期解決が求められている。これまでに多くの研究者らによって様々な防除方法が提案されてきたが、実用化にいたった例はなく、依然、根寄生雑草による被害は拡大中である。我々は、根寄生雑草に選択的な除草剤の開発に向けて、その標的となる分子を探索している。日本に帰化した根寄生植物であるヤセウツボ(Orobanche minor)を実験材料として、発芽種子のメタボローム解析を行ったところ、この過程でガラクトシルスクロースであるプランテオースが代謝されることが明らかとなった。本講演では、根寄生雑草の発芽におけるプランテオース代謝の重要性と、防除標的としての可能性について、これまでに得られている知見を紹介する
- 清酒のおいしさの解析に関する研究(玉田佳大)
清酒の分析項目としては、日本酒度・アルコール度数・酸度・アミノ酸度が一般的であるが、それらの分析値が同一であっても清酒の味わいに違いが見られることがある。こうした味わいの違いを客観的な指標に落とし込むことができれば、清酒のおいしさの追求やおいしさを担保するような品質管理に役立てられると期待される。そこで我々は、味認識装置とメタボロミクス技術を組み合わせて、上記のような一般分析値では把握できないような清酒の酒質特性を客観的な指標に落とし込むことを試みている。本講演では、「白鶴錦を使用した大吟醸酒の酒質特性の解析」、「清酒の押し味の解析」の2つの具体的な事例を取り上げて、我々の取り組みを紹介する。