【関西支部】第103回醗酵学懇話会
日本生物工学会関西支部では、第103回醗酵学懇話会を以下の通り開催いたします。
- 日時 2013年8月30日(金)13:30~18:00
- 場所 アサヒビール(株) 吹田工場 (〒564-0071 吹田市西の庄 1-45) ⇒アクセス
Tel: 06-6388-1231(担当:醸造部 福井)
JR 東海道線「吹田駅」徒歩 10 分、阪急千里線「吹田駅」徒歩 5 分
西門にお起し下さい。
- 講演(13:30~15:20)
「乳酸菌と酵母のコミュニケーション」 ⇒講演要旨はこちら
…………(関西大学化学生命工学部)片倉 啓雄
「ホップのプレイソ化による苦味利用率の向上とビールの苦味質評価」 ⇒講演要旨はこちら
…………(アサヒビール株式会社吹田工場醸造部)瀧下 誠一
- 見学(15:30~16:20) アサヒビール(株) 吹田工場
- 懇親会(16:30~18:00) アサヒビール(株) 吹田工場
- 参加費 1,000円(不課税)/学生 無料(当日会場にてお支払い下さい)
- 懇親会会費 2,000円/学生 1,000 円(当日会場にてお支払い下さい)
- 定員 80名(定員になりしだい締め切ります)
- 問い合わせ先
〒657-8501
神戸市灘区六甲台町 1-1 神戸大学自然科学系先端融合研究環
日本生物工学会 関西支部庶務担当
蓮沼 誠久
TEL.&FAX: 078-803-6202
E-mail: hasunuma@port.kobe-u.ac.jp
講演要旨
関西大学化学生命工学部 片倉 啓雄
多くの発酵食品には乳酸菌と酵母が共存し共生関係にある。彼らの共生には、一方の生産物が他方の基質になる、一方が他方の阻害物を除去(分解)する、一方が作る加水分解酵素で他方も基質を得る、一方が作る抗菌物質で他方も競合を免れるなどのパターンがあるが、何れの場合においても、両者がバラバラに存在するよりも、接着して存在する方が有利になる。
本講演では、まず、酵母との共培養によって乳酸菌の細胞外多糖の生産性を向上させた研究を紹介する。そして、この研究に端を発して、乳酸菌はその細胞表層にDnaKをはじめとする細胞内タンパク質を酵母との接着タンパク質として提示すること、乳酸菌はこれらの接着タンパク質によって、酵母だけでなく、腸管のムチンや食物繊維とも相互作用することなどを明らかにしたので、将来のプロバイオティクスへの応用の可能性を含めて紹介する。
アサヒビール株式会社 吹田工場醸造部 瀧下 誠一
ホップはビールに苦味を付与する重要な原料である。ビール醸造工程の麦汁煮沸という工程中にホップを添加すると、熱によりホップ中のフムロン等のα酸が、イソフムロン等のイソα酸に変換(イソ化)されることにより、苦味が付与される。一般的には、麦汁とホップを同一の容器で煮沸するのだが、アサヒビールではホップを麦汁とは別々に煮沸するための小容器PIE (Pre-Isomeriser & Evaporator)を開発した。これにより、省エネ・苦味利用率の向上(少ないホップ量で同等の苦味を得ることができる)が実現可能というメリットが得られた。
本設備は、アサヒビールの国内8工場中5工場に実用展開されている。本講演では、アサヒビールとドイツのミュンヘン工科大学との共同研究として、パイロットプラントスケールの醸造設備およびPIEを使用したさらなる苦味利用率の向上、またそのときのビールの苦味質の評価に取り組んだのでこれらについて紹介する。