大会実行委員長 稲垣 賢二

「晴れの国 岡山」らしい晴天に恵まれ、第71回日本生物工学会大会は2019年9月16日(月・祝)~18日(水)の3日間、岡山市内の岡山大学津島キャンパスで開催されました。当初、連休明け17日(火)からの大会日程で会場予約をしていましたが、他学会との日程重複を最小限にするため、一日早く祝日の16日(月)から開催することとしました。結果的には、祝日であったにもかかわらず、初日から800名以上の方にご来場いただけたので、変更して良かったと思います。全日程では約1600名、海外からも6か国72名もの方に参加していただき、活発な学術交流や産学連携の機会として大いに盛り上がりました。

西日本支部が担当する大会としては今回が5回目で、2013年度大会以来6年ぶり、岡山県内での開催は生物工学会史上初めてとなりました。会場の岡山大学津島キャンパスは、JR岡山駅から徒歩圏内にあり、また平坦な場所にあるため非常に使い勝手の良い場所です。またいつか開催されると良いと思います。

本大会の最大の特徴はシンポジウムと一般講演を全日並行して開催したことでした。両方のプログラムを並行して進めるにあたり、講演者や座長の重複を避けるという運営上の課題がありました。生物工学会は幅広い領域をカバーしているため、異なる分野でも同じ講演者や同じ座長が関わる可能性が高いです。ということで、プログラム編集会議では発表者、そして座長の選定においてシンポジストと可能な限り重複しないように注意しました。その結果、若干の重複はあったものの、特段の混乱はなく上手くいったと思います。会場は3日間を通じて若い会員が多く見られ、シンポジウムも一般講演も各会場大変な盛り上がりで、今回のシンポジウムと一般講演の並行実施の取組みは成功したと考えています。さらに、本年度も話題性のある一般演題30題(1題は辞退)を選定して事前に解説記事を書いていただき、「トピックス集」を作成し、記者発表で配布、紹介しました。また、実行委員の投票により3題を「トピックス賞」として選考し懇親会の会場で発表しました。

3日間にわたり、シンポジウム23件、一般講演605演題の他、ランチョンセミナー8件、懇親会、若手会総会・交流会・イブニングセッション、展示会など、かなりボリュームのある内容でしたが、学会事務局をはじめ、スムーズな大会運営にご協力ご支援いただいた企業および関係団体の皆様に心より感謝申し上げます。
 

2019年度学会各賞受賞者

2019年度学会各賞受賞者(敬称略)
前列向かって左から,伊藤,紀ノ岡,今井,伊藤一,佐々木,杉浦,小原
中列向かって左から,Li,渡辺,石井,鈴木,菅沼,高橋,渡辺
後列向かって左から,米倉,伊藤,高野,本山,橋田,大川,馬場

 

名誉・功労会員推戴(飯島・大竹・松永)

名誉・功労会員推戴
左から,飯島,大竹,松永(敬称略)

 

受賞講演

受賞講演

 

ここで簡単に日程を振り返りますと、まず初日16日は午前に岡山大学創立五十周年記念館で名誉会員・功労会員推戴式、各賞の授賞式、続いて、学会賞、功績賞、技術賞の受賞講演が行われ、ランチョンセミナーを挟んで、午後には奨励賞とアジア若手賞の受賞講演、6件のシンポジウムそして一般講演が行われました。特に若手会員が企画したシンポジウムでは立ち見も出るほど盛況でした。18時30分から岡山ロイヤルホテルにて開催した懇親会には当日参加の87名を含む有料参加者386名に招待者約120名を加えた約500名の方にご出席いただきました。大会実行委員長挨拶、髙木会長の挨拶、来賓代表岡山大学槇野博史学長からの祝辞に続いて、岡山の地酒「酒一筋」で有名な利守酒造さんから提供いただいた樽酒で鏡開きを行い、中西一弘大会顧問に乾杯の音頭を取っていただきました。今年はビール醸造協会4社からの新鮮で美味しいビールに加え、地ビールブームの先駆けとなった地元岡山の宮下酒造の「独歩」ビールと、西日本各地の7つのワイナリーから提供いただいたワインの特別コーナーも大好評、会員交流も大盛り上がりで、あっと言う間の2時間でした。

 

挨拶

髙木会長      槇野学長

鏡開き

鏡開き

鏡開き
左から,韓国生物工学会(KSBB) Lee会長,台湾生物工学会(BEST)Chang会長,
中西実行委員会顧問,稲垣実行委員長,槇野学長,髙木会長

懇親会

懇親会の様子
 

2日目17日は岡山大学一般教育棟にて、本部企画の特別シンポジウム「持続可能な開発目標(SDGs)を生物工学にどう活用するか」を含む10件のシンポジウム、10会場で午前と午後の一般講演、ランチョンセミナー3件、代議員会が開催され、この日1日で900名を超える参加がありました。18時からは若手会総会・交流会を兼ねたイブニングセッションが開催され、先端研究の情報提供と研究交流を目的に、学生・若手研究者と企業人との交流の場となりました。イブニングセッションでは酒類総研(広島)と月桂冠(京都)にご出展いただき、約130名もの多くの参加者で大変奥深く実りある交流会となりました。

3日目18日も朝から7件のシンポジウム、10会場で午前と午後の一般講演、ランチョンセミナー2件と、他学会との日程重複にもかかわらず、最終日まで大いに賑わって終了いたしました。

なお、今回は一般講演の合間を利用できるよう隣接した大学会館にて展示会を開催し、参加企業54社から企業の技術シーズと魅力をアピールしていただきました。岡山大学生協も書籍と岡大グッズを販売、地元の土産物店による岡山土産コーナーも好評でした。また今大会では、おかやま観光コンベンション協会のご支援をいただき、無料の託児所も設置することができて、数名の方にご利用いただき好評でした。大会では引き続きの託児所設置が望ましいと思います。

 

最後になりましたが、今回の岡山大会実行委員会は岡山大学大学院環境生命科学研究科、自然科学研究科、ヘルスシステム統合科学研究科、岡山理科大学の会員の協力で中心メンバーを組織しました。大会運営にご尽力いただきました実行委員の皆様に改めてお礼申し上げます。