第61回 日本生物工学会大会(2009)後記
Posted date 2009.11.25 | Updated date 2009.11.25
大会実行委員長 本多 裕之
日本生物工学会の第61回大会を,平成21年9月23日(水)から25日(金)の3日間の日程で,名古屋大学東山キャンパス(一般講演=工学研究科1号館,IB電子情報館,工学研究科7号館,シンポジウム=IB電子情報館,全学教育棟本館)をお借りして開催いたしました.多数の会員の皆様のご参加と,出展いただいた関連企業の皆様のご協力を得て無事実行することができました.参加者の皆様,ならびに高見澤支部長を始めとして中部支部からお手伝いいただいた実行委員の皆様,会場を拝借した名古屋大学の関係者の皆様,また特に事前準備から大会期間中もあちこち奔走いただいた中野先生はじめ準備委員の先生方,実直に仕事を全うしてくれたアルバイト学生諸君に厚く御礼申し上げます.ここに大会の開催につきまして,以下のようにご報告申し上げます.
初日は雨がぱらついたが,以降は天候にも恵まれて実行できた.何よりインフルエンザの心配も杞憂に終わり,準備した2000 枚のマスクがほとんど使われずに済んだことは喜ばしい限りであった.今大会は,生物工学会では初めて一般講演を含むすべての講演をPCプロジェクターで発表していただいた.大きなトラブルもなく円滑に運営でき,おおむね好評であった.また初めて,すべての受賞講演を授賞式に続けてご講演いただき,シンポジウムを一般講演と切り分け最終日に集中させた.シンポジウムの並行開催には賛否両論あるが,オーガナイザーの皆様のご努力もあり,極端に参加者が少なくなることもなく,今後も継続検討に値する実行方法であろう.
講演件数は,一般講演589演題,シンポジウム19テーマ109演題,招待講演5演題,受賞講演7演題,あわせて710件であった.有料参加者数は,正会員761名,学生会員353名,非会員334名の合計1448名であった.予約参加者数は1020 名であった.秋の大型連休の最終日が大会初日,インフルエンザの流行,ということで参加者の減少が懸念されたが,逆に過去最高であった.今大会から参加費がクレジット決済で支払い可能になったことも参加しやすい環境つくりの一助になったのかもしれない.展示会はIB 電子情報館中棟のプレゼンテーションスペースを使って実施され,出展ブースは28社35コマに達し,これまでになく多くの企業にご出展いただけた.
大会初日午前中に授賞式がとりおこなわれた.飯島信司会長の挨拶,授賞経過報告に続き,生物工学賞(塩谷捨明氏),生物工学功績賞2件(田谷正仁氏,山田 隆氏),生物工学功労賞(安部康久氏,石川陽一氏),生物工学奨励賞(斎藤賞)(杉山峰崇氏),生物工学奨励賞(照井賞)(滝口 昇氏),生物工学技術賞(古田吉史氏ら),生物工学アジア若手賞(Suchada Chanprateep 氏),生物工学論文賞7 件(鮫島結香氏ら,古田吉史氏ら,渡邉貴嘉氏ら,馬場健史氏ら,高屋朋彰氏ら,京極健司氏ら,Gianni Ciofani氏ら)の各賞が授与された.あと,生物工学功労賞の受賞の挨拶,ならびに生物工学賞,生物工学功績賞,生物工学技術賞の受賞講演があり,昼食後,斎藤賞,照井賞,およびアジア若手賞の受賞講演も引き続き同会場で行われた.
授賞式にて.前列向かって左から,塩谷,田谷,山田,川戸(安部代理),石川,杉山
後列向かって左から,滝口,馬場,古田,高屋,Chanprateep,西島,鮫島
Ciofani,丸岡,Migliore,渡邉(敬称略)
1日目15時から2日目19時近くまで12会場に分かれて一般講演が行われ,大会3日目は主な会場を全学教育棟に移し,15 会場に分かれてシンポジウムが行われた.また,一般講演のうち,特に話題性が高いと思われる19演題を実行委員会で選出した.これらの演題は,科学技術振興機構の後援をいただいて,3 日目午前に「トピックスシーズ発表会」と題して,少し長めに時間をとって研究背景や応用分野をわかりやすく発表していただく機会を設けた.講演要旨を掲載したトピックスシーズ集を作成し無料配布した.また,同じく3日目午前に特別セミナーとして修士・博士課程在学者をはじめ若手研究者を対象とした「若手理系人のためのキャリアセミナー」も開催した.
懇親会は初日の夕刻,大学から地下鉄で15 分にあるメルパルク名古屋で開催した.また,懇親会前の時間を使って酒造技術者名刺交換会として,地元の酒蔵の技術者と,学会理事および灘・伏見の大手酒造メーカー技術者とのクローズドな懇談会も実施した.30名の参加者で,寄付の地酒を品評しながら酒造業界の今後について熱く語られた.懇親会は,招待者を含め350名の参加を得て,ホテルで最も広い会場が狭く感じられるほどの盛況であった.東海4県の酒造メーカーおよびビール各社からご提供いただいた酒類と料理が並び,天むす,ひつまぶし,味噌串かつ,手羽先などの“名古屋めし”の屋台も5つ出て皆様に満足いただけた.次回開催地の九州支部長園元先生,宮崎大学の水光先生からは,プロジェクターを使った紹介があり,興味を引く演出であった.
環境・食料・医療など我々を取り巻く社会問題は広く,本会から発信される新技術への期待感は非常に大きい.日経バイオテクノロジーオンラインで一般講演のうち8件がニュースに掲載されたことも注目に値する.今後ますます活発な学会発表と議論を期待し,今大会に参加された多数の皆様,ご協力いただいた皆様に重ねて感謝申し上げ,大会後記とする.
一般講演会場にて
シンポジウム会場にて
展示会場にて
懇親会・鏡割り