デザインドバイオマス学とスマート発酵工学:
植物育種研究と発酵工学研究のコラボレーション

オーガナイザー: 園元謙二(九州大)・伊藤幸博(東北大)

発酵微生物を用いた植物を原料とする有用物質生産技術の開発には、植物育種学者と発酵工学者の連携が今後ますます重要となってくる。すなわち、発酵微生物が 利用しやすい植物を前者が育種し後者に提供する一方、植物の育種に際し後者が前者に助言を与えるとともに、提供された育種植物を利用した新たな発酵プロセ スを開発するという連携研究である。今回のシンポジウムでは、アジア特有の植物バイオマスを原料としたバイオ燃料やグリーンケミカル生産を取り上げ、これらの新しい概念・学問について活発に議論し、本領域について情報交換し、2つの研究分野の連携により未来の生物工学の根幹を担う学際研究を発信できる機会を与える。
 

<国際シンポジウム>
ファージバイオコントロールの新展開:Red Queenの挑戦

オーガナイザー: 山田 隆(広島大)・Orawan Chatchawankanphanich(NSTDA, Thailand)

人間生活において、長年の薬剤使用が環境汚染、健康被害、生態系混乱を招いてきた。環境には薬耐性菌が蔓延し、薬剤効果が非常に低下している(大量の薬剤使 用・負の循環)。近年の温暖化、大雨等の異常気象によって作物病害は拡大傾向にあり、作物生産量と品質は大幅に低下している(病害の拡大・生産量・品質低 下)。ここに「化学農薬」に代わる「効率の良い安全かつ持続的なコントロール技術」の開発が必須である。その有力候補として病原菌の天敵バクテリオファー ジを利用した総合的バイオコントロール技術が展開している。これまでの成功例を国際的に紹介し更なる広がり(特にアジアでの展開)を展望する。

  • JST/BIOTEC共催
     

水圏バイオマスリファイナリー研究の最新動向

オーガナイザー: 中島田豊(広島大)・中野秀雄(名古屋大)・植田充美(京都大)

現在、化石燃料や原子力エネルギー依存からの脱却が求められており、再生可能資源・エネルギー利用に対する要求は高まるばかりである。特に、我が国は広大 な排他的経済水域を有しており、陸水や海洋で生産される水圏バイオマスの利用技術開発は日本に課せられたより重要な使命である。また、本大会の開催される 中国山陽地方は海洋資源の宝庫である瀬戸内海に面しており、将来、水圏バイオマス利用の発進地となりうる。しかし、陸上バイオマスと比較して水圏バイオマ ス利活用に関する関心は未だ大きくない。そこで今回、水圏バイオマス利用に関する先端研究者による講演を通じ、本分野の研究動向を紹介するとともに、今後の研究のあり方について議論を深めることを目的として本シンポジウムを開催したい。

  • JBA新資源生物変換研究会共催

►このページのトップへ

極限生物たちが切り拓く未来の環境バイオテクノロジー

オーガナイザー: 本田孝祐(大阪大)・小西正朗(北見工大)

培養技術やメタゲノム解析技術の発展に伴い、より過酷でより広範な環境からの新規微生物の探索が加速している。これら極限微生物(由来分子)の頑健性は工学 的ツールとしても極めて魅力的である。本シンポジウムでは、これらのツールを駆使し、環境調和型社会の構築に向けた新たな技術的パラダイムの構築に挑戦する若手研究者たちを招き、その研究成果を紹介していただく。大会の基本コンセプトのひとつである「未来の生物工学」の一端について議論を深める場とした い。

極限環境微生物を用いた動植物の機能向上と環境負荷低減の可能性

オーガナイザー: 宮本浩邦(千葉大)・酒井謙二(九州大)

極限環境微生物を用いた科学技術は日本が世界をリードしている。本シンポジウムでは、その中でも、動植物、並びに環境負荷軽減を制御するフィールドレベルの 技術に焦点を絞り、研究事例を紹介する。動物の免疫や肥満を制御する好熱菌、並びに温暖化ガスを制御する発酵肥料、生分解性プラスチックの生産や、湖沼浄化に寄与する利用技術などの最新の知見について、幅広くディスカッションを進めていく。
 

生物発光とバイオセンシングの新たな展開

オーガナイザー: 黒田章夫(広島大)・民谷栄一(大阪大)・上田 宏(東工大)

生物発光を用いたバイオセンシングはシグナル/ノイズ比が高く、高感度な検査手法であることが知られている。最新の光検出デバイスの簡易化や高感度化とも相まって、今後も細胞毒性検査や抗原抗体検査、バイオイメージングなどの分野でのさらなる利用が期待されている。本シンポジウムでは、生物発光を用いた新しいバイオセンシングの原理と実際の最先端技術についての講演を揃え、今後の展望についての議論や情報提供を行う。

  • 生物工学会ナノバイオテクノロジー研究部会、日本化学会バイオテクノロジー部会との共催
     

二次代謝生合成系の人為制御による「ものつくり」への応用

オーガナイザー: 荒川賢治(広島大)・岩下和裕(酒総研)

近年のシークエンス技術の進歩により、抗生物質などの有用二次代謝産物を生産する糸状菌や放線菌のゲノム情報が短時間で入手可能となっている。例えばStreptomyces属 放線菌は1菌株あたり20種類以上、麴菌では60種類以上の二次代謝生合成クラスターを有している。しかし、そのうち通常培養で生産される化合物は1-2 割程度あり、二次代謝物生産能のポテンシャルに興味が持たれる。本シンポジウムでは複雑な二次代謝設計図(生合成経路)の解読および物質生産への応用、遺伝子発現制御を基軸にした潜在的二次代謝覚醒技術について焦点を当て、生物工学を駆使した「ものつくり」の研究成果および将来展望について議論する。
 

代謝工学がもたらした”ものづくり”と今後求められる技術

オーガナイザー: 松田史生(大阪大)・白井智量(理研)

代謝工学がこれまで培ってきた代謝解析および改変技術は、多彩な化成品原料へと高効率に生産する微生物の開発に大きく貢献してきた。これらの成果をより発展 させ、持続可能な未来社会の構築に寄与して行くには、これまでの既成概念にとらわれずに、代謝工学分野の要素技術を刷新していくことが強く求められている。本シンポジウムでは、代謝工学の到達点を総括するとともに、次世代の代謝工学の方向性について議論する場としたい。

►このページのトップへ

実用化に資する動物細胞培養技術
~幹細胞の応用とボトルネックの解決に向けて~

オーガナイザー: 加藤竜司(名古屋大)・宮本義孝(成育医療研究センター)

動物細胞培養技術は、抗体医薬などの医薬生産手段、さらに再生医療における移植用細胞の調製手段として、そのステージは学から産へと移行し、その実用化の追 求には生物工学の技術の導入が今後強く求められる。本シンポジウムは、昨年度開催された同表題シンポジウムへの反響を踏まえ、当該分野の産学官が注目する 技術とアイディアを融合できる場として第二弾を企画するものである。本シンポジウムでは、当該分野における世界的実用化技術をReviewする講演、および新規技術の講演を通じて、生物工学が担うべき当該分野を改革する次世代研究の方向性をシニアおよび若手研究者が議論し共有化する。

  • セルプロセッシング計測評価研究部会

 

アミノ酸酸化酵素の研究の新展開

オーガナイザー: 稲垣賢二(岡山大)・澤 嘉弘(島根大)

アミノ酸酸化酵素は、FADやFMNを補酵素とし、アミノ酸の酸化的脱アミノ化反応を触媒する酵素であり、蛇毒酵素など古くから知られているが、最近バイオ センサーとしての利用が注目を集めている。このシンポジウムでは、L-グルタミン酸・L-アスパラギン酸酸化酵素をはじめとするL-及び D-アミノ酸酸化酵素の国内外の研究者を糾合し、ユニークな構造や新規な機能、バイオセンサー等としての活用法について幅広い視点から議論する。
 

無機化合物の微生物変換研究の最前線

オーガナイザー: 上村一雄(岡山大)・三本木至宏(広島大)

微生物の代謝機能の中には、地球環境そのものに大きな影響を与えたり、微生物~微生物間相互作用を担ったりしているものが数多く知られている。本シンポジウ ムでは、地球微生物学的および環境微生物学的観点から、元素の変換や循環に関わっている微生物(主に独立栄養微生物)に関連した研究を取り上げ、関連する微生物の生理機能に関する最新の知見並びにその機能の応用的研究を紹介するとともに、研究の将来像等について議論する。
 

次世代の植物バイオテクノロジー–未来型分子育種への挑戦 –

オーガナイザー: 岡澤敦司(大阪府大)・田口悟朗(信州大)

1994年に植物バイオテクノロジーによる育種によって開発された、いわゆる遺伝子組換え作物が世界で初めて商品化されて以来、国内外における様々な社会運動を伴 いつつ、その栽培は世界的に拡大の一途をたどっている。さらに、この 20 年の間にバイオテクノロジーを基礎とする新しい育種技術(New Plant Breeding Technology: NBT)が進展し、現在、従来型の遺伝子組換え作物の枠を超えた次世代品種が開発されようとしている。本シンポジウムでは、これら最新技術や次世代品種の開発に関わる第一線の研究者を講師に招き、未来へ向けた植物バイオテクノロジーの応用展開について議論する。
 

酵母の生存戦略から学ぶ–環境応答機構と産業利用–

オーガナイザー: 川向 誠(島根大学)・吉田 聡(キリン)

酵母の研究は、真核生物の基本的なメカニズムを理解するためのモデル生物として、そして酵母を利用して物質生産する宿主としての研究が両輪となりうまく連携 しながら発展してきた。酵母での細胞周期の研究がガンの理解に貢献した事例や、人間に有用な物質を酵母で生産することが健康に貢献してきたのが代表的事例である。本シンポジウムでは、酵母が高温、栄養飢餓状態、環境ストレス下、あるいはアポトーシスを含め、生き残るためにいかにその仕組みを発展させてきたか、またそれを研究者達はいかに利用してきたかを議論する場としたい。本シンポジウムを通して生物工学分野における酵母を題材とした研究の将来ビジョンを 考えたい。

►このページのトップへ

糸状菌の総合オミックス解析の現状と展開

オーガナイザー: 岩下和裕(酒総研)・高谷直樹(筑波大)

シーケンス技術の大幅な発展による多生物ゲノム解析やRNA-seq解析、質量分析技術の高度化によるプロテオーム解析やメタボローム解析技術の劇的な進展に より、糸状菌研究を取り巻く研究環境は、技術・情報ともに激変をとげている。今後の研究の進展には、これらの技術・情報を生かし、どの様な研究を進めるかということが重要となってくる。本シンポジウムでは、糸状菌での総合オミックス解析の現状を紹介すると共に、今後の研究への応用、新しい展開について紹介・議論する。

温故知新:沖縄の伝統蒸留酒「泡盛」の研究開発

オーガナイザー: 塚原正俊(バイオジェット)・高木博史(奈良先端大)

泡盛は約700年の歴史を有する国内最古の蒸留酒であり、黒麹菌の使用、全麹仕込み、単式蒸留、「熟成による古酒化」など他の酒類にない特徴を有する。沖縄 県では平成24年度より「琉球泡盛調査研究支援事業」にて産業振興を目指した基盤研究を進めている。本シンポジウムでは、地方伝統産業の先端研究例として、当該事業の目的や方向性とともに、「微生物機能を活用した新しい泡盛の開発」「熟成の科学」などの独創的な研究成果を産学官の立場から発信する。また、沖縄発の次世代シークエンス技術による比較ゲノム・育種への有用性と波及効果を議論したい。

九州における新産業創出に向けた発酵研究

オーガナイザー: 北垣浩志(佐賀大)・古川壮一(日本大)

最近、Applied and Environmental MicrobiologyJournal of Agricultural and Food Chemistryに 掲載された九州の発酵産業に関する研究成果を起点として、技術イノベーションが起こり、新産業が九州にて立ち上がりつつある。本シンポジウムではこれらの研究成果を中心に講演してもらい、日本の他諸地域における技術イノベーション・新産業創出に向けたヒントとしてもらうことを目指したい。本シンポジウムは、「地方からのNext page」というコンセプトに沿っていると考えている。

広島から世界を眺めて:展開するバイオマスリファイナリー

オーガナイザー: 星野 保(産総研バイオマスリファイナリー研究センター)

石油に代わる持続可能な資源としてバイオマスから発酵による化学品製造技術(バイオリファイナリー)は近年さらに重要性を増しており、本学会が研究発表の中 心である。中国地域は古くから林業が盛んであり、森林資源を対象としたバイオリファイナリー研究が活発に行われている。本地域で開催される大会に合わせて、同地域および共同研究先の海外研究機関の研究をまとめて紹介し、中国地域から本研究の魅力と今後の展望を示す。

未来の生物工学を担う若手研究者のキャリアを考える

オーガナイザー: 榊原陽一(宮崎大)・井上謙吾(宮崎大)

近年、大学院大学の新設や、大学院における定員の増加にともなって博士の学位を有する若手研究者が多数誕生した。しかしながら、多くの若手研究者が任期付き ポジションに着いているのが現状である。現在、テニュアトラック制度事業の導入によって、多くの大学においてテニュアトラック教員が活躍している。また、 産業界においても積極的な博士学位取得者の採用が始まっており、「未来の生物工学」を担う若手研究者の育成が求められている。本シンポジウムでは、大学の テニュアトラック制度の紹介、テニュアトラック制度や企業で活躍する博士学位取得者から、自らの経験やこれから博士号取得を目指す若者へのアドバイスを 語ってもらう。

►このページのトップへ