生物工学ハンドブック21世紀はバイオテクノロジーの時代といわれています。輝かしい未来が期待される一方、地球環境、食糧、エネルギーなど人類生存のための問題を解決し、持続発展可能な循環型社会へと英知を傾けて築き上げていく必要があります。このような問題解決のために、生物工学の果たす役割は大きく、その発展にかけられる期待もまた非常に大きいといえます。

このような生物工学分野の発展を支えてきた日本生物工学会は現在、創立80有余年を迎え、カバーする分野も大きな広がりを見せ、当初の醸造学・発酵学を基礎とした醸造製品生産工学体系から、今や、微生物から動植物、醸造飲料・食品から医薬品・生体医用材料、遺伝学から生物化学工学まで、対象生物、対象製品、方法論に関する幅広い展開と広大な対象分野での貢献をなしてきています。

バイオテクノロジー発展の歴史をたどっていくと、応用微生物学と発酵工学がその根幹にあることがわかります。戦後の好気攪拌培養による抗生物質生産プロセスの開発に始まり、有機酸、抗生物質の大量生産が行われ、このころさかんに研究された技術である代謝制御発酵技術はおおいに発酵工業の発展に貢献しました。その後の大きな流れ、遺伝子操作、分子生物学、細胞工学、組織培養といったいわゆるニューバイオテクノロジーの時代を経て、ヒトゲノムが完全に解読された現在では、ゲノム・ポストゲノム時代を迎えています。この時代に、生物工学がカバーしており、またカバーすることが期待されている分野は多岐にわたっています。

したがって、一会員にとっては同じ生物工学でありながら分野が異なると必ずしもその分野の事項に関して精通していないという悩みがありました。そこで、80周年を契機に日本生物工学会は、学会がカバーする分野に関するハンドブックを編纂することになりました。

編集にあたっての基本方針は以下のとおりです。

  1. 生物工学会がカバーする各分野について、生物工学会の特徴を生かしたかたちで記述する総合的なハンドブックにすること。
  2. 本書は、生物工学のいずれかの分野を専門とする大学院生から実務者までが、生物工学の別の分野(非専門分野)の知識を修得できる実用書を目指すこと。
  3. 便覧、データ集を意図していないので、あくまで基本なところを記述し、記述内容面からも長年の使用に堪えられるようにすること。

このような編集方針のもと、多くの執筆者の方々の協力を得て、本ハンドブックは編纂されました。本書が、生物工学会の会員の皆様や生物工学に携わる大学院生、技術者、研究者の方々のお役に立てればと思っております。

2005年4月
編集委員一同を代表して
編集委員会委員長 塩谷 捨明

大型本:851ページ
ISBN-10: 4339067342
ISBN-13: 978-4-339-06734-7

詳細目次・申込先 コロナ社
 

 

 

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