【国際交流】2022 KSBB秋季大会 参加報告
戸谷吉博
2022年度生物工学奨励賞(照井賞)受賞者
大阪大学大学院情報科学研究科
2022年9月28日(水)~30日(金)の日程で韓国のThe Korean Society for Biotechnology and Bioengineering(KSBB)の秋季大会(2022 KSBB Fall Meeting and International Symposium)が開催された。日本生物工学会(SBJ)はKSBBと学術交流協定を交わしており、それぞれの年次大会に講演者を派遣することで学術交流を推進している。SBJからは各年度の学会賞受賞者が派遣されることになっており、今回は髙木昌宏先生(生物工学賞・北陸先端科学技術大学院大学)、神谷典穂先生(生物工学功績賞・九州大学)、筆者(照井賞・大阪大学)が招待された。会場は韓国済州島のJeju Shinhwa Worldであったが、コロナ禍ということもあり日本からの参加者はZoomを使ったオンラインでの参加となった。
大会初日の式典ではSBJを代表して福崎英一郎会長から両学会の発展と交流を祈願した挨拶があった。Zoomの画面からは分からなかったが、後日送られてきた写真をみると多くの人が参加している様子が伺える。著者の調べでは口頭発表149件(国際41件)、フラッシュ37件、ポスター発表1016件という大会の規模であった。
福﨑会長挨拶
(KSBB事務局提供)
シンポジウム会場
(KSBB事務局提供)
大会のホームページも整備されており、リンクからZoomにアクセスして各セッションに参加できた。
KSBB秋季大会日程表
[KSBB大会HP (https://www.ksbb.or.kr/abstract/2022_fall/program/glance.html)より抜粋]
SBJから派遣された3名は、3日目午後に開催された台湾のBEST(Biotechnology and Biochemical Engineering Society of Taiwan)-SBJ-KSBBのジョイントシンポジウムで講演を行った。このシンポジウムは、第一部と第二部の計8演題のプログラムとなっており、KSBBから2件、BESTから3件、SBJから3件の講演があった。概要は、循環型バイオエコノミーに向けたキノコの培養残差の利用法、光遺伝学を利用した代謝工学(筆者)、がん治療のためのナノ粒子開発、コーヒー抽出残渣が近赤外線で熱が出ることを利用した応用研究、タンパク質の脂質修飾とその応用研究(神谷先生)、膜ダイナミクスとシグナル伝達の研究(髙木先生)、呼吸の機能を模した肺炎モデルを開発、RNAによる化学療法のための予測マーカー探索など、微生物の産業利用からバイオメディカルの研究まで幅広い分野の内容であった。面白い講演を沢山聞けて充実した時間であったが、交流を促進するためにはやはり顔を合わせての会話や懇親会などの機会が重要だと感じた。次回以降、コロナ禍が終わって対面での交流が再開されることを期待したい。
懇親会の様子
(KSBB事務局提供)
展示会場
(KSBB事務局提供)
最後に、KSBB会長のDuk Jae Oh先生、大会実行委員の先生方、KSBB事務局の方々、シンポジウムのオーガナイザーのYoungeun Kwon先生(Dongguk University)、Yun Jung Heo先生(Kyung Hee University)、Yoosik Kim先生(KAIST)、Seung Pil Pack先生(Korea University)に御礼申し上げます。また、今回このような派遣の機会を頂きました国際展開担当理事の藤山和仁先生(大阪大学)をはじめ、SBJの事務局の方々に厚く御礼申し上げます。
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