大会実行委員長 竹山 春子

第69回日本生物工学会大会は東京、新宿の地にある早稲田大学西早稲田キャンパスにて2017年9月11日から14日までの4日間開催されました。私が大会実行委員長を務めさせていただきましたが、東日本支部が一丸となって準備、運営を行い、多くの参加者を得て、盛況のもと終了することができました。例年の会期よりも1日多い日程となりましたが、新しい試みにチャレンジした大会であったと思います。

山崎直子様のご講演

山崎 直子氏

国内からの参加者は、1732名、海外からも6か国32名の参加者がありました。韓国KSBBからの参加者による講演だけでなく、二つの国際シンポジウムを開催しており、少しずつではありますが国際化が進んでいると思われます。大会初日は、午後から大隈記念講堂にて生物工学賞、生物工学功績賞、生物工学技術賞の表彰と受賞講演が行われました。その後の公開シンポジウムでは、宇宙飛行士の山崎直子様による「宇宙、人、夢をつなぐ」というプラネットレベルでの講演があり、宇宙での生物工学研究に大きな展望を与えていただけました。

 

濵口道成様のご講演

濵口 道成先生

次に、国立研究開発法人科学技術振興機構理事長の濵口道成先生から「イノベーションと課題大国日本」というご講演をいただきました。科学立国を目指し、さまざまな取組みが進められてきた日本の力が今減衰してきているというショッキングな内容が、具体的な課題とともに紹介されました。多くの参加者が危機感を覚えたのではなかったでしょうか。それらの課題をどうやって解決したらよいのか、というお話に入る前に講演時間がなくなってしまったとのことなので、是非次回どこかでその部分をお願いしたいと思っています。初日の夕方には、懇親会がリーガロイヤルホテル東京で行われました。早稲田大学ゆかりの酒蔵から銘酒がふるまわれ、お酒をこよなく愛する生物工学会の面々からは大変好評でした。

2日目からは西早稲田キャンパスにて「生物工学の未来を展望する」というコンセプトで、24のシンポジウムが行われました。生物工学の伝統分野である発酵醸造から、腸内細菌、合成生物学、生命情報解析、1細胞解析、機能性食材開発、難培養微生物、細胞培養など最新の先端技術や多くのホットな研究分野のシンポジウムが目白押しでした。若手会からは、博士後期課程学生の口頭発表コンペティションが企画され、今後の生物工学分野を担う若手研究者の活力を感じることができました。また、ランチョンセミナー12件、企業展示は54社となり、産官学交流の場が多く生まれ、今後の生物工学研究の発展が強く感じられました。今回の大会での研究発表は、口頭発表とポスター発表があり、ポスター発表では事前にショート口頭発表を行うことで、口頭発表の機会を多く設けました。聞く側も、どのような研究が進んでいるかを簡単に総括的に聞くことができることから、大変好評でした。また、東日本支部の特別企画として、イブニングセッションを行いました。企業から研究内容をポスターで発表していただき、学生を中心とした参加者が質問するという方式で行われました。将来の就活の情報にもなり得ることから、各ポスターブースでは熱い討議が行われていました。

4日間の大会期間を通じて感じたことは、研究の多様性だけでなく、若手の研究者の活力でした。若手会交流会は、大学院の学生も参加して盛り上がり、大変はじけたようでしたが、うれしい限りです。組織が発展する要件としては、若手が元気なこと、ダイバーシティーが確保されていることだと思っています。今回、私が大会長を務めた際に、女性は初めてですね、とお声をかけてくださる方々がいらっしゃいました。今後、生物工学の研究、学会組織ともに多様性をもって発展していくことによって、濱口先生が言及された課題の解決に生物工学分野が貢献できると思っております。

今回、本当に多くの皆様のお陰で4日間の大会を無事に終えることができました。誠にありがとうございました。この機会に新たなネットワーク、研究シーズが生まれたと信じております。

会長挨拶(木野会長)

会長挨拶

鏡開き

懇親会での招待者による鏡開き

銘酒コーナー

銘酒コーナー

 

 

 

 

 

 

 

2017年度学会各賞受賞者 前列向かって左から,園元,上田,Ling,Lan,田谷,髙木,渡部,古賀,加藤,宮本, 後列向かって左から,中村,菊川,山野,落合,池田,林,袴田,小崎,中野,李(敬称略)

2017年度学会各賞受賞者
前列向かって左から,園元,上田,Ling,Lan,田谷,髙木,渡部,古賀,加藤,宮本,
後列向かって左から,中村,菊川,山野,落合,池田,林,袴田,小崎,中野,李(敬称略)