【年次大会】第66回日本生物工学会大会(2014)後記
大会実行委員長 高木 睦
日本生物工学会第66回大会は、2014年9月9日~11日の3日間の日程で、札幌コンベンションセンターで開催されました。初日の9日は、授賞式および受賞講演が特別会議場で行われ、夕方6時30分から懇親会がロイトン札幌で開催されました。懇親会には、来賓として名和豊春北海道大学大学院工学研究院院長、林眞二北海道造組合会長にご臨席を賜り祝辞を頂戴しました。
2014年度学会各賞受賞者(敬称略)
後列向かって左から,神谷,野口,白木川,張,景山,木田,岡橋,亀井,高原
前列向かって左から,原島,加藤,川面,蓮沼,田代,Jeong,清水,鈴木,二又
9日の午後から11日の午後にわたり、一般講演(ポスター発表、775件)、シンポジウム(104件)、投稿倫理セミナーが行われ、3日間で1500名近い参加者がありました。開催2年前の大会実行委員会立ち上げ時点で、札幌コンベンションセンターを会場と決めましたが、会場費の捻出が不安でした。しかし、ランチョンセミナー(8社)や展示(過去最高の46社)、各種飲料提供などにおける各社の協力により解決でき、結果的には広々とした会場に概ね好評を頂けることになりました。さらに、北海道という遠隔地が参加者数減に作用するのではという心配もありましたが、大盛会のうちに大会を終えることができました(一般講演の件数775件は歴代最多でした)。ランチョンセミナーおよび展示への参加、飲料の提供などでご協力、ご支援いただきました企業および団体、ことにビール酒造組合、九州本格焼酎協議会および北海道酒造組合の皆様に心から感謝申し上げます。また、学会事務局はもちろん中西印刷、ダイナコムおよびエーイー企画などの各社の方々の大会運営に対する積極的な深いかかわりがあってはじめて日本生物工学会大会が順調に運営できたことを再認識し、感謝申し上げます。
日本生物工学会会員をはじめ多くの生物工学の技術者・研究者が一堂に集う本大会の中心は一般講演と考えました。学生諸君の訓練を考えると口頭発表の一般講演も魅力的ですが、今大会の一般講演は参加者がより時間をかけて発表内容をみて、より十分なディスカッションができるポスター発表としました。ポスターに人だかりができても楽に見て頂けるように向かい合うポスターボードの間隔は6メートルと広めにしました。広いポスター会場を歩いてまわって頂くのは疲れますので、休憩用のイス・テーブルを多めにするとともに、ポスターの小さい字もより楽に読んで頂けるように照明の照度も通常の2倍と明るくしました。さらに、重要な技術情報ソースでもあります企業展示への参加者のアクセスの便も考え、ポスター発表会場と展示会場を同じ部屋としました。ただ、全館空調を24℃と低めにはしましたが、大勢が集まるポスター・展示会場は照明のせいもあり実際の気温が高めになってしまったことは申し訳なかったです。
締切日までに頂いたシンポジウム企画は学会本部による企画3件を含めて20件で、公募時に提示した重点テーマごとの件数は「社会への貢献」2件、「産業界へ の貢献、産学連携の推進」12件、「国際交流、国際展開の推進」1件、「新研究分野の開拓、若手会員の育成」5件でした。産業界への貢献、産学連携関係が 多いのは本学会の特徴と思いますが、国際交流、国際展開関係が少ないようでした。関連する企画のシンポジウムが同時間に重ならないようにプログラムを組みましたが、最終日の午後のセッションでも多くの参加者が熱心に聴いておられました。
大会広報活動として、これら20件のシンポジウムの概要および主な受賞研究内容ならびに関係者連絡先をまとめた「トピックス集」を講演要旨集とは別に作成し、7月中旬に報道機関40か所に配布しました。実行委員会で把握できた範囲内だけで、日経バイオテクなどから4名の記者が来場取材され、少なくとも10件の日本生物工学会関連記事が掲載されました。
今大会の主要な反省点として、『託児』と『緊急情報伝達』があげられます。今大会でも乳幼児を連れて参加された女性がおられました。一方「今回は子供を別のところで預かってもらえたので参加できた」と言われた参加者もおられました。実行委員会でも早い時期に「託児」は議題にはなりましたが、「準備しても該当者がいるだろうか?」というようなことで、検討を進めませんでした。しかし、実際には該当者がおられたので、女性の社会進出促進の観点からも検討すべきだったと反省しています。
大会3日目のまだ暗い早朝、札幌が「豪雨」に見舞われ、テレビで「市内退避」や「空港へのJR線不通」の情報が飛び交う中、情報を収集し、講演開始約2時間半前の6時30分には実行委員長の判断として『予定通り開催』を決定しました。問題であったのは、早朝のため会場の外の宿泊施設などにおられた参加者に、この情報をほとんど有効に伝えられなかった点です。今年7、8月の日本各地での「異常気象」をみて、キャンセル時の対応、実行委員や学生スタッフ間の緊急連絡方法、会場内での臨時情報の伝達方法などは検討していました。しかし、会場外にいる参加者への実行委員会からの緊急連絡方法(会期中の問合せ先周知、学会HPへの迅速な最新情報掲載)を十分に検討していなかったのが反省点です。
最後になりましたが、今回の札幌大会実行委員会では、北海道大学工学研究院、農学研究院、医学研究科、北見工業大学の先生方のご協力を得て中心メンバーを組織しました。大会運営にご尽力頂きました実行委員会の先生方に改めて御礼申し上げます。さらに、今回の結果を受けて北日本支部の将来がより明るく感じられるようになったことは、参加者の皆様方、協力頂いた各方面、各社の方々から支部へ頂いたご褒美と思い、感謝いたします。
名誉会員等推戴式(敬称略)
向かって左から,新名,西山,五十嵐,山下,今中,川崎
懇親会,鏡開き
ポスター会場
受賞講演会場