大会実行委員長 加藤 純一

日本生物工学会第65回大会は、2013年9月18日~20日の3日間の日程で、広島国際会議場で開催されました。初日の18日は、授賞式および受賞講演がフェニックスホールで行われ、夕方6時30分から懇親会がANAクラウンプラザホテル広島で開催されました。懇親会には、来賓として松井一實広島市長、竹鶴壽夫広島県酒造組合副会長および木島丘広島市議会議員にご臨席を賜り祝辞を頂戴しました。

 

2013年度学会各賞受賞者(敬称略) 後列向かって左から,花井,青柳,堀,赤坂,鈴木,山本,曽宮,ティング,岩﨑,野口   前列向かって左から,大竹,高木,原,菊池,福田,五味,Yue-Qin Tang,吉田,上田

2013年度学会各賞受賞者(敬称略) 
後列後列向かって左から、花井、青柳、堀、赤坂、鈴木、山本、曽宮、Teoh、岩﨑、野口
前列向かって左から、大竹、高木、原、菊地、福田、五味、Tang、吉田、上田

 

懇親会,鏡開き

懇親会,鏡開き
 

広島からのおもてなし,次郎丸太鼓

広島からのおもてなし,次郎丸太鼓

 

 

 

 

 

 

 

 

 


18日の午後から20日の午後にわたり、一般講演(ポスター発表、723件)、シンポジウム(103件)、ワークショップ(トピックス集掲載演題の口頭発表、22件)が行われ、3日間で1500名を超える参加者がありました。大会実行委員会立ち上げ時点では、大会の運営をどうするか、資金をどう調達するか、本当に不安でなりませんでした。しかし、実際に開催してみると、大盛会のうちに大会を終えることができました(一般講演の件数は、歴代最多であった創立90周年記念大会の723件と同数です)。

誤解を恐れず言いますと、「大会なぞ、やればできてしまう」というのが、大会実行委員長としての実感です。当然、これは不遜な言であります。確かに私ども大会実行委員会は大会開催・運営に最大限の努力を払いました。これは自信をもって言うことができます。しかし、これだけの盛会になったのは、かくも多くの皆様が第65回大会に参加くださったからに他なりません。この事実から、生物工学分野が今、いかにパワフルであるかを実感いたしました。

まずは、参加いただいた皆様に大会実行委員会一同、心から御礼申し上げます。また、多数の企業および団体のご協力およびご支援を頂戴し、大会をさらに盛り上げることができました。これは、生物工学が各方面から大いに期待されていることの現れであり、生物工学研究に携わる者として身の引き締まる思いであります。ランチョンセミナーおよび展示への参加、飲料・食品の提供、大会運営の支援、大会助成などでご協力、ご支援いただきました企業および団体、ことに広島市、ビール酒造組合、広島県酒造組合および生物工学会事務局の皆様に心から感謝申し上げます。  

「平和」というキーワードで考えますと、広島国際会議場がある広島平和記念公園は世界の中心のひとつと言えましょう。そのことから何年か前に大ヒットとなった映画「世界の中心で、愛をさけぶ」のフレーズをなぞり、私は本大会のキャッチフレーズとして「世界の中心で、熱くバイオを語る」を造り出しました。しかし、周囲にあまり、うけがよくなく、ほとんど使わずじまいでした。今考えてみますとこのフレーズは実行委員会の気持ちがよくこもったものであるので、大いに喧伝すればよかったと反省しております。いろいろな場で、プレゼンテーションをいかに上手くやるかが、声だかに言われております。確かにプレゼンテーションは重要ですが、工学および科学を志す者にとってさらに重要なのは、ディスカッションする能力であると考えます。そこで、研究の成果を十分な時間をとって議論していただくために、本大会の一般講演はポスター発表といたしました。結果として、この選択は大成功であったと思います。

広島国際会議場と慰霊碑

広島国際会議場と慰霊碑 

ポスター会場

ポスター会場

本記事の写真に示しますように、ポスター会場は人があふれかえっており、そこかしこでの議論の声が充満しておりました。ただ、(一般講演の件数が予想の上限であったため)会場が多少狭かったこと、ポスター賞を設けるのを失念してしまったことが反省点です。一方、口頭発表の重要性も考え、本大会ではトピックス集に掲載した一般講演の演者は口頭発表も行ってもらいました。今回のトピックス集はマスコミへの研究紹介を念頭において選定を行いました。しかしマスコミが望むトピックスと生物工学分野の研究者が考えるトピックスは必ずしも一致するものではありません。そこでワークショップでは、研究者にとってのトピックスを基準として、トピックス集とは別個に選定してもよかったのではないかと考えております。

「学から産へ」「シニアから若手へ」「国内からアジア・世界へ」が学会の三大目標であります。本大会ではそれに加え「地方からのNext Page」をテーマとして掲げました。そしてそのテーマにのっとり、「温故知新:沖縄の伝統蒸留酒「泡盛」の研究開発」「九州における新産業創出に向けた発酵研究」「広島から世界を眺めて:展開するバイオマスリファイナリー」のシンポジウムを採択しました。最終日の午後にもかかわらずいずれのシンポジウムも盛況で、皆様地方からの情報発信、地方の発展の重要性を強く認識していることを改めて知らされました。今後も地方における生物工学分野の研究、産業が力強く、たくましく成長し、活発な情報発信をしていくことを願って止みません。

学会の事務全般を長年指揮された岩永祐治さんの最終の仕事は本大会運営でした。最後にこれまでの岩永さんの学会への多大なる貢献に感謝を表し、本記事を終えます。