生物工学会誌第89巻11号掲載
中川 智行

日本生物工学会は、1998年よりKSBB(The Korean Society for Biotechnology and Bioengineering;韓国生物工学会)と学術交流協定を交わしており、この交流協定に基づき、本学会とKSBBは各自の年次大会において招待講演を通じて学術交流を行っている。今回、筆者はこの国際交流の一環でKSBBの2011年度大会に参加させていただく機会をいただいた。KSBBでは毎年2回の大会が開催されているようだが、今回、10月5日(水)から8日(土)の間に開催されたKSBB秋季大会での学術交流について報告させていただく。

2011年度KSBB秋期大会は、韓国の仁川市(インチョン)の松島(ソンド)新都市で開催された。ソンド新都市は、韓国政府が戦略的経済政策の一環として設定した仁川自由貿易地域の一角を占め、2年前に完成した仁川大橋を利用することで仁川国際空港から30分もかからないという地の利を活かしたスマートシティ構想をもつ近未来型都市である。ソンド新都市は現在も開発途中ではあるが、地域内には高層ビル・高層マンションが立ち並び、今回の今大会会場であるSongdo Convensiaも斬新なデザインの建造物であり、とにかく「近未来」と言う言葉がもっとも似合う街であった。

さて、今大会は、大会プログラムによれば、2件のPlenary lectureと36件の口頭発表、400件を越えるポスター発表、さらには18演題にもおよぶシンポジウムが設定され、たくさんの研究者がそれぞれの研究に対して活発な議論を行っていた。その中でもシンポジウムは、本学会(SBJ)のみならずIBE(Institute of Biological Engineering, USA)やAFOB(Asian Federation of Biotechnology)などとの国際シンポジウムも多数組まれていた。筆者らが参加したKSBB-SBJシンポジウムは-Keeping up with Innovative Biotechnology-という題目であり、シンポジウムの演者は、SBJからは本年度の生物工学功績賞を受賞された髙木睦先生(北大院・工)、生物工学奨励賞(照井賞)を受賞された荻野千秋先生(神戸大・工)と筆者、KSBBからは延世大学のShin先生と成均館大学のUm先生の計5名であった。講演内容はナノ粒子レベルの生物工学分野の研究からセルエンジニアリングに関する研究までと幅広く、大変興味深いシンポジウムとなった。ただ一つ残念だったのは、筆者の講演でPCとともに本人も少々バグってしまったことであり、個人的にPCとともにリセットすることにした。

また、シンポジウムの後は懇親会にて親睦を深めることとなった。懇親会には長棟輝行先生(東大院・工)も会場に駆けつけていただき、KSBBの先生方のみならず、AFOBやIBEの先生方とも貴重な親睦の機会を持つことができ、筆者にとって本当に有意義な経験となった。

最後になりましたが、今回のシンポジウムでお世話になったKSBBの先生方に厚く御礼申し上げます。また、このような貴重な学術交流の機会をお与えいただきました日本生物工学会の先生方、スタッフの皆様に厚く御礼申し上げます。

KSBB2012大会会場

KSBB秋季大会会場(Songdo Convensia)

大会講演要旨集とプログラム

KSBB秋季大会の要旨集(左)とプログラム(右)
(洗練されたデザインで、要旨集はCD-ROM)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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