生物工学会誌第88巻11号掲載
吉田 聡

KSBB(Korean Society for Biotechnology and Bioengineering;韓国生物工学会)では毎年2回、春と秋に年次大会が開催されている。今年は秋季大会が10月7日(木)から9日(土)まで、ハブ空港としての開発も進んでいるソウル市街から少し離れた仁川(インチョン、Incheon)のSongdo Convensiaで開催された。KSBBは今年が25周年目にあたり、今回はその記念の開催にもなった。KSBBの会員数は現在約3000人で、今大会には1000人ほどが参加した。また、AFOB(Asian Federation of Biotechnology)の国際シンポジウムも同時に開催され、アジア諸国だけでなくアメリカ、ヨーロッパからも関係者が参加した。

本会からは国際交流担当理事の北海道大学・横田篤先生に加えて、今年度の功績賞を受賞された神戸大学・近藤昭彦先生、斎藤賞を受賞された大阪大学・馬場健史先生、およびキリンホールディングスの筆者が、今大会に参加させていただいた。また、SBJ-KSBBシンポジウムには北里大学・池田治生先生も参加された。シンポジウムでは微生物の発現制御、メタボローム、代謝改変といった発表がなされ、さまざまな質疑応答があり、とても興味深いものとなった。さらに、AFOBのシンポジウムには東京大学・長棟輝行先生、北陸先端大学・高木昌宏先生が日本から参加、発表された。なお長棟先生にはKSBBからResearch Exchange Awardも授与された。

KSBB大会を肌で感じるために、他の口頭発表会場、ポスター会場にも足を運んだ。筆者が入った口頭発表の会場では、ほぼ韓国語のスライドを用いた韓国語での発表であった。一方、ポスター発表はほとんどすべてのポスターが英語で書かれており、韓国語のわからない私のような外国人にはとてもありがたかった。ディスカッションは、ほとんどが韓国語であったが、一部英語でもされており、韓国は日本より進んでいるかもしれない、という印象を持った。

KSBBと本会の交流は12年前より始まったこともあるためか、懇親会では日本に何度も来られたことのある先生方と日本の話、日韓の違いなど話題に事欠かず、親睦を深めることができた。筆者自身、昨年まで一度も韓国に行ったことがなかったが、今回を含めて今年2回も訪問する機会を持ち感じたことは、韓国は国をあげて科学技術・産業の発展に力を入れているということである。日本はこの分野でいつまでもアジアでNo.1 というわけではないことを感じた。

今大会には私自身の予想以上の多くの日本人の研究者が参加しているという印象を受けた。その中で、本会を代表して発表できたこと、また韓国の研究者・先生方と交流できたことは非常に貴重な経験になり、このような機会を与えていただいた日本生物工学会の関係者の方々に厚く感謝申し上げます。また、最後になりましたが、空港まで迎えに来てくださった学生さん、本大会でお世話になったKSBB、AFOBの先生方に重ねて感謝申し上げます。



KSBB秋季大会にて(懇親会)  KSBB大会のポスター会場にて
  KSBBの関係者の方々と懇親会にて           KSBB大会のポスター会場にて
前列右から1人目:横田先生、3人目:近藤先生        ポスター発表の向かいに各社のブースがある
後列右から3人目:馬場先生、5人目:筆者           という配置が印象的

 

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