• 1. 270V の定電圧でゲル2枚を並列に配置して電気泳動を行った。このとき、流れる電流値が60mAであった。ゲル1枚あたりの抵抗値を求めよ。 2枚のゲルの抵抗値は同じであるとする。

【解説】

この問題は合成抵抗の抵抗値を求めることが出来れば、すぐに解けます。今、抵抗値R1とR2の2本の抵抗が並列に配置されているので、この2本の抵抗の合成抵抗値Rは

数式1

となります。直列なら 数式1-1です。この関係により、問題より2枚が同じ抵抗値ですので、合成抵抗値をRとするとゲル1枚の抵抗は数式1-2 となります。まず合成抵抗値を求めると、オームの法則より
数式2 が成り立ち、 数式3となります。従ってゲル1枚あたりの抵抗値は9000Ωです。

【答え】 9000Ω


  • 2. 電力1Wは1J/sと定義されている。4.2J=1calである。また、1W=1V×1Aであることから抵抗からの発熱量を求めることが出来る。

2-1. 10Ωの抵抗に5Aの電流を流したとき1分間の発熱量を求めよ。
2-2. 20Ωの抵抗に100Vの電圧をかけたとき、30秒間の発熱量を求めよ。

【解説】

2-1. オームの法則から

数式4

です。ここで、Wはワット数、Vは電圧値、Iは電流値、Rは抵抗値です。問題より1分間で消費する総電力は


2-2. オームの法則から

数式6

問題より

数式7

となり、2-1. と同じ値となります。

【答え】 2-1. 3.6kcal 2-2. 3.6kcal


  • 3. 100V用の500Wの電熱器がある。

3-1. この電熱器の抵抗はいくらか。
3-2. この電熱器を100Vの電源につないだとき、毎秒何カロリーの熱量が発生するか。
3-3. この熱量で1lの水の温度を10℃から100℃まであげるには何分掛かるか。

【解説】

3-1.
数式8 より、数式9

よって、R=20Ωとなります。

3-2. 毎秒500Wの電力を消費し、全て熱に変わるとすると、発熱量は

数式10となります。

3.3.  t分かかるとすると、

数式11

12.5分かかります。

【答え】 3-1. 20Ω 3-2. 120cal/s 3-3. 12.5分

  • 4-1. 1の問題で、電気泳動に60分かかったとする。ゲル1枚あたりの発熱量を求めよ。

【解説】

数式12より、ゲル1枚あたりの60分での発熱量は

数式13

となります。
実際の泳動では、周りに逃げる熱や全ての電力が熱に変換されるわけではないので、発熱量は、この値の半分くらいかと思われます。これで、電気泳動が終わったときにゲルが温かい理由が分かっていただけるのではと思います。

【答え】 13.9kcal

(長浜バイオ大学 川瀬雅也)

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