【本部】第14回生物工学懇話会のご案内
第14回生物工学懇話会のプログラムに一部変更がありました。⇒詳しくはこちら
日時 | 2009年(平成21年)5月29日(金)14時30分~17時25分 |
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場所 | 千里ライフサイエンスセンタービル903~905号室 豊中市新千里東町1-4-2 TEL:06-6873-2010 |
参加費 | 無料 |
プログラム | (司会 常盤 豊)
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講演1 「石油代替資源としての藻類の高度利用」 14:45~15:30
筑波大学大学院生命環境科学研究科生命共存科学専攻 渡邉 信
藻類は脂質にとんでいることから、藻類バイオマスエネルギーによるオイル生産量は47-140トン/haとみつもられており、陸上植物のそれより20~700倍の収率をもつ。緑藻ボトリオコッカス(Botryococcus)は、単細胞性であるが群体を形成し、湖沼に浮遊する藻類であるが、炭化水素を大量に産生し、細胞外に分泌する。これまで、ボトリオコッカスをエネルギー資源として開発するための基礎研究は多くなされてきたが、まだ実用化まではいたっていない。
最近日本で分離培養された培養株はアルカリ、弱光下でよい増殖とオイル生産をしめし、産生される炭化水素の純度もたかく、90%を超える株もある。LCA(ライフサイクルアセスメント)による評価からオイル生産量は年間約120トン/haと見積もられた。ただし、コストは155円/ lと原油のそれよりまだ割高である。しかし、今後の技術開発でオイル量を一桁増加させ、コストを80円~20円/lに減少させることは可能性はあると判断される。
(座長:手柴 貞夫)
講演2 「非食用バイオマスからのバイオ燃料製造技術とバイオリファイナリー」15:35~16:20
(独)産業技術総合研究所 中国センター バイオマス研究センター 坂西 欣也
産業技術総合研究所・バイオマス研究センターでは、従来の硫酸を用いた酸加水分解法ではなく、低環境負荷の非硫酸法(水熱・メカノケミカル微粉砕法の組合せ)による低エネルギー糖化前処理技術の開発を行い、非食用のリグノセルロース系バイオマスからの酵素糖化・エタノール発酵の一貫プロセスを構築して、高効率なエタノール燃料の生産技術を開発している。
この非硫酸法・バイオエタノール製造プロセスは、木、草、わら、海草などの植物体全般を含む“雑植性バイオマス”をバイオマスエタノール製造原料として利用することによって、季節変動の影響を受けずに原料を調達し、また穀物原料や食料と競合しないバイオエタノールの製造が可能となる。
また、バイオリファイナリーへの展開を目指す上では、種々のバイオマス資源の導入・普及には、経済的に成り立つトータルシステムの構築が重要である。従って、種々のバイオマス資源をデータベース化し、バイオマス転換プロセスのシミュレーション技術によって最適化と経済性・環境適合性評価を行うことが重要である。さらに、炭酸ガス削減と持続可能なバイオマス利活用に向けたバイオマスアジア戦略についても概説する。
(座長:常盤 豊)
講演3 「自動車産業におけるバイオリファイナリーの展開」 16:30~17:15
(株)豊田中央研究所 バイオ研究室 高橋 治雄
エネルギセキュリティや地球温暖化問題に対する有望な手段として、特に食糧と競合しない廃棄系バイオマス資源を用いてエネルギーや化成品等を生産するバイオリファイナリーの構築は自動車産業にとっても魅力的で重要な課題である。バイオリファイナリーにおいてバイオマスを如何に効率的に糖化するかは開発のポイントである。
豊田中研では無細胞タンパク質合成系を用いたセルラーゼの進化技術を開発しており、天然より優れた機能を有するセルラーゼのデザインに成功している。前処理技術に関しては、、最近低温でセルロースを溶解できるイオン液体を利用した先端的技術も注目されており、イオン液体でバイオマスを処理後にセルラーゼによる糖化試験を行っている。
また統合バイオプロセス(CBP)に向けた取り組みとして酵母でのセルラーゼの効率的な生産とその集積化の研究も含めて全体を紹介したい。酵母を用いた乳酸発酵においては代謝工学を利用した高光学純度のD、およびL乳酸の生産技術および工業化に向けた技術課題(低pH発酵、副生成物の低減等)に対するアプローチの一部を紹介をしたい。
(座長:稲垣 賢二)