韓国生物工学会(Korean Society for Biotechnology and Bioengineering; KSBB)は,年2 回,春と秋に韓国国内で大会を開催している.秋の大会には国際シンポジウムを同時開催しており,アジア各国から招待された研究者の講演が行われている.

日本からも毎年,日本生物工学会を通して講演者の推薦が行われており,今年は本会会長の塩谷捨明先生,本会の技術賞を受賞された浅田雅宣氏(森下仁丹),奨励賞を受賞された金山直樹先生(岡山大)および私(東工大)が招待を受けた.

今年のKSBBの秋大会は,10月6日と7日の2日間にわたり,韓国最南端の島,済州(チェジュ)島で行わた.ご存知かもしれないが,済州島は韓国でも有数の観光地であり,起伏に富んだ地形が印象的な自然豊かな火山島である.国際シンポジウムの会場となった済州島国際コンベンションセンターは,写真の通り非常に立派な施設であり,高級リゾートホテルが建ち並ぶ中文観光団地の一画にある.今回は約700名のKSBB会員が参加して大会が行われた.

国際シンポジウムには,我々の他に,インドからDr. Virendra Swarup Bisaria,インドネシアからDr. Siswa SetyahadiとDr. Misri Gozanの3名の研究者が招かれていた.私を含め,キシロース利用に関する発表が3題あり,南アジアおよび東南アジア地域においてもバイオマス資源を有効に利用することへの関心が非常に高まっていることを感じた.また,熱の入った講演と活発な質疑応答により,講演スケジュールはやや押し気味に進行した.

シンポジウムの最後に,KSBBが利用普及を進めるAsian Biotechnology Directory(ABD)に関する説明があった.これは,アジア各国の生物工学研究者の相互交流を図り,情報交換を円滑にする目的で企画されたウェブサイトで,すでに数百名の研究者が登録して活用しているとのことであった.興味のある方は,http://www.afob.org/ を訪問して,名前,所属,研究テーマなどの研究者情報を登録してもらいたい.また,過去に本誌でも紹介記事(第85巻428ページ)が掲載されているので参考にしてもらいたい.

シンポジウムの後は懇親会にて親睦を深めた.今回のシンポジウムでもそうだが,アジアで行われる国際会議に参加すると,かつて日本に留学し,母国に帰って活躍している研究者とよく一緒になる.帰国して何年経っていても日本のことを忘れずに覚えていて,良き思い出を語ってくれるのは日本人として嬉しいものである.一方で,活躍する彼らに負けないように,我々日本の若手研究者も奮起したいところである.

最後に,今回のシンポジウムで大変お世話になったKSBBの先生方や学生スタッフに感謝を申し上げます.

柘植 丈治 

ICC Jeju

シンポジウムが行われた
済州島国際コンベンションセンター

2008KSBB大会 懇親会

懇親会にて
(左から,筆者,金山先生,塩谷先生,浅田氏)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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