【北日本支部】2020年度オンラインシンポジウム「情報科学を駆使して生命分子を見る・知る・使う」質疑応答ページ<鈴木 机倫先生>
質疑応答
Q.ブタジエンの構造が65個というのは、コンフォメーションが65通りという意味ですか?もしそうだとすると、コンフォメーション変化を反応経路と呼ぶのはなぜですか?
Ans. 本発表では,異性化だけでなく結合の組み替えを伴う構造変化を反応と定義しています. また,異なる構造間を結ぶ経路を反応経路としています.スライドの6ページ目には,C4H6の組成に関する反応経路地図を示しています.その中には,もはや“ブタジエン”ではなくC2 + C2H6などの構造も含まれております.従って,異性化だけでなく結合の組み替え(乖離なども含む)も考慮しているため反応経路と呼んでいます.
Q.複数の周囲構造を考慮し、係数ωで重みづけするとのことですが、ωの値はどうやって決められるのでしょうか?
Ans.ωは,N個それぞれの周囲構造のエネルギーを算出し,スライド20ページの(3)式によって求められるます.ここで,N個の周囲構造は反応経路に沿って各点において構造最適化しωを算出しています.従って,反応経路のどの点で最適な周囲構造が変化したかを解析することが可能になります.
Q.LDHの反応エネルギー解析のところで、閉じた状態では可逆反応になると説明されていたかと思います。閉状態の中で生成物が不安定だったとしても、酵素からリリースされたところで安定化し、その段階が不可逆になるので、トータルでは不可逆になるのではないでしょうか?反応の自由エネルギーの差は基質と生成物だけで決まり、触媒は平衡に達する時間は変化させますが、平衡自体は変えられないのではないでしょうか?
Ans. 本発表における我々の解析は,生成物の酵素からのリリースまでは検討しておりません. スライド26ページの,閉状態の生成物(cEQ4)からどの程度の反応障壁を伴ってリリースされるかを検討する必要があると思います.一方で,本検討では生成物の安定性は閉状態と開状態で大きく異なっており,この二つの周囲状態が平衡を制御していると考えています.
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