2019年に当会が開催し、大変ご好評いただきましたAI(人工知能)セミナーの第2弾です。近年、様々な分野においてAIの活用に注目が集まっています。本シンポジウムでは、AIを活用されている第一線の方々をお招きし、AIの基礎、生物工学分野おけるAIの活用の現状、今後の展望などについてご講演頂きます。

質疑応答の時間もございますので、この機会にAIについての知見を深めていただければ幸いです。皆様奮ってご参加ください。

  • 日時: 2022年8月19日(金)14:00 ~ 17:40
        
  • 会場: Web開催(URLは参加登録後に直接ご連絡致します。)
     
  • プログラム:

14:00~14:05  
開会の辞……柴田 裕介(関西支部若手企画委員会 世話人代表/菊正宗酒造株式会社)

14:05~14:45
バイオDX人材になる方法
 ……松田 史生(大阪大学大学院・情報科学研究科)

昨今のバイオDXに求められるスキルは (1) スクリプト言語Pythonが使える. (2) 多変量解析(特に重回帰分析)の知識の2点である。「言語」の習得である以上、いくつかの文法、構文、単語を覚え、エラーが出たときに自力で直せるようになることが必要である。また、機械学習の最も多い用途が予測モデルの構築であることから、重回帰分析の理解がすべての基本となるだろう。これらの学習を楽しく進めるための知恵の出し所について議論したい。

 

14:45~15:25
AI技術で生物進化の原動力になる遺伝子群の同定
 ……花田 耕介(九州工業大学・大学院情報工学研究院)

種特異的に重複している遺伝子には、新しい機能を獲得せずに、冗長の機能を有しているものも数多く存在する。そこで、多種多様なオミックスデータを利用し、重複遺伝子間の機能の違いを説明できるかを調べた。その結果、独立の機能を有する重複遺伝子は、同じ機能を有する重複遺伝子と比べて、発現部位の変化率と産生するタンパク質の変化率の両方が高くなることを見いだした。そこで、AI技術によって、重複遺伝子間の遺伝子発現パターンやタンパク質構造変化などのオミックスデータを利用し、重複遺伝子が同じ機能を共有するか、独立の機能を有するかの推測を試みた。その結果、発現パターンやタンパク質構造変化で、同じ機能を共有するか、独立であるかを推測する方法の開発に成功した。


15:25~15:35 休憩

15:35~16:15
タンパク質立体構造予測の進歩と生物工学
 ……長尾 知生子(大阪大学蛋白質研究所)

2020年のタンパク質の立体構造予測コンテストCASP14で、DeepMind社のAlphaFold version 2(AlphaFold2)が圧倒的な成績により優勝し、長年のタンパク質フォールディング問題を解決したとして話題になった。2021年には、ソースコードと、ヒトを含む主要生物のタンパク質の予測立体構造がAlphaFold Protein Structure Databaseとして公開され、誰でもその成果を利用できるようになり、現在、AlphaFold2を利用した研究が爆発的に進んでいる。これまでのタンパク質立体構造予測の進展を概観すると同時に、AlphaFold2後のタンパク質立体構造を利用した研究の可能性や残されている課題について議論したい。


16:15~16:55
AIを活用した製品開発への挑戦 ―千里の道も一歩から・塵も積もれば山となる―
 ……石原 聡、吉田 和典(天野エンザイム株式会社)

メディアで『人工知能(AI)』という言葉を聞かない日はないというくらい、AIは注目を集めています。近年、バイオ分野においてもAIの活用が進んでいます。2018年ごろから、AIの活用で、合理的かつ短時間にタンパク質機能の向上に成功したという論文が報告されるようになりました。弊社では、このような技術を自社の酵素開発に取り入れるべく、社外パートナーと研究を行ってきました。本発表では、産総研・亀田上級主任研究員、齋藤主任研究員との共同研究と、米国ベンチャー企業・Aperiam Bio社と行った研究をそれぞれ紹介します。AIのサポートにより酵素に導入する変異点を予測して、予測された変異酵素を実験室で作製して性質評価を行いました。予測と実証のサイクルを繰り返して、酵素の機能向上を目指しました。その過程で得られた知見などを紹介させていただきます。AIをどのようして自社の開発に取り込むのか、私たちの取り組みはまだまだ途上です。これまでの試行錯誤に興味を持っていただければ幸いです。


16:55~17:35
ロボティック・バイオロジーによる生命科学の加速
 ……高橋 恒一(国立研究開発法人理化学研究所)

情報技術とロボティクスの導入によって実験、理論、計算、データという4つの主要な科学的方法論を融合し飛躍的に進展を加速するいわゆるAI駆動型科学は、「第5の科学領域」として有望視されている。我々は、AI駆動型科学の起点として生命科学分野が有望であると考え、細胞生物学実験のロボット化や実験プロトコル記述言語処理系の開発、自動実験計画による実験システムの完全自律化、さらにデータ駆動とモデル駆動の融合による仮説生成の自動化などを試みてきた。既に再生医療領域におけるiPS細胞の分化誘導条件の自動発見や、コロナ禍において遠隔実験を活用した新たな研究スタイルの提案などで実績を積んできた。国際動向や材料科学など分野での進展も含め、科学の自動化に向けた最新の状況をご紹介する。


17:35~17:40
閉会の辞……藤田 陽平(関西支部若手企画委員会 世話人副代表/
      サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社)

 

  • 参加費:無料
     
  • 申込方法: こちらの申込みフォームからお申込み下さい。(定員に達したため受付を終了しました。)
     
  • 定員: 100名
     
  • 申込締切: 2022年8月5日(金)
     
  • 問合せ先:
    日本生物工学会関西支部若手企画委員会
    世話人代表 柴田 裕介(菊正宗酒造株式会社)
    E-mail:

 

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