人生100年時代を迎えた今、私たちの食や健康、運動への意識は益々高まりつつあります。標記例会では、生物工学に加え、食品・醸造科学や健康科学など、さまざまな分野をまたぐ研究者の方にユニークな研究をご紹介いただき、生物工学が私たちのQOL向上に果たす役割を議論します。多数のご参加をお待ちしています。

 

  • 日時:2020年11月19日(木)13:30~18:00
     
  • 開催方法:大阪大学銀杏会館3F 阪急電鉄・三和銀行ホールでのオンサイト開催と
         Zoomによるライブ配信によるハイブリッド開催
     
  • プログラム:

13:00~  受付(大阪大学会場),Zoom入室開始(ライブ配信)

13:30~13:35 開式の辞 ………藤山 和仁(関西支部支部長・
                     大阪大学生物工学国際交流センター センター長)

13:35~14:10
「酵素合成技術を利用した新規糖質素材の開発とスポーツ栄養素材としての特徴」
 ………渡邊 浩史(江崎グリコ株式会社 健康科学研究所)

江崎グリコでは、自社開発の酵素を用いて、特徴的な性質を持つ糖質素材を開発してきた。近年われわれは、消化速度が緩やかで、かつ難消化性成分が少ない(ほぼ完全に消化される)という特徴を持つ新しいデキストリン、遅消化性環状デキストリン『クラスター デキストリン®-SE』を開発した。クラスター デキストリン-SEは、健康を害するリスクが示唆されている急激な血糖値上昇(血糖スパイク)や過剰なインスリン分泌(インスリンスパイク)を起こしにくく、健康影響の少ない糖質栄養として期待される。本講演では、この新しい糖質素材の酵素合成反応や機能性、用途について紹介する。特に、スポーツ栄養素材用途として、クラスター デキストリン-SEを運動中に摂取した時、脂肪代謝抑制を起こしにくく、脂肪と糖の両方をエネルギーとして利用可能であることが呼気ガス分析より示唆されており、この結果についても紹介する。

14:10~14:45
「卵麹と熟成卵黄の開発」………中川 拓郎(株式会社樋口松之助商店)・宮本 哲也(キユーピー株式会社)

卵はさまざまな調理法が存在する一方で、その栄養成分はそのまま利用しており、微生物を利用した伝統的な食品はない。そこで、麹菌を用いて卵の麹化を試みた。さまざまな卵素材と麹菌を組み合わせ、原料処理を工夫する事で卵と麹菌のみを用いる卵麹の製造方法を開発したので紹介する。
米麹や酵素剤を用いて卵黄液を消化した場合には卵黄本来のおいしさを損なう呈味成分が発生し、卵黄のおいしさが喪失した。一方で、卵麹を用いた『熟成卵黄』の風味は、卵黄らしさを残したままコクやうまみが増強され特有のおいしさが付与されていた。遊離アミノ酸量は未処理の卵黄の5倍増加しており、熟成香や甘い香りの揮発成分の生成が認められた。

14:45~15:20 
「産学連携による新たな醸造製品の開発」………山本 佳宏(京都市産業技術研究所)

産学連携がクローズアップされ、地域産業の活性化においてもさまざまな取組みが行われている。今回、京都市の事例として、地域産業の主体となっている醸造産業への成果事例として、佐々木酒造と共に行った麹を活用した商品開発事例と大手となる黄桜株式会社と共に行った工程改善の取り組みについて紹介する。佐々木酒造との連係では京都府立大学の研究成果を統合し、新たな生産システムを作り上げ、醸造飲料をはじめとする各種製品開発を行った。また黄桜との事業では製品評価技術基盤機構、産総研、京都大学、大阪市立大学の研究成果を反映し、製品製造プロセスの高度化につなげている。産学連携は先端バイオ技術を中小企業へローリスク、短時間で導入できる有効な手段となっているが、より有効な活用について議論をお願いしたい。

15:20~15:35  休憩

15:35~16:10
「醗酵液の昆虫誘引」
 ………藤原 伸介(関西学院大学理工学部)

夏休みの虫取りは子供たちにとってとても楽しい。カブトムシの集まる樹液は甘酸っぱい醗酵臭が漂う。一方、ゴミ収集場などの腐った食材の残りやヨーグルトの空箱、納豆の容器にもハエが集まる。このように醗酵液は、飛翔昆虫にとって魅力的な誘引臭を放つ。アルコール、酢酸、アセトインやジアセチルなどは、コバエの誘引性が高いことが知られており、これらを多く含む食酢は捕虫器の誘引素材に使用されてきた。食酢にもさまざまな種類があり、リンゴ酢、バルサミコ酢、玄米酢などでは誘引性は微妙に異なる。我々の分析では誘引性の高い食酢はポリアミンの含量が高いことが示された。また、最近の研究から、ポリアミンはヒトの健康寿命と深く関わっていることも報告されている。今回の懇話会では、醗酵液に含まれる飛翔昆虫の誘引性について、ポリアミン研究から得た知見を中心に紹介したい。

16:10~16:45
「元気な骨格筋細胞培養と活性張力評価技術、応用」………長森 英二(大阪工業大学大学院工学研究科)

試験管環境で培養可能なマウス骨格筋細胞を、周期的なパルス電気刺激を加えた環境で長期間培養すると、活発に収縮運動する状態が得られる。この培養骨格筋細胞の収縮力を定量する技術を開発したところ、より生体に近い機能を評価可能なin vitro実験系として製薬メーカー等に好評を得た(Biotechnology and Bioengineering, 106(3), 482-489. (2010))。以来10年、ヒト細胞への適用が課題であったが、解決の糸口が見えつつある。この間、骨格筋は健康長寿を担うキー臓器として認識されるようになり、世の中の注目が高まった。幅広い分野に分散した骨格筋研究者を横糸でつなぐコンソーシアム活動等についても紹介したい。
 

16:45~16:55  閉会の辞

17:10~18:00  Meet the speakers(講師の先生方とのオンラインディスカッション)
 

  • 定員:50名(大阪大学会場)、230名(Zoom参加者)

    ※大阪大学会場は収容人数230名ですが、ソーシャルディスタンス維持のため定員を制限しています。
    ※オンサイト参加は会員限定です。Zoom参加はどなたでもご参加いただけますが、非会員の場合は申し込み時に紹介者(会員)の会員情報の入力が必要となります。
    ※Zoom IDは開催2週間前を目途にお知らせいたします。
     
  • 参加費:無料
     
  • 申込み方法:こちらのWEBフォームよりお申し込み下さい。
    氏名、一般・学生の別、オンサイト参加・オンライン参加の別、会員・非会員の別、紹介者および紹介者の会員番号(非会員の場合のみ) 、所属、連絡先(TEL、E-mail)を明記してください。
     
  • 申込み締切日:2020年11月6日(金)正午 ⇒11月12日(木)正午 延長しました
     
  • 問合せ先:
    〒565-0871大阪府吹田市山田丘2-1
    国立大学法人大阪大学 生物工学国際交流センター
    日本生物工学会 関西支部庶務幹事 三﨑 亮
    TEL:06-6879-7238 E-mail
     

会場へのアクセス

阪急「北千里」駅から徒歩20分、大阪モノレール「阪大病院前」駅から徒歩5分、近鉄バス(JR茨木駅発)または阪急バス(千里中央駅発)の「阪大本部前」バス停から徒歩3分
⇒アクセス

 

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