第117回醗酵学懇話会開催延期のお知らせ

2020年7月3日(金)に大阪工業大学にて開催予定の第117回醗酵学懇話会につきまして、この度延期することを決定いたしました。
 

毎年夏と冬に開催してきた恒例行事ですので、何とか開催できないかこれまで関西支部企画委員を中心に検討してまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止という観点から延期を決定いたしました。開催時期については、 国内の状況等を鑑みながら決定したいと思いますが、新型コロナウイルス感染症が終息し、皆様が安心して参加できる時期に改めて開催したいと思います。

参加をご検討して下さった皆様には誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解・ご協力を下さいますようお願い申し上げます。

関西支部企画委員一同

人生100年時代を迎えた今、私たちの食や健康、運動への意識は益々高まりつつあります。標記例会では、生物工学に加え、食品・醸造科学や健康科学など、様々な分野をまたぐ研究者の方にユニークな研究をご紹介いただき、生物工学が私たちのQOL向上に果たす役割を議論します。多数のご参加をお待ちしています。

  • 日時:2020年7月3日(金)14:00~19:00
     
  • 場所:大阪工業大学 梅田キャンパス →アクセス
       OIT梅田タワー 203セミナー室
       (大阪府大阪市北区茶屋町1番45号)
     
  • プログラム:

13:30~ 受付 

14:00~14:05 開会の辞  藤山 和仁(関西支部支部長・大阪大学生物工学国際交流センター)
 
14:05~14:35
「酵素合成技術を利用した新規糖質素材の開発とスポーツ栄養素材としての特徴」
 ………渡邊 浩史(江崎グリコ株式会社 健康科学研究所)

江崎グリコでは、自社開発の酵素を用いて、特徴的な性質を持つ糖質素材を開発してきた。近年われわれは、消化速度が緩やかで、かつ難消化性成分が少ない(ほぼ完全に消化される)という特徴を持つ新しいデキストリン、遅消化性環状デキストリン『クラスター デキストリン®-SE』を開発した。クラスター デキストリン-SEは、健康を害するリスクが示唆されている急激な血糖値上昇(血糖スパイク)や過剰なインスリン分泌(インスリンスパイク)を起こしにくく、健康影響の少ない糖質栄養として期待される。本講演では、この新しい糖質素材の酵素合成反応や機能性、用途について紹介する。特に、スポーツ栄養素材用途として、クラスター デキストリン-SEを運動中に摂取した時、脂肪代謝抑制を起こしにくく、脂肪と糖の両方をエネルギーとして利用可能であることが呼気ガス分析より示唆されており、この結果についても紹介する。


14:35~15:05
「卵麹と熟成卵黄の開発」………中川 拓郎(株式会社樋口松之助商店)

卵は様々な調理法が存在する一方でその栄養成分はそのまま利用しており、微生物を利用した伝統的な食品は無い。そこで、麹菌を用いて卵の麹化を試みた。様々な卵素材と麹菌を組み合わせ、原料処理を工夫する事で卵と麹菌のみを用いる卵麹の製造方法を開発したので紹介する。
米麹や酵素剤を用いて卵黄液を消化した場合には卵黄本来のおいしさを損なう呈味成分が発生し、卵黄のおいしさが喪失した。一方で、卵麹を用いた『熟成卵黄』の風味は、卵黄らしさを残したままコクやうまみが増強され特有のおいしさが付与されていた。遊離アミノ酸量は未処理の卵黄の5倍増加しており、熟成香や甘い香りの揮発成分の生成が認められた。


15:05~15:35 
「産学連携による新たな醸造製品の開発」………山本 佳宏(京都市産業技術研究所)

産学連携がクローズアップされ、地域産業の活性化においても、さまざまな取組みが行われている.今回、京都市の事例として、地域産業の主体となっている醸造産業への成果事例として、佐々木酒造とともに行った麹を活用した商品開発事例と大手となる黄桜株式会社とともに行った工程改善の取組みについて紹介する.佐々木酒造との連係では京都府立大学の研究成果を統合し、新たな生産システムを作り上げ、醸造飲料をはじめとする各種製品開発を行った.また黄桜との事業では製品評価技術基盤機構、産総研、京都大学、大阪市立大学の研究成果を反映し、製品製造プロセスの高度化につなげている.産学連携は先端バイオ技術を中小企業へローリスク、短時間で導入できる有効な手段となっているが、より有効な活用について議論をお願いしたい。
 

15:35~15:50  休憩

15:50~16:20
「奈良県で分離・育種したユニークな酵母及びそれらを用いた純米酒の醸造について」
 ………大橋 正孝(奈良県産業振興総合センター)

昭和50年代をピークとして、清酒の消費量は現在約1/3まで減少している。この状況を打破するために、当センターでは、これまでに、野生酵母から酒造に適した酵母の分離や、特徴のある清酒酵母の育種を行ってきた。今回、奈良県の県花である奈良八重桜の花から分離した「ナラノヤエザクラ酵母」、酒造の神様として多くの信仰を集めている大神(おおみわ)神社の境内に自生していたササユリの花から分離した「山乃かみ酵母」、そして、育種により取得した、細胞内にオルニチンを高生産する「オルニチン蓄積酵母」、これら3種類のユニークな酵母について紹介する。さらに、これら酵母を用いた純米酒の特徴についても、あわせて紹介したい。
 

16:20~16:50
「元気な骨格筋細胞培養と活性張力評価技術、応用」………長森 英二(大阪工業大学大学院工学研究科)

試験管環境で培養可能なマウス骨格筋細胞を、周期的なパルス電気刺激を加えた環境で長期間培養すると、活発に収縮運動する状態が得られる。この培養骨格筋細胞の収縮力を定量する技術を開発したところ、より生体に近い機能を評価可能なin vitro実験系として製薬メーカー等に好評を得た(Biotechnology and Bioengineering, 106(3), 482-489. (2010))。以来10年、ヒト細胞への適用が課題であったが、解決の糸口が見えつつある。この間、骨格筋は健康長寿を担うキー臓器として認識されるようになり、世の中の注目が高まった。幅広い分野に分散した骨格筋研究者を横糸でつなぐコンソーシアム活動等についても紹介したい。
 

16:50~17:20
「“腸活”における運動のポテンシャルについて」………横山 久代(大阪市立大学)

腸内細菌の特性は、炎症性腸疾患ならびに肥満や2型糖尿病といった代謝性疾患の発症と関連するだけでなく、気分や意欲などの精神面にも影響を及ぼし、ヒトの健康状態に寄与することが知られている。個人の腸内細菌叢は固定したものではなく、食事などの環境要因によって変化する。実際に臨床の現場でも、腸内環境を整えるために一般に水分や食物線維の摂取とならび、適度な運動が勧められるが、運動そのものがヒトの腸内環境に及ぼす影響については不明な点が多い。

運動はヒトの腸内細菌叢を変化させるのか、そうであれば、どのような運動方法が腸内環境の改善に有効なのかを明らかにするために、今回、健常な高齢女性の腸内細菌叢に対する運動介入効果を運動種目別に検討したため、これまでの知見も交えて紹介する。


17:30~19:00  懇親会(204セミナー室にて)
 

  • 定員:130名
     
  • 参加費:一般:1,000円(税込)、学生:無料(当日会場受付にてお支払いください)
     
  • 懇親会会費:一般:2,000円(税込)、学生:1,000円(税込)(当日会場受付にてお支払いください)
     
  • 申込み方法:こちらのWEBフォームよりお申し込み下さい。
     
  • 申込み締切:2020年6月19日(金)正午(定員に達し次第締め切らせて頂きます)
     
  • 問合せ先:
    〒565-0871大阪府吹田市山田丘2-1
    国立大学法人大阪大学 生物工学国際交流センター
    日本生物工学会 関西支部庶務幹事 三﨑 亮
    TEL:06-6879-7238 E-mail
     

会場へのアクセス

JR「大阪」駅から徒歩5分、地下鉄御堂筋線「梅田」駅から徒歩5分、地下鉄谷町線「東梅田」駅から徒歩5分、阪急「大阪梅田」駅から徒歩3分、阪神「大阪梅田」駅から徒歩7分
 

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