【関西支部】第113回醗酵学懇話会 – 講演要旨
日時 | 2018年8月3日(金)13:30~16:50 |
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場所 | アサヒビール (株) 吹田工場ゲストハウス(〒564-0071 大阪府吹田市西の庄町1-45) |
参加費 | 1,000円(税込)/学生 無料 〈懇親会参加費〉 一般:2,000円(税込)、学生:1,000円(税込) |
「ゲノム編集の育種への応用と社会実装に向けて」
大阪大学大学院工学研究科生命先端工学専攻 村中 俊哉
今、新しい育種技術が注目されている。原稿の校正作業のように、目的とする遺伝子配列を、欠失、挿入、置換できるゲノム編集技術である。この技術を用いることにより、育種のスピードを上げ、ピンポイントの精緻な品種改良が技術的に可能となってきた。国内でも、ここ数年の研究開発で、毒のないジャガイモ、GABAを高蓄蓄積するトマト、身の豊かなフグなど、続々と新しいものができあがっている。ゲノム編集とは何?について概説するとともに、私たちの研究を例に、育種への展開、ならびに、社会実装に向けた取組みについて議論したい。
「免疫調節作用を有するL-92乳酸菌の研究開発」
アサヒグループホールディングス株式会社コアテクノロジー研究所乳酸菌技術部 弘田 辰彦
乳酸菌には数多くの生理機能を有することが知られているが、中でも免疫調節作用は古くから研究が進められており、これまでに感染防御作用や抗アレルギー作用など多くの報告がなされている。その働きは種や株レベルによって強さが異なることが知られており、また効果の発揮においては菌自体の生死が重要でない場合もある。マウスへのOVA特異的IgE産生抑制作用を指標にスクリーニングされたLactobacillus acidophilus L-92(L-92)も死菌体で免疫調節作用を発揮することが確認されている乳酸菌であり、本講演ではL-92のスクリーニングからヒトでの免疫調節作用の紹介と、近年新たに作用メカニズムの一端として報告した腸管への菌体の取込み機構について紹介する。