酵母といえば清酒酵母、ワイン酵母、ビール酵母やパン酵母などが古くからお酒や身近な食品の発酵に利用されてきました。また、この酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は遺伝学や分子生物学の研究にも世界中で活発に利用され「究極の細胞」とも呼ばれています。もしかすると多くの研究者は、かつて私がそうであったように、サッカロミセスを材料にすれば、どの生物より早く、何でもできると考えているかも知れません。事実、真核生物で最初に6000個もの全遺伝子が解明され、遺伝子破壊などありとあらゆる遺伝子操作が可能となっています。サッカロミセスは知名度の高いスター選手といえます。

しかし、今一度、種の多様性に思いをめぐらしてみますと、サッカロミセスも単に酵母の一種であることに変わりはありません。どんな生き物にも得手不得手があるものです。生物工学とは生き物の得意な技を見つけて伸ばしてやる学問かもしれません。

本技術セミナーでは、様々な酵母に登場していただきます。それぞれの酵母は得意技を持っています。各選手(酵母)の得意技をコーチ(ご講演研究者)から解説していただけば、スター選手をしのぐまぶしい魅力に取り憑かれるはずです。本技術セミナーが様々な酵母の姿とその可能性を堪能できる機会となれば幸いです。

(西日本支部長 赤田 倫冶)

日時 2010年11月13日(土)
場所 福山大学社会連携研究推進センター(宮地茂記念館)
福山市丸之内1丁目2番40号(福山駅北口正面、徒歩1分)
参加費 無料
懇親会費 一般6,000円(税込み)、学生2,000円(税込み)
申込み方法 懇親会への出席希望の有無、連絡先を明記の上、E-mailまたはFAXにて下記までご連絡ください。
申込み先 日本生物工学会西日本支部事務局(山口大学工学部内)
E-mail:
問合せ先 赤田 倫治 (西日本支部長)
E-mail: TEL: 0836-85-9292

主催: 日本生物工学会、日本生物工学会西日本支部
共催: 日本農芸化学会中四国支部

プログラム

  • 13:00-13:10  開会の挨拶………………………………生物工学会会長  飯島 信司

     
  • 13:10-13:35   「酵母の種多様性と生殖隔離」
               ………………………………福山大学生命工学部  久冨 泰資
     
  • 13:35-14:00   「酵母Kluyveromyces marxianusのDNA修復能を組換えDNAに応用する」
               ………………………………山口大学医学系研究科  星田 尚司
     
  • 14:00-14:25   「病原性酵母は敵か味方か?見方を変えると広がる応用」
               ………………………………徳島文理大学理工学部  水野 貴之
     
  • 休憩10分

     
  • 14:35-15:15   「イネに棲む酵母がプラスチックゴミを減らす」
               ………………………………農業環境技術研究所  北本 宏子
     
  • 15:15-15:55   「酵母Yarrowia lipolyticaにおける炭化水素代謝のしくみ」
               ……東京大学農学生命科学研究科 太田 明徳、小林 哲、福田 良一
     
  • 休憩10分

     
  • 16:05-16:45   「担子菌系酵母の魅力、そして応用展開―酵素、蛋白質高発現系構築、油脂生産―」
                 ………………………………酒類総合研究所  家藤 治幸
     
  • 16:45-17:25   「病原性酵母クリプトコッカス実験系の特性と改良」
               ………………………………千葉大学真菌医学研究センター 東江 昭夫

     
  • 17:25-17:30   閉会の挨拶………………………………福山大学生命工学部  秦野 琢之
     
  • 18:00-20:00       懇親会 (福山ニューキャッスルホテル・セラヴィにて)


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