JABEEの最近のホットな話題を2つばかり紹介します。

1.JABEE産業諮問評議会

JABEE産業諮問評議会では以下のような議論が活発化しています。技術者あるいは工学教育の真の向上、すなわち教育改善というJABEE本来の目的からは少し違う観点での産業界からの意見ですが、JABEEは、こうした意見も考慮して発展していくことが必要でしょう。

  • 分野別産学連携プラットフォームの設置
    産と学のギャップを埋めるにしても、修士教育を改善するにしても、分野の問題として取組まなければ改善しない。分野別に学会にプラットフォームを作るべきである。
     
  • 学と産の役割の明確化
    大学は細分化されたディシプリンを深化させ、産は複数ディシプリンの融合を促進するという融合型という点で産が協力する必要がある。
     
  • 大学院外部認定への取組み
    JABEEが修士認定をすることで、修士の教育目的の明確化が進むのでは。
     
  • 高度人材育成への取組み
    産が教える人を出す、カリキュラムを作る、教材を開発する、インターンを受け入れる、出てきた学生は、差別した給与体系で採用するなどの例を増やすなど、産がもっと積極的な役割を果たしてもよいのではないか。
     
  • インセンティブへの要望
    国際的に見て日本ほどインセンティブの無い国はない。技術士の1次試験免除はあるが、その他にも認定を条件にして評価すべきである。
     
  • JABEEの認知度向上
    採用の時にJABEEのプログラムを履修したかを聞く企業はないし、履歴書にも書かれていない。これでは会社に入ってJABEEの意味があったか評価できない。認知度向上のために、企業側でも積極的にできることがあるのではないか。
     
  • 産学人材育成をプラスのスパイラルに
    企業は人材を育成する余力が無くなり、外から獲得するようになっている。就職活動で多くの学習時間が奪われるなど、学習環境を破壊する負のスパイラルに陥っているが、プラスの方向に持っていかなければならない。

2.大学院JABEE始まる

現在26万人の学生を擁する大学院改革は急務であり、将来のあるべき姿を先取りした戦略的な改革が求められています。1991年および1993年の大綱化に伴って、大学や教育課程の新設、改組等の規制が緩和され、予算面の優遇処置もあって、大学院の重点化が一気に進み、大学院の量的拡大は達成されたものの、どのような知識や能力を身につけた学生が実際に育成されているのか、あいまいになる傾向にあり、産業界からも大学院教育の質的向上に対して強い要望が出されています。

また、「○○特論」といった科目名に代表されるように、恣意的に断片的な知識を与えるのではなく、世界水準を満たす体系的なコースワークの重要性も指摘されています。さらに、平成19年度の教育再生会議では、大学院改革の鍵として、「国際化」、「個性化」、「流動性」をあげています。このような背景を踏まえて大学院JABEEが検討され、建築分野を中心に、平成19年度に試行審査を実施して、認定基準の見直しを行い、いよいよ、平成20年度から本格審査がスタートします。なお、大学院では学習保障時間に関する基準がなくなっており、また建築分野を除き、分野別要件を設定しないことになりました。大学院の場合は、学部の場合に行っているような分野ごとの認定審査は行わずに、JABEE大学院委員会が審査員の決定から、審査までを行うことになっています。

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