おわりに、- 生物工学分野認定プログラム数の増加を目指して
いろいろなところで指摘されるように、諸外国と比べて我国の大学では、今まで(個人レベルでは別として、システムとして)教育が研究のうしろに置かれてきた感があります。それがようやくこの機に至って、我国全体で教育改革の気運が高まっており、そうした教育改革が、個人的な努力や教育論だけでなく、大学評価・学位授与機構、大学基準協会、そしてJABEEなど、いろいろな制度によって、システムとして形作られてきたことは大きな進展です。中でも、JABEEは、その教育プログラムの認定によって、修了生(卒業生)に、その時の社会の要求に答えることができる一定の学力レベルや考え方を身に付けられるような技術者教育を受ける権利を保証します。そしてそのことによって、我国における産業の発展に大きな貢献をすることができるという意味において、その存在意義には大きなものがあります。 学会としても、我が国の生物工学技術者教育に、いろいろな観点から貢献しなければなりませんが、幸い、日本生物工学会は、教育機関に所属する会員だけでなく、企業に所属している会員も多いので技術者教育の向上について、いずれのサイドからも意見を伺うことができます。ぜひ、JABEEについていろいろな御意見をお寄せ下さい。
また、今後、JABEE「生物工学分野」の発展を確固たるものにするためには、できるだけ多くの教育機関に審査を受けて頂くことが重要です。生物工学および関連分野の認定教育プログラムの数はいまだに一桁台であり、何とか二桁までに認定数を増やすことが生物工学会に課せられた課題です。是非、伝統校も含めた多くの大学が、JABEEの意義を理解していただき、教育システムの改善や教育改革につなげていただきたいと思います。
大中逸雄 JABEE副会長の言葉を借りれば、 「JABEE認定制度が単なる規制ではなく、21世紀における技術者あるいは工学教育の真の向上に役立つように発展しなければならない。」のです。このためには、JABEE、教育機関、専門学協会、産業界間の協力、特に教育機関と良質の教育を受ける権利を有する学生・父兄の意識改革が必要です。