第121回を迎える醗酵学懇話会ですが、下記の通り対面開催となります。今回は、発酵におけるキープレイヤーとも言える酵母にまつわる3つの話題をご紹介頂きます。また、工場見学および懇親会も下記の通り開催致しますので、多数のご参加をお待ちしております。

  • 日時:2024年2月6日(火)13:30~18:30
    <講演会>13:30~15:50
    <見学会>15:50~16:40(工場見学は限定15名事前予約、酒造資料館<自由見学>)
    <懇親会>17:00~18:30
     
  • 会場:白鶴酒造株式会社(〒658-0041 兵庫県神戸市東灘区住吉南町 4-5-5)5階 会議室
     
  • プログラム:

    13:00~ 受付

    13:30~13:35 開式の辞………東 雅之(関西支部支部長・大阪公立大学工学研究科)

    13:35~14:15
    「出芽酵母のアミノ酸代謝による細胞寿命制御」
     ………西村 明 (奈良先端科学技術大学院大学 研究推進機構 発酵科学研究室)

    近年、アミノ酸はタンパク質の構成成分のみならず、それ自体に多彩な生理機能があることが知られてきた。特に、プロリンやシステイン誘導体(システインポリスルフィド)は他のアミノ酸と比較して様々な生理機能を有しており、細胞の恒常性維持に極めて重要である。細胞の恒常性の破綻は寿命・老化を引き起こすことから、これらのアミノ酸は寿命・老化を制御していると示唆されている。これまでに、演者はプロリンの酸化分解系がミトコンドリアのエネルギー代謝の維持に関与し、酵母の経時寿命を制御していることを発見した。また、システインポリスルフィドが小胞体内のタンパク質品質管理機構に関与し、経時寿命の制御に関与していることも見出した。本講演では、プロリンやシステインポリスルフィドによる寿命制御の最新の知見を紹介すると共に、その生理的意義や応用展開に関しても議論したい。

    14:15~14:55
    「酵母に学ぶ健康長寿」
     ………水沼 正樹 (広島大学大学院 統合生命科学研究科 生物工学プログラム 健康長寿学研究室)

    近年、栄養状態や腸内細菌叢などの環境因子が原因で生じた特定の代謝物が、広範な細胞機能(分化・増殖・生存など)のシグナル分子として機能する例が見出された。メチオニン代謝は、メチル基供与体として知られるS-アデノシルメチオニンの産生を行うなど生命活動において極めて重要な代謝経路である。我々は、出芽酵母を用いてメチオニン代謝系酵素のS-アデノシルホモシステイン(SAH)加水分解酵素における変異株(sah1変異株)を取得した。酵母sah1変異株は顕著に寿命が短く、テロメア長が短縮するなど老化の特徴を有していた。そこで、sah1変異株の短命を抑圧する変異株をスクリーニングし、長寿変異株を取得した(SSG1と命名)。SSG1変異株の解析から、SAHが寿命制御のシグナル分子として振舞うという代謝物の新機能を発見した。本懇話会では、酵母で明らかになった健康長寿のヒントについて私たちの研究を例に紹介したい。

    14:55~15:05  休憩

    15:05~15:45
    「Bafilomycin A1耐性株の高発酵性と清酒醪ストレスへの適応」
     ………中瀬 舞(白鶴酒造株式会社 研究室)

    清酒醪は、発酵初期には高糖・低pH・低温・低窒素源ストレス、発酵後期には高エタノールストレス環境となり、清酒酵母はこのような様々な環境変化によるストレスに晒されながらアルコール発酵を行っている。この醪環境ストレスへの応答については未だ不明な点が多いが、健全な発酵は高品質の清酒製造には重要である。これまでに我々は、液胞膜V-ATPaseの活性阻害剤Bafilomycin A1(Baf)の耐性株は高発酵性を示すことを見出した。清酒酵母はエタノール発酵を行う際に細胞内ATPを多く生産するが、過剰なATPは解糖系を負に制御する。そこで我々は、細胞内ATPをより多く消費させるために液胞膜V-ATPaseに着目した。Baf耐性株は、細胞内ATP量の減少・糖取り込み活性の向上・エタノール生産性の向上が観察された。さらに、醪末期の生菌率も顕著に高いことが明らかとなった。今回明らかとなったBaf耐性株の特徴から、清酒醪ストレスへの適応と酵母の寿命延伸について考察したい。

15:45~15:50 閉会の辞………蓮沼 誠久(関西支部副支部長・神戸大学先端バイオ工学研究センター)

15:50~16:40 見学会(工場見学〈事前予約者〉、酒造資料館〈自由見学〉)

*工場見学には、上下ツナギの衛生服(スカートは非対応)と衛生帽とマスクの着用、衛生靴履き替えが必要です。
*酒造資料館の館内ショップは 16:30 閉店となります。

17:00~18:30 懇親会(講演会と同会場)

*講演会閉会後は懇親会会場準備の都合上、一時退室をお願いする予定です。

 

  • 定員: 60名 (工場見学会は15名)
     
  • 参加費:一般 1,000円(税込),学生:無料(当日講演会会場受付にてお支払いください)
     
  • 懇親会会費:一般 2,000円(税込),学生:1,000円(税込)(当日講演会会場受付にてお支払いください)
     
  • 申込み方法:以下のWebフォームよりお申し込み下さい。 定員に達したため受付を終了しました。
  • 申込み締切日:2024年1月18日(木)正午(定員に達し次第、締め切らせて頂きます。)
     
  • 問合せ先:
    日本生物工学会 関西支部
    企画副委員長 窪寺隆文 E-mail

 

会場へのアクセス

JR住吉駅からタクシーで10分以内(徒歩約20数分)
阪神御影駅から徒歩約15分
阪神住吉駅から徒歩約10分

 

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