お酒は原料の違いによって、つくり方や風味が変わってきますが、これは糖分の利用方法、原料が持ついろいろな成分の作用、使用する微生物の働きによるものです。

ワインの原料はブドウをしぼった果汁で、ブドウの種類によって、白ワインや赤ワインのように色や風味の違いがでます。また、乳酸菌を用いてワイン中のリンゴ酸を乳酸に変換し、味をまろやかにする技術もあります。

ビールでは大麦のデンプンを分解してできた糖液(麦汁)にホップという植物を加えて煮ることで、特有の苦味と香りをつけるのが特徴的です。また、ホップは雑菌の繁殖を抑える作用もあります。

日本酒では麹菌(米こうじ)による糖化(デンプンを糖に変えること)と、酵母によるアルコール発酵が同時に行われるため、少しずつ出てくるブドウ糖を酵母がゆっくりアルコールに変えることができます。日本酒のアルコール濃度が高いのは、このつくり方のせいです。また、日本酒づくりでは昔、乳酸菌を使用していました。酵母による発酵が始まるまでに雑菌が増えてしまわないよう、乳酸菌のつくる乳酸で雑菌の繁殖を抑えていました。このように、お酒はいろいろな原料や微生物の特徴を活用してつくられているのです。

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館 「お酒のつくり方はさまざま」

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