肉や豆腐にふくまれるタンパク質も、条件によっては「結晶」になります。このたんぱく質の結晶に、「X線」という高エネルギーの光をあてると、内部のタンパク質の形に応じてX線がさまざまに散乱します(光があちこちへ飛び散る)。この光の散乱パターンをもとに、コンピュータで複雑な計算をすることにより、タンパク質に含まれている原子それぞれの位置を決めることができ、その結果としてタンパク質全体の形を推定することができます(ただし多くの場合、水素原子の位置まではわかりません)。

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館  「タンパク質のかたちの決め方」

 

左の図は、αアミラーゼという酵素タンパク質の立体構造を示したものですが、そのサイズは直径10 nm(1 nmは1 mmの100万分の1)以下で、とても肉眼では見えませんし、顕微鏡でも見えません。上に説明したような方法で形を調べた結果なのです。上の図と下の図は、見せ方を違えているだけで、どちらも同じαアミラーゼの構造を示しています。それぞれ「リボンモデル(上図)」と「空間充填モデル(下図)」といいます。

タンパク質はアミノ酸が数珠つなぎになった紐状の分子で、その紐が折り畳まれて一定の立体的なかたちになります。リボンモデルでは、その紐がらせんを巻いている部分を赤で、伸びた紐が隣り合っている部分を黄色で示してあります。白いロープはそれらのパーツをつなぐ部分です。リボンモデルで表現するとタンパク質の構造には隙間が多いように見えますが、空間充填モデルを見ると必ずしもそうではないことがわかります(実際のタンパク質の姿は空間充填モデルに近いのです)。
 

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