私たちを作っている細胞一つ一つにも個性があり、その「顔つき」が異なっています。ブドウ糖などの糖は細胞のエネルギー源となる大切な物質ですが、糖にはその他にも役割があるのです。細胞の表面をよく見ると、表面が鎖状につながった糖(糖鎖)でおおわれています。この糖鎖は、複雑な形をしているうえに大変バラエティに富み、細胞ごとに糖鎖の様子がまったく異なります。糖鎖はいわば細胞の顔つきなのです。

例えば、私たちの血液型(O,A,B,AB型)というのは、赤血球の表面に生えている糖鎖の違いによって決まっています。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館 「糖の鎖は細胞の顔つき」

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また、糖鎖は細胞の表面 をおおっているので、細胞どうしの結合、つまり細菌やウイルスとの接着などに密接に関わっています。例えば、生物種による細胞表面の糖鎖の違いが、インフ ルエンザウイルスへの感染のしやすさを決めていることが知られています。おそらく個人差もあるでしょう。最近は、糖鎖の性質を逆手に利用した未来型の医薬 品も開発されています。

 

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