『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
―ニワトリがつくる薬(Q52)―
投稿日: 2012.11.28 最終更新日: 2012.11.28
卵を生産するために飼われているニワトリは、ほぼ毎日卵を産みます。そしてニワトリの卵にはタンパク質(卵白タンパク質)が豊富に含まれています。この卵白タンパク質の代わりに、卵にタンパク性の医薬品を含ませることができれば、非常に安く医薬品をつくれると期待されています。
メンドリの輸卵管の細胞は、タンパク質を豊富に含む卵白を分泌しているので、治療用抗体などのタンパク性医薬品の遺伝子を輸卵管の細胞で働かせることができれば、抗体タンパク質を卵白中に含ませられるようになると考えられます。
写真には、その手順を示します。まずメンドリから産み落とされた有精卵の殻を割って、卵黄の膜の上で成長する胚(ヒナのもととなる)の細胞に、医薬品タンパク質の遺伝子を含んだ溶液を微細なガラス管を使って注入し、遺伝子導入を行います。
その後、卵を孵化させることによって、医薬品タンパク質の遺伝子をもったニワトリを誕生させます。このニワトリが成長すれば、医薬品タンパク質を含む卵を産むようになるのです。