『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館  「抗体を薬として利用」抗体は、体内に入ってくる病原体を退治するために体がつくりだすタンパク質です。この抗体を、薬として利用できないか、自在につくることができないか、研究が進んでいます。左の図は、マウスの細胞に抗体をつくらせる方法を表しています。

動物(マウスやウサギなど)に標的タンパク質を注射すると、動物体内の免疫システムがはたらき、標的タンパク質に対する抗体がつくられます。この動物の血液から抗体を直接得ることもできます。しかし、動物の免疫反応に個体差があること(みなさんも病気への抵抗力には個人差がありますね)、動物に寿命があること、一度に採取できる血液の量に限りがあることから、この方法で抗体を大量かつ安定に得ることは困難です。そして何よりも、血液中には目的の抗体以外の抗体も含まれているため、そのまま利用することはできません。

そこで動物から、標的タンパク質の抗体をつくっているBリンパ球細胞を取りだし、この細胞を骨髄腫細胞という特別なガン細胞と融合させることによって「ハイブリドーマ細胞」という雑種細胞をつくります。Bリンパ球細胞は短命(4日間ほど)ですが、ハイブリドーマは不死です。それに1種類の抗体だけを作り続けますから、この細胞を培養することで、目的の抗体を大量かつ半永久的に得ることができます。ちなみに、動物の抗体をそのままヒトには投与できません(生物種が違うと拒絶反応が起きやすい)ので、遺伝子工学を用いて、動物由来の抗体をヒトの抗体と同じ構造に改変して利用する方法が開発されています。
 

 

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