【研究部会】2010年度 乳酸菌・腸内細菌工学研究部会 講演会
乳酸菌・腸内細菌工学研究部会では毎年、日本乳酸菌学会の協賛を頂き、関連の研究者が一同に会して、昼は各自の研究成果を発表し、夜は車座になって情報交換を行う講演会を企画しております。
本年度は新企画として「若手からのミニプレゼン」および会の終了後、チーズ工房への見学バスツアー(オプショナルツアー)を企画致しました。
以下の要領で開催しますので奮ってご参加下さい。
日時 | 2010年5月14日(金)13:50 ~5月15日(土)11:00 ⇒変更しました! オプショナルツアー: 5月15日(土)11:30~14:30 |
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場所 | 十勝川温泉 笹井ホテル 〒080-0262 北海道河東郡音更町十勝川温泉北15丁目1番地 TEL: 0155-46-2211 FAX: 0155-46-2216 |
会費 | 一般 18,000円,学生 12,000円(一泊宿泊費・懇親会費含む) オプショナルツアー: 参加料金別途3,000円(お弁当付き) |
定員 | 70名 |
申込締切日 | 2010年4月16日(金) |
申込方法 | 下記事務局まで御連絡下さい.折り返し申込書をお送り致しますので, 必要事項を御記入の上,再度事務局へ申込書を御返送下さい. |
連絡先 | 日本生物工学会乳酸菌・腸内細菌工学研究部会 2010年度講演会事務局 株式会社近畿日本ツーリスト北海道 札幌法人旅行支店内 TEL 011-280-8855 FAX 011-280-2732 E-mail: 担当:小田・山下 |
プログラム
一日目(5月14日)
13:50-14:00 はじめに 部会長 横田 篤
14:00-14:40 ビフィズス菌の線毛様蛋白の多型性にみる宿主特異的定着メカニズム
○大澤 朗(神戸大院・農)
Bifidobacterium longumのヒト宿主特異的な定着について検証するため、レクチン様線毛タンパクをコードすると思われるBL0675遺伝子に着目し、異なるヒトの糞便より分離されたB. longum株における本遺伝子のシークエンス解析及び比較解析を行った。その結果、BL0675遺伝子の配列は菌株間で非常に多様性に富み、5つの系統 グループに分類された。菌株のGroup分類結果を宿主間で比較すると、Groupの分布は概ね宿主ごとに偏る傾向が見られたことから、B. longum株の宿主特異的な定着においてはこの線毛様タンパク質が主に関与していることが示唆された。
14:40-15:00 乳酸菌と炭水化物の相互作用
○片倉啓雄、橋本高志、田中祥之、植松亜弥、紀ノ岡正博(阪大院・工)
Lactococcus lactis IL1403株の細胞表層に局在するタンパク質を等張液中で溶菌酵素処理をすることにより可溶化し、セルロースに親和性をもつタンパク質を分離したところ、DnaK、GroEL、GAPDHなどの細胞質タンパク質が同定された。このうちDnaKは、IL1403株およびキチンに対して105 M-1オーダーの、セルロースおよびムチンに対して106 M-1オーダーの吸着定数をもち、IL1403株をセルロースに接着させた。
15:00-15:40 乳酸菌発酵技術を使った機能性食品等の開発
○園元謙二(九大院・農、九大・バイオアーク)
日本の得意分野である発酵技術によるものつくり研究開発の中で、「乳酸菌」を利用した機能性食品・素材の開発を紹介します。特に、優れた「乳酸菌」を見つけ出し、食品や未利用資源を活用して機能性食品・素材をどのようにしてつくり出すのか、九州地域においてのさまざまな研究(乳酸菌機能の戦略的活用の具現化と新産業の創出)を例にとり講演します。
15:40-16:00 休憩
16:00-17:30 若手からのミニプレゼン(6題)
16:00-16:15 Bifidobacterium breve ヤクルト株がマウス皮膚機能に及ぼす影響
○杉本 沙穂、伊澤 直樹、曽根 俊郎、千葉 勝由、宮崎 幸司(ヤクルト本社中央研)
16:15-16:30 乳酸菌と酵母をモデルとした接着による細胞応答の解析
○澤田浩志、片倉啓雄、紀ノ岡正博(阪大院・工)
16:30-16:45 牛乳ラクトフォリンの有する修飾糖鎖の多様性
○稲垣瑞穂1、中家修一2、野原大輔3、矢部富雄1、金丸義敬1、鈴木徹4
(1岐阜大・応生、2島津製作所、3岐阜大・工、4岐阜大・連農)
16:45-17:00 製糖工程から分離した乳酸菌を用いたサワーブレッドの風味と防カビ性能
○仲田弘明・長谷川秀樹・櫻井博章・田村雅彦(日本甜菜製糖)
17:00-17:15 ヒトミルクオリゴ糖を炭素源としたビフィズス菌培養物中のオリゴ糖の定量分析
○畑山恵美1、朝隈貞樹2、北岡本光3、浦島 匡1、芦田 久4、廣瀬潤子5、片山高嶺6
(1帯畜大・畜産衛生,2北農研,3食総研,4京大院・生命,5滋賀県大・人間文化,
6石川県大・生物資源工)
17:15-17:30 乳酸菌によるインフルエンザウイルス感染防御効果について
○芦田延久、篠田直、山本直之(カルピス・健康機能研)
(このあと部会幹事会の予定)
19:30-21:30 懇親会
21:30- 夜の部
二日目(5月15日)
9:30-9:50 胆汁酸添加食摂取ラットにおける胆汁酸代謝と腸内細菌叢の解析
○横田 篤,K. B. M. Saiful Islam, 萩尾 真人,石塚 敏,吹谷 智(北大院・農)
ヒトの主要な一次胆汁酸であるコール酸 (CA)は,腸内でClostridium属の一部の菌種により二次胆汁酸の一種であるデオキシコール酸 (DCA)に変換される.DCAは,実験動物において大腸癌発癌プロモーター活性を持つこと,ヒトにおいては発癌性物質となる可能性が報告されている.また,近年本邦において大腸癌が増加している理由として,食生活の欧米化による脂質摂取量の増加と,それに伴う腸内胆汁酸量の増加との関連が指摘されている.そこで本研究では,腸内胆汁酸量の増加が,胆汁酸組成と腸内細菌叢に与える影響を明らかにするため,CA添加食摂取ラットを用いて,胆汁酸組成と菌叢の変化を解析した.
9:50-10:30 乳酸菌由来細胞外多糖に対する培養条件の影響
○福田健二1、石 塔拉1、Fiame Leo1、元島英雅2、浦島 匡1
(1帯畜大・畜産衛生、2よつ葉乳業・中央研)
細胞外多糖(Exopolysaccharide, EPS)は微生物が生産し細胞外に分泌する多糖であり、乳酸菌にもEPS生産性を示す菌株が存在する。化学構造の違いから、EPSはホモ型とヘテロ型に分類され、代表的な例として、それぞれデキストランとキサンタンガムが挙げられる。特に食品由来の乳酸菌が生産するEPSに関して、高い安全性や健康増進効果が期待できることから、その産業利用が期待されている。伝統的発酵乳から単離したLactobacilus fermentum TDS030603は、非常に粘性の高いEPSを分泌する。完全合成培地を用いた実験により、培養条件が本菌のEPSに及ぼす影響について調査した。
10:30-10:50 乳酸菌を利用した環境調和型生産プロセスへの試み
○永利浩平1,2、林いずみ2,3、園元謙二2,4,5
(1オーム乳業㈱、2Qok・Bio LLP、3熊本製粉㈱、4九大院・農、5九大バイオアーク)
ものづくりには、必ず副産物が発生します。特に九州には多くの農産物、醸造食品等の特産品がありますが、ほとんどは未利用資源や産業廃棄物として処理され大きな問題となっております。このような問題に対して、我々は未利用資源(乳製品や焼酎粕由来等)の積極的活用を行っております。さらに、未利用資源を利用した発酵生産の過程でもさまざまな副産物が廃棄物として発生しますが、これら副産物に対しては、いくつかの有用物質や機能性を見出し、魅力的な商品への転換を行っております。このような取り組みの一部を紹介します。
10:50-11:00 おわりに 部会長 横田 篤
11:30-15:30 チーズ工房見学バスツアー(オプショナルツアー)
11:30- 十勝川温泉を出発・バス内で昼食
12:30頃 十勝野フロマージュ到着 見学・お土産購入など
14:00頃 十勝野フロマージュ出発
14:30頃 とかち帯広空港到着(15:20発 羽田便に間に合うように)
15:30頃 JR帯広駅到着