シンポジウム・ワークショップ
Posted date 2011.03.18 | Update date 2011.10.07
【特別招待講演】
スタチンの発見と開発……………遠藤 章 (東京農工大学 特別栄誉教授)
- 座長: 養王田 正文
- 会場・時間: S2会場(新1号館 L0111) 9月27日(火) 午後 13:15-14:15
【シンポジウム】
1. 酒類の食味成分研究の新展開 (本部企画)
- オーガナイザー: 下飯 仁(酒総研)、坂口 正明(サントリー)、秦 洋二(月桂冠)
- 会場・時間: S1会場(講義棟2F L0026) 9月27日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
酒類においての香味は、その品質や特徴を決定する最も重要な要因である。昨年の本大会シンポジウムにおいては、まず酒類の「香り」に着目し、清酒、焼酎、ワイン、ビールなどの様々な酒類の香気成分研究の最新の研究成果を紹介していただいた。
本年は酒類の「食味」をテーマとし、味覚と嗜好に関する基調講演や各酒類の最新の研究事例を発表していただき、酒類における食味の役割や今後の食味研究の発展について議論する。また昨年と同様各講演には、最先端の研究成果だけでなく、これまでの各酒類の食味研究の概論も加えて発表していただくこととし、分野外の研究者にとってもわかりやすい講演内容としたい。
2. 大規模ゲノム情報の生物工学へのインパクト (本部企画)
- オーガナイザー: 町田 雅之(産総研)、稲垣 賢二(岡山大)
- 会場・時間: S1会場(講義棟2F L0026) 9月27日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
次世代シークエンサーに代表されるように、ゲノム情報の生産と利用は新たな転機を迎えている。生物情報の爆発は単なる塩基配列に留まらず、発現、タンパク質、化合物など、あらゆる生物情報に及び、これらの情報の利用は、研究開発効率の大幅な向上をもたらすと同時に、有効に利用できないことは競争力の失墜を意味する。
生物情報の効果的な利用には、ドライ(情報処理)とウェット(生物解析)の有機的な連携が必須であるが、有効に機能しているところは現在でも限られている。本シンポジウムでは、最も効果的な利用が期待できる発酵産業、化学産業などのバイテク産業に焦点を当て、これまでの成功例のポイントと今後の展開について議論したい。
3. 美しい地球持続のための脱炭素社会の構築 (大会企画)
- オーガナイザー: 養王田 正文(東京農工大・工)
- 会場・時間: S2会場(新1号館 L0111) 9月26日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
化石燃料の大量消費により過剰に排出した二酸化炭素による地球温暖化問題は、人類の未来のために我々が解決しなければならない課題であることは周知のことである。化石エネルギーへの依存を可能な限り低くする低炭素社会を実現するためには、多様な自然エネルギー技術と省エネルギー技術の開発が不可欠であり、生物工学にも大きな責任がある。
本シンポジウムでは、生物工学に限らず、様々な分野で低炭素社会実現に貢献する技術開発を行っている研究者にご講演いただき、低炭素社会実現のための技術開発について議論したいと考えている。皆様の議論への積極的な参加を期待しています。
【ワークショップ】
1. シーズ発表会 (本部企画)
- オーガナイザー: 日野 資弘(アステラス製薬)、松井 和彦(味の素 )、 奥村 康(鳥居薬品 )
- 会場・時間: S1会場(講義棟2F L0026) 9月26日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
産官学それぞれの研究機関が保有している産業上未利用の技術シーズを公開していただき、その活用を図ることを目的としたものである。大学、公的研究機関をはじめベンチャー企業、民間企業の技術シーズが公開されオープンイノベーションが促進されるきっかけになることを期待している。 ワークショップとして開催する理由は、発表者はもちろん参加者も積極的に質疑応答に加わり紹介された技術シーズを様々な視点で捉え理解を深めその活用を促進することである。従って、質疑応答・意見交換の時間が多く取れるようにしたい。
対象とするシーズは、昨年に引き続き本学会の基本である物質生産及びその周辺技術とした。具体的には、宿主/ベクター系、培養法、培地、精製法、装置、分析・解析技術、機器などである。
2. 培養工学におけるモニタリング・解析技術の進歩 (本部企画)
- オーガナイザー: 石川 陽一(エイブル )、奥村 毅(島津製作所)、松井 和彦(味の素 )、 飯島 信司(名大)
- 会場・時間: S1会場(講義棟2F L0026) 9月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
物づくりの生物的プロセスにおいて、計測や制御の重要性は言うまでもない。特に生産性の安定化・向上のみでなく品質管理という面でもその重要性が指摘されている。本ワークショップでは醗酵、動物細胞培養などにおける計測制御の新展開と将来の展望について討論する。
3. 環境調和型資源開発を担う環境バイオテクノロジ ー (大会企画)
- オーガナイザー: 藤原 和弘(中外テクノス)、黒田 章夫(広大)、野尻 秀昭(東大・生物工学センター)、池田 宰(宇都宮大・工)
- 会場・時間: S3会場(11号館5F 多目的会議室) 9月27日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
近年、各種の環境問題が地球規模で深刻化しており、経済・社会の発展を支える産業界の活動は、環境問題への配慮なしに成り立たない時代となっている。また、産業界の活動に不可欠な地下資源も、昨今の我が国を取り巻く資源環境が悪化の一途をたどっており、深刻な状況になりつつある。そこで、有用な環境調和型資源開発技術が不可欠と考えられ、バイオテクノロジーも有用な資源開発技術として一役買うことが望まれる。
本ワークショップでは、バイオテクノロジーを駆使した環境調和型資源開発技術の現状、課題、展望について焦点を当て、議論を行う。
4. 次世代の食を支える新技術を考える (大会企画)
- オーガナイザー: 森永 康(日大)、古川 壮一(日大・生資科)、池田 宰(宇都宮大・工)
- 会場・時間: S2会場(新1号館 L0111) 9月27日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
食品にとって栄養や健康機能は大切な要素であるが、一方で、味・香り・テクスチャーはその嗜好性を左右し、その食品が消費者に選ばれ続けるために非常に重要な要素となる。高度情報化社会と少子高齢化社会が加速度的に進展する我が国において、そして、グローバル化が進む国際社会において、これからも受け入れられ続ける食品に必要な要件は何なのか、また、そのために必要な技術は何なのかということについて、今考えることは非常に重要である。
本ワークショップでは、当該分野のアカデミアで活躍する研究者や食品業界のリーディングカンパニーの第一線研究者による講演と議論を通して、その問題の答えを見出すための何らかのヒントを提供できればと考えている。
5. 酵素工学の最前線 (大会企画)
- オーガナイザー: 長棟輝行(東大・院工)、尾高 雅文(東京農工大・工)
- 会場・時間: S2会場(新1号館 L0111) 9月27日 午後 14:30- ⇒プログラムはこちら
酵素工学は、有用酵素の探索、生産、分離・精製、改良とそれらの酵素や微生物そのものを利用した物質生産法の開発を行う学問分野であり、また、酵素が多くの疾病治療薬のターゲットとなりうることからも、醸造、発酵、化学工学、製薬等の産業界と密接に関連して発展してきた。毎年の本会大会でも多くの講演が行われる重要な学問分野である。
本ワークショップでは、極限環境微生物の利用や酵素の分子進化工学、人工複合酵素系の開発、温暖化ガス分解系酵素の構造生物学などの先端研究で活躍している研究者に御講演いただき、酵素工学の最前線に関する情報を共有するとともに、当該分野の将来展望について考えたい。
共催: 酵素工学研究会
6. 若手キャリアセミナー (大会企画)
- オーガナイザー: 富田 悟志(NPO法人サイエンス・コミュニケーション)
- 会場・時間: S2会場(新1号館 L0111) 9月28日 午前 10:00- ⇒プログラムはこちら
学位取得後のキャリアパスは多くの若手理系人にとって人生を左右する重要な選択となる。近年では若手理系人の産業分野への導入が加速化されている一方で、学術・産業分野に関わらず若手理系人として標準化した人材像を早期に確立し、その有用性を広く社会と共有する必要性がある。我々はその人材像を「高度職業人=既存の知識や経験を思考の材料とした創造力を発揮する人材」と定義し、その育成方法として「論理力の水平展開力」を身につけることを目的としたプログラムの開発に取り組んでいる。
本プログラムの実施と普及によって体系的に高度職業人を育成することに貢献したいと考えている。今回の生物工学会でもその一部を参加者の皆様と共有したい。
7. 合成生物学の挑戦と将来
- オーガナイザー: 花井 泰三(九大・農)、板谷 光泰 (慶応大)
- 会場・時間: S4会場(13号館2F L1321教室) 9月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
「眺めて解析する生物学」から、「創って解析・利用する生物学」を目指す合成生物学の研究分野の興隆が著しい。この分野では対象とする有用物質生産へのアプローチと技術基盤が、従来の概念を超えるレベルが要求される。まさに生物工学会の全ての学問領域、発酵工学、生物化学工学、生体情報工学、環境工学、酵素工学、動植物細胞工学、生体医用工学を横断する重要な分野である。
本ワークショップでは、合成生物学に積極的に取り組み、進捗を先取りすべく、世界に先駆けたエキスパートを募り真に有用な課題と将来を明示したい。
8. グリーンバイオ電子デバイス(g-BED)創製への挑戦
- オーガナイザー: 安枝 寿(味の素)、浦岡 行治(奈良先端大)、山下 一郎 (奈良先端大)
- 会場・時間: S3会場(11号館5F 多目的会議室) 9月26日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
グローバルな持続的社会の構築に向けて、先端生物工学研究が果たすべき役割は大きい。特に、ナノバイオ技術を先進電子デバイスの設計や製造へ応用することで、従来にない革新的かつ環境にやさしい新規デバイス(グリーンバイオ電子デバイス)の創製が可能と思われ、それらを利用した製品は、我々の生活様式を一層快適化し、同時に、省エネ・省資源化へとつながる生活環境を人類に提供しうるものとして期待される。
本ワークショップでは、以上の観点から、ナノバイオプロセッシング技術や、バイオとエレクトロニクスの境界技術に重点をおき、それを応用した新規電子デバイス創製への研究事例を紹介し、本研究領域の将来展望について議論したい。
9. ナノアーキテクチャによる生体分子工学の新たな展開
- オーガナイザー: 神谷 典穂(九大)、堀 克敏(名大)
- 会場・時間: S5会場(13号館3F L1331) 9月26日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
ゲノム・タンパク質情報の蓄積ならびに構造・機能解析法の迅速化・多様化に伴い、我々は生体を構成する様々な機能性分子を、比較的容易に手にすることができるようになった。一方、それらの構造や機能を十分に利活用するには、新たな機能発現のための分子設計と、デザインされた分子が有効に機能を発現する場の設計が鍵を握る。
本ワークショップでは、昨年度‘環境’をキーワードとして開催した「ナノバイオテクノロジーによる環境への新アプローチ」の続編として、異なる階層で生体分子を自在に設計するためのナノアーキテクチャに関する最新の研究を取り上げ、当該分野の発展の方向性を探る場としたい。
10. 海洋資源発掘のバイオテクノロジー最前線
- オーガナイザー: 植田 充美(京大・農)、竹山 春子(早稲田大・理工)
- 会場・時間: S4会場(13号館2F L1321) 9月27日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
資源なき国といわれる日本には、世界屈指の排他的経済水域があり、その潜在的資源保有については、真に見直すべき時がきている。生物の多様性が世界一と見なされている日本の海洋から得られるメタゲノム、生理活性物質の探索、海洋生物や魚類など海洋資源の養殖増産、藻類や海水からのエネルギー生産やバイオリファイナリーの展開など、最もホットな海洋新資源探索と変換についての話題を提供する。
共催: JBA新資源生物変換研究会
11. バイオアナリシスの現状と未来
- オーガナイザー: 菊地 淳(理研)、馬場 健史(阪大院)、松田 史生(神大院)
- 会場・時間: S3会場(11号館5F 多目的会議室) 9月27日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
生物機能を工学的に改変していくには、対象生物の情報(ゲノム配列、代謝機能など)をできる限り集積することが望ましい。生物から読み取る「バイオスキャナー」としての分析技術の進展は、これまで計れなかったものの計測を可能にしつつある。そこで本ワークショップでは、(1) 次世代シーケンサーによるメタゲノム解析、(2) 代謝フラックス解析、(3) 代謝プロファイリング、(4) 超臨界流体テクノロジー、(5) バイオマス解析について、最新の計測技術で「何が見えるようになったのか」を紹介する。さらに、ワークショップ中に会場全員へ質問用紙を配布し、これを利用した質問の重複や偏った時間配分を避けたパネル討論を行いたい。
共催: バイオアナリシス研究会、メタボロミクス研究部会、超臨界流体バイオテクノロジー研究部会、よこはまバイオマス研究会
12. 寄生・共生・オルガネラ研究から見える新たな発酵学の地平線
- オーガナイザー: 北垣 浩志(佐賀大)、井沢 真吾(京都工繊大)、古川 壮一(日大)
- 会場・時間: S4会場(13号館2F L1321) 9月27日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
発酵学は、日本の発酵産業に貢献するための伝統ある学術・技術分野であるが、今、伝統的な発酵学に寄生や共生、オルガネラ研究の考え方や技術を取り入れて異分野を融合しようとする試みが始められている。それらは発酵中の均質な空間を前提とした従来の捉え方とは異なるパラダイムに基づいており、これまでにない新しい発想に基づく発酵技術の開発を可能にしうるものである。その研究の一部は既に実用化に至っており、発酵業界への技術移転例も出始めている。
本ワークショップでは、基礎研究段階の新しい試みから実用技術開発・産業移転に成功した例まで幅広い研究例を紹介することを通して、発酵分野の今後の展望について考察したい。
13. 細胞マイクロチップの新展開~細胞評価技術の俯瞰的理解を目指して~
- オーガナイザー: 大政 健史(徳島大)、福田 淳二(筑波大)、藤田 聡史(産総研)、袴田 和巳(阪大)、斉藤 真人(阪大)
- 会場: S5会場(13号館3F L1331)
- 日時: 9月27日 午後 13:30- ⇒プログラム/9月28日 午前 9:00- ⇒プログラム
再生医療における幹細胞の分化誘導や、動物代替を考慮した創薬プロセスなどにおいて、細胞評価技術の確立が喫緊の課題となっている。これらの技術的課題は細胞の評価・測定・解析の三種の相異なる技術が一体となって初めて達成されるものと考える。
生物工学会では、上記三種を対象とする研究部会(セルプロセッシング計測評価研究部会・ナノバイオテクノロジー研究部会・システムバイオテクノロジー研究部会)が既に設立されている。これら三研究部会が共催する当該ワークショップでは、個別の研究部会とは異なり、横断的な視点から細胞評価技術について議論する。特に細胞チップを用いた手法を軸に技術を俯瞰し、新たな研究領域の形成を行うことを目標とする。
共催: セルプロセッシング計測評価研究部会・ナノバイオテクノロジー研究部会・システムバイオテクノロジー研究部会
14. セラノスティクスとバイオエンジニアリング
- オーガナイザー: 三宅 正人(産総研)、池袋 一典(農工大)、穴澤 秀治(JBA)
- 会場・時間: S5会場(13号館3F L1331) 9月27日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
ポストゲノム、ポストプロテオームにおいて個別の疾患において分子標的を中心とする医薬品の開発が盛んに行われている。他方、テーラメード医療が提言される中、今後の医薬品開発は治療薬の選定を目標とした診断薬を医薬品開発の段階から戦略的に開発していくことが望まれている。治療方法を決定するための診断方法の開発を基軸としたビジネス戦略、すなわち「セラノスティクス(Theranostics = Therapeutics + Diagnositcs)」が注目されている。
本ワークショップは、セラノスティクスの基盤に必要なバイオエンジニアリングの先端研究について情報を共有し、我が国におけるセラノスティクスに基づく新規医薬品と診断技術開発の支援技術開発の方向性について議論することを趣旨として企画した。
15. iGEMを通した合成生物学研究者の育成
- オーガナイザー: 早出 広司(東京農工大・工)、上田 卓也(東大・新領域)・木賀 大介(東工大・総理工)
- 会場・時間: S4会場(13号館2F L1321) 9月26日 午後 13:30- ⇒プログラムはこちら
iGEM, International Genetically Engineered Machine competitionは2003年にマサチューセッツ工科大学にて開始された合成生物学の学生競技会であり、2006年から国際競技会として発展し、2010年は世界から130チームが参加した。日本からは9チームが参加した。
本ワークショップではiGEM2010に参加した学生チームによる同大会の英語口頭発表セッションを再現することで日本チームの活躍・成果を紹介するとともに、今後の生物工学における一役を担う合成生物学の将来像ならびに研究者育成について数名の招待講演のもとに展望する。
16. オミックス解析技術の裏技紹介:生物工学分野への応用
- オーガナイザー: 榊原 陽一(宮崎大・農)、馬場 健史(阪大・工)、中山 二郎(九大・農)
- 会場・時間: S3会場(11号館5F 多目的会議室) 9月28日 午前 9:00- ⇒プログラムはこちら
現在、ポストゲノム科学領域に関する新技術は、最新のハイテク機器を用いて網羅性の向上、高感度化、自動化を目指したものが多い。これらの研究は、潤沢な研究資金を背景とした大型プロジェクトによるものが多く、個人的規模で運営されている大多数の研究室で即導入できる技術として広く普及することは困難と思われる。
本セッションでは、研究者の独創的な発想を元に開発された斬新な技術でありながら、多数の生物工学分野の研究者が共通機器等を活用して手軽に導入可能なものを「オミックス解析技術の裏技」として取り上げて紹介する。
お金がなくても・・・、装置がなくても・・・、独創的な研究はアイディア次第である。
共催: メタボロミクス研究部会